2012年7月24日 のアーカイブ
ドラゴンクエストⅩに挑むぞ!、の巻。
いずれ菖蒲か杜若。
ペンキ屋とスミレに、59歳の誕生日を祝ってもらった。
場所は日本橋室町に在る、千疋屋。
嬉しかった。
普段から愛してやまない、ふたりだけに尚更であった。
そのせいなのだろう。
感激で涙腺が決壊し、涙が溢れた。
──困った。どうしたものか。
誕生日に涙は禁物だ。
何か気の利いた話題はなかろうか。
暫し、頭の中を探してみつけ出した。
そうだ、あの事を話そう。
後日、集会を開いてみんなの前で披露しようと思ったが、
今、話してもいいだろう。
オフレコを前提で、以前から計画していた事を口に出す。
「あのさ、オレ、60になったら
イラストレーターを覚えてデザインを始めようと思うんだ」
当然のとこながら、
──きっと素敵なデザインをされるのでしょうね。
──どのようなモノを創られるか、今から楽しみです。
なんて優しい答えが却ってくるものと期待したが、甘かった。
考えもしなかった、答えが返ってきた。
破顔一笑。
満面の笑顔でペンキ屋は、こんな失礼なことを言いやがった。
「へえーっ、ボケ防止にですか!?。
ウチのオバアちゃんもゲーム始めたんですよ。ボケ防止にっ!」
僅か7秒の間に、「ボケ防止」と二度も言われた。
酷い!。
オレのピュアなハートは、ズタズタに切り裂かれた。
更に追い討ちをかけるように、こうも言われた。
「いやーっ!、年はとりたくないですねぇ。ギャハハハハーッ!」
黙り込み、うっすらと涙を流す、オレ。
いじめの問題は小中学生に限らないと思った。
今、学校では先生も見て見ぬ振りをしていると言うが、
目の前のスミレも、そう。
毅然たる態度でペンキ屋を叱責するかと思いきや、
一緒になってオレを笑いものにする。
しかも、オレの馬鹿面に指を指して笑ってる。
──いつも面倒みてやっているのに、オマエ迄なんだっ!。
そう言ってやろうかと思ったが、言わない。
気弱なオレには、そんな科白は似合わないからだ。
悔しい!。
グッと拳を握りしめて、涙を溜める。
しかし、よく考えてみたら、こうも思った。
ヘタな世辞を言われるより、よっぽどいいではないか。
そうなのだ。
端からは、ヤキが廻ったように見えるのだ。
それに、だ。
オレが制作スタッフの仲間入りをしたら、
現場が大混乱に陥るのは必至だろう。
よくぞ、目を覚まさせてくれた。
昨秋からの闘病が続くオレのこと。
今日は今年で一番楽しく、嬉しい日であったのではないか。
ふたりの気遣いと優しさに、心から感謝。
ホントにありがとう。謝謝。
ふたりには恵比寿の懐石料理屋、雄で返礼をします。
と暖かい気分で、家路に就く。
夜。
女房、娘とテレビを視た。
CMが流れた。
あのドラゴンクエストⅩが、近々発売になるそうだ。
昼間のことが頭を過った。
そうだ!。
ボケ防止を兼ねて10年ぶりに、ドラゴンクエストに挑もうと!。
実はオレ、このシリーズは昔、随分とやったことがある。
Ⅰ、最強の敵は土管のような洞窟に棲むドラゴンであった。
Ⅱ、呪文を書き写すのが大変だったのと、
二番目を歩く小僧が圧倒的に弱くてザラキを覚えるまで、
よく教会に通った。
Ⅲ、異業種のキャラクターを選択出来て面白かった。
僧侶を連れないパーティは自殺行為だった。
Ⅳ、章に別れたストーリーは兎も角として、
戦闘が自動化されているのはつまらなかった。
Ⅴ、幼なじみの娘と金持ちの娘との結婚を選択させられ、
病弱な金持ちの娘を娶ったら、ズッと後ろめたさに苛まれた。
Ⅵ、以降はやっていない。
ドラゴンクエストに挑戦。
これは五十代最大の挑戦になるかもしれない。
もしも挑む事が出来たら、このブログでシリーズ化したい。
お仕舞い。
弐阡壱拾弐年柒月壱拾玖日、千疋屋にて。
吉右衛門。
次回は前回、割と好評だった回想記の続編を掲載します。
写真キャプション、
左、スミレ、
右、ペンキ屋。