2012年5月26日 のアーカイブ

吉右衛門の営業日誌、嬉しくもあり寂しくもあり、の巻。


「お疲れ様です!

スミレ、到着しました!

思い出の土地でフラフラしています。

お昼は召し上がりましたか?

近くに神戸屋キッチンがありますが、

サンドイッチでも買っていきましょうか?」

(名前以外は原文のまま)


15時半、

国立駅南口、

このメールの主は、恩田スミレ。

オレの最愛にして唯一の直属スタッフだ。


彼女と向かうは、狭山丘陵にあるイベント会場。

彼女がスタッフとして参加していたこのイベントも、今日が千秋楽。

名残惜しいが、これからその撤去作業に行くのだ。


このイベントと彼女のことを、もう少し書く。

この仕事。

昔、オレが営業して請負い始めてから、今年で七年目。

そして彼女は二代目の担当者。

普通、二代目は初代が敷設したレールを無難に走ることだけで、

個性は発揮しないものだが、彼女は違う。頑張る。

なによりも主催者から可愛がられているのが、嬉しい。

今日は、そんな彼女の張り切りように釣られて、

つい、千葉からノコノコと着いてきてしまった。

……、

愛車ベガ号での彼女は、饒舌。

不眠不休が続く辛い数日間であった筈なのに、

楽日を迎えた安堵感からか、破顔一笑。

あんなこと、こんなことを穏やかに語ってくれる。

グラフィック担当の、激写が頑張ってくれたこと、

職人さんが遅くまで嫌な顔もせずに、作業をしてくれたこと、

自分と同じ様な年齢でも、男性の方が大変そうなこと、

担当者が、最後まで優しくしてくれたこと、

そして、今回も多岐に渡って可成り勉強出来たこと……等々。

「楽しさ、苦しさも楽日まで」とはよく言ったものだ。*1

(*の説明は文末)。


17時半、

蛍の光が流れるなか、彼女を連れて集合地点へと向かう。

その道すがら、ヤケに知らない人達がオレに挨拶をしてくる。

果て、何処の何方さまであったか…?。

頭のなかを捜索するが、分からない。

ス「さっきから何を難しい顔、しているのですか…?」

吉「いろんな人が挨拶してくれるんだけどサ、思い出せなくて…」

ス「あの方はA社のBさんで、先ほど方はC社のDさんですよ」


えッ?、そうだったのか。オレじゃなくて、彼女にしていたのか。

道理でね…。何ともお粗末な話。

それにしても、コイツはいつの間に人間関係を拡げたのだろう。

勝手が違ってきた世界への変遷に、戸惑うオレ。

そんななか今回、助っ人で来てもらった職人さん達とも合流し、

撤去が始まる。

看板、パネルの類の取り外し、サインスタンドの引揚げ…等。

……中略……。

アっと言う間の2時間半で作業は、無事終了。

お疲れさまでした。


20時半、

主催者さんに、御礼のご挨拶。

今年も所沢に呼んでもらったとこ、

不束な娘がひとり、お世話になったこと、

来年も頑張って勉強してくるので、使ってもらいたいこと。

感謝感謝、深謝深謝。

ありがとうございました。


さあ、終わった。スミレちゃん、帰ろうッ。

帰ろうよッ!。

スミレの袖を引っ張るも、ヤツは帰らない。

彼女は彼女で、人間関係が忙しい。

あっちに挨拶、こっちに挨拶と動き廻っている。

ハハーン!、そうか、そうだったのか!。

ココでやっと気付いた!。


彼女は最早、

オレのボーヤではなくて、

このムラの住人に成ったのだ、と。*2


コレをみて、

嬉しくもあり寂しくもありの、オレでした。


お仕舞い。


弐阡壱拾弐年伍月弐拾日、in西武ドーム。

吉右衛門。


次回は「ペンキ屋との逢引、in 都寿司の巻」を書く。


文中のクレジット、

*1、この格言を言ったのは何を隠そう、オレ。

*2、ボーヤとは、付き人の事。


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