2015年7月3日 のアーカイブ
「土手の伊勢屋」の領収書
寒さが和らぎを見せたある快晴の日。
ギロリとにらみつけてくるような夏の太陽とは違い
ニヒルな顔でこちらを窺ってくるような太陽の視線を感じながら
わたしは「土手の伊勢屋」におりました。
この重厚な佇まい。
「油がしみ込んでいるんだ」
そう吉右衛門様から教えて頂き、隣の壁をそっと撫でると、
確かに木造の建物はじっとりと油で重みを帯びている。
(なんだかひとの念まで吸い込んでいそうだなぁ)
外観をみるだけで
そこに歴史があることがわかるような佇まいなもんだから、
(此処にはたくさんのひとが来ては去り来ては去り、
色々な感情があって、
でも食べている一瞬はそのことを忘れて味覚に集中していて‥)
なんてついつい想像が広がってしまう。
席に通されこれまたじっとりした椅子に座り
出入り口を見れば、これまた素晴らしい。
客でもないのに容赦なく入ってくる日差しがとても綺麗だった。
(夏が来る‥!)
わくわくしながら待っている間にあたりを見回すと、
なんだか風情があって素敵。
おや。
〈登録有形文化財〉
に登録されているらしい!納得。
さてさて焦らしてきましたが、
気になる《御食事》はというと‥
どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!
この効果音がピッタリですよね!丼!
最初はこんな風に焦らして運ばれてくるのですよ。
蓋で隠すように!隠れていないのに!
はみ出てる!はみ出てますよ!!
そしてどーーーん。
見てください。このマウンテン。
天婦羅マウンテン。
ええ、山盛りとは、このこと。
ダンクさまのように食レポが上手じゃないので
アレですが、
さく、じゅわ、ウマーーーー!!
でした。
見た目のインパクト負けしない、お味も素晴らしかったです。
山盛りマウン天丼(勝手に命名)
眼も、舌も胃も、とっっっても満足させていただきました!
吉右衛門様、ありがとうございました。
ご馳走様でした。
「天丼は食べたその日から一ヶ月はもう食べたくなくなる」
そうですね。
なんたって油物。重いと言えば重いし。
お腹ははち切れそうでした。
でもきっとわたしは
こんな日のような日差しを感じるたびに、
この「土手の伊勢屋」を思い出すでしょう。
そしてこの天丼を食べたいと涎を垂らすでしょう。
またすぐ食べたい訳じゃないけれど、
忘れない店、忘れない味。
そんな素敵なお店でございました。
重ねて、ご馳走様でした。
(掲載許可は頂いております。)