2011年12月26日 のアーカイブ
吉右衛門の営業日誌、師走の中央フリーウエイの巻、後篇。
薮から棒だが、
今年の一月に寿退職された、う太郎さんが新婚旅行から戻られた、
との目出度い報告が、スミレからあった。
これは朗報。
実は彼女からは7月下旬頃に、挙式の日取りが決まった旨の連絡が有り
以来ズッと消息が断たれていて、何かと気を揉んでいたが、
予定通りゴールインされたとようだ。
彼女はとても結婚への憧憬が強かったから今、とても幸せだと思う。
そして何よりも彼女は優しくて明るいから、
きっと素敵なご家庭を築かれるだろう。
時節柄大した事は出来ないが、
落着かれた頃にでも、田沼美冬と江ノ島のペンキ屋も出席させて、
細やかな祝いの宴でも張ろうと思う。
う太郎さま。
改めて、お目出度う御座います。
2011年12月22日、
さて、今日のテーマは納品営業。
今回注文を頂けた方は以前、この営業日誌の「初めてのお使い」で書いた、スミレが営業して獲得したご担当者。
彼女の拙い営業にお応え頂いてデザイン、散らし、パネルをお買い上げくださった。それだけに、ご期待に添うべく慎重に制作したつもりではあったが、矢張り緊張する。
中央フリーウエイを走行しての道中も、スミレは殆ど無言でどこか虚ろ。彼女も入社3年目、それだけに責任と自覚が芽生えたのだろう。
そんなスミレを気遣っていると、到着。
ご担当者に受注の御礼を言って納品と検品にも立ち会ったのだが、
何事も無く終了して、ホッ!。
そしてお褒めの言葉も頂戴し、一件落着。
ご利用いただきまして、ありがとうございました、謝謝。
丁重に御礼を申し上げ、辞去。
スミレの顔に生気が戻った。
緊張が解れるとこうも変わるものか。
職場への帰路、スミレが口を開く。
ス「昨日言ったプレゼント、欲しいですか……?」
吉「別に、いい仕事してもらったから、何もいらねえよ」
ス「無理しちゃって・・・欲しいんでしょ!」
オレも60年近く生きてきたが、これほど躁鬱の差がある奴も珍しい。
ス「実は、先週の金曜日、友人と三軒茶屋のカラオケに行って、練習をしてきたんですよ」
吉「・・・・・・」
ス「涙そうそう、知ってます?。演歌じゃないですよ」
吉「森山良子だろ」
ス「私のは夏川りみだけど、聴いてください」
頼みもしないのに、強引に歌いだした。
高音のサビを丁寧に歌う彼女の歌声に、
ゴクリと生唾を飲んで、聞き惚れてしまった。
吉「オマエ、上手いな」
ス「それほどでも・・・、あはは」
吉「もう一回、歌ってくれよ」
ス「では、今度は沖縄バ−ジョンで」
何を歌っているのか、歌詞はよく分からないが、
この歌を聴いていると、今年一年が頭の中を駆け巡る。
1月、長年オレを支えた、う太郎が嫁に行くので職場を去った。
2月、ピーナッツが過労で倒れ、大雪の日、茅ヶ崎へと見舞いに向かった。
3月、震災の夜、娘たち3人を送っていったのと、激写の登場。
4月、職場から仕事を消えて不安な最中、ひこうき雲を迎えに行った。
7月、秩父へ登ったのと、鶴女が抜けた。
8月、媒体営業を試みたのと、ピーナッツと再開。
9月、ベーベとの出会いと、人身事故。
10月、入院。
11月、営業の成果が出てきた。
こうして目を瞑って回想してみても、可成り刺激的な一年であった。
吉「どうも、ありがとう。お陰で、いろいろ思い出せちゃったよ」
ス「楽しかったですか……?」
吉「うん。それにしても、よく方言を知ってたな」
ス「いやいや、吉ちゃんバカだから気付かないと思って、分からない処は嘘を歌ったんです」
吉「きっちゃんって、オレの事か……?」
ス「あははっ、誰でしょう」だって。
スミレとの2011年、最後の営業が終わった。
お仕舞い。
2011年12月25日。
吉右衛門。