投稿者のアーカイブ

「ペンキ屋が帰ってきた」の巻。上編。


待合せ場所である日本橋人形町の交叉点へ向かうオートンの車内、私の胸は張り裂けんばかりであった。

この日の私は朝から妙に落ち着きがなかった。

歯の治療を受けていても、鮨屋で昼メシを食べていても、どこか上の空だった。


あれは夏が終わった九月の初め頃かと記憶している。

自宅のパソコンに一通のメールが届いた。

差出人は見慣れぬ横文字の人物だった。

超老眼の私の目ではその文字を判別するのは難しい。

誰であるか…。

開封してみると直ぐにわかった。

ちょっと驚きはしたが、メールの主はペンキ屋であった。

一年前に西洋へ勉学に行くため退職して旅立った、まぎれもない彼女からだった。

内容は、「昨日帰国しました」から始まる淡白な文章だったが、彼女の笑顔を想像するには充分足りていた。


何を思ったか同じ文章を三回も読んでしまった。

ため息をついて返信について思案してみた。

今の私は直ぐに返信できる器用さはない。

それに返信を認めるには躊躇いもあった。

そこで取り敢えず、「お帰りなさい。後日改めて返信します」

とだけ書いて返信をしておいた。


私は子供だった頃から常に何か考え事をしている。

次回の魚釣り、それに付随する紀行文の構成。そして仕事にも可成りの時間を割く。そのなかに彼女への返信が割り込んできた。

私は彼女が退職するにあたっては、しっかりと送り出したつもりだ。自ら幹事を引き受け連夜の送別会を取り仕切った。

私のボーヤを長く努めてくれた彼女との別れだっただけに、強烈な辛さを感じたが、それも今では解消しつつある。

それに立場上、私が一番大切にすべきは現役で汗を流してくれている社員のみなさんだ。それを忘れてはならない。

また彼女にしたって、私から「逢いたい」と言われても困惑するだけだろう。

彼女は退職間際に私との日帰り旅行に付き合ってくれた。

あれは彼女なりのケジメだったのではないかと思う。

そう考えうると、静観すべし、と己に言い聞かせた。


続く。


2014年10月24日(金)

吉右衛門


※時間の関係で下書きのままでの更新となっております。

誤字脱字、またブラウザーの違いによる不自然な改行等に関しまて

も寛大にご処理くださいませ。


お詫びです。


ブログメンバー各位。


大変申し訳ありません。

今月は公私とも多忙で、記事を書けませんでした。

したがって、更新も出来ません。

次月は頑張りますので、どうぞ寛大に対処くださいませ。


2014年08月24日

吉右衛門。


大手町の朝。


気象庁より梅雨明けの宣言がされた日。

私は早朝に仕事で日本橋界隈にきていた。

そして仕事を終え時計をみると、まだ七時半。

この後、珈琲屋にでも入ってモーニングを食べる予定だったが、

何故か不意に皇居が見たくなった。

気まぐれなものだ。

そして皇居に向かって、

とぼとぼと歩いていくとモニュメントを見つけた。

モニュメントには、「絆」の文字が刻まれている。

また、その隣には歴代の優勝校名が彫られたの板があった。

ここでやっと気がついた。

ここは正月の箱根駅伝のスタート地点、讀賣新聞社の前であった。

毎年駅伝競走は楽しみに視ているが

スタート地点に来たのは初めてだった。

更に歩くと、平将門の首塚の碑があって、

幾人ものサラリーマンが入れ替わり参拝をしていた。

ここは過去にも通りがかったことはあったが、

このような時間に訪れたことはなかった。

私もつられて手を合わせ頭を垂れていると、

背後からラジオ体操の音楽が流れてきた。

どうやら近くに工事現場あるらしい。

時計とみると、八時。

歩き出してから三十分しか経っていないのに、

貴重な経験をした朝だった。


お仕舞い。


2014年07月26日(土)。

吉右衛門。


ごめんなさい。

時間がなく、やっつけで書いてしまいました。

お詫びと言っては何ですが、写真を掲載します。

iPadで撮った写真です。

出来はまずまづでした。


オマケ、

写真上から、

駅伝のブロンズ像。

歴代の優勝校が刻まれている板。

平将門首塚の碑。

同上。

工事現場。












































































「飛び切り美味い、焼き肉屋へ行ってきた」の巻、後編。


メニューが出てきた。

特徴は商品名がカルビ、ロース等の俗称ではなく、

見慣れない部位で表記してあることだ。

よくわからないので、マッコリと特選の盛りを依頼すると、

頼り無さげに見えたのだろう。

女将さんが牛のグラフィックを持って説明に来てくれた。

それによると、先ほどの特選盛りは、

サーロイン、肩芯、芯芯、内ヒラ、とのことであった。


肉が運ばれてきた。(写真は文末)

オっと!。これは凄い。

肉は奇麗に並べられていた。とても丁寧な仕事がしてある。

この肉をひこ棒がハサミでちょん切って焼いてくれる。

ひこ棒のにくい処は、微妙に私の方を大きく切ってくれることだ。

先ずは私のを焼いてから、自分のは隅っこで焼く。

この娘はホントに細かな神経を持ち合わせている。

よい嫁になると思った。

そして彼女を育てたご両親と家庭が垣間みれた気がした。


素敵なお店だ。

あの後も、刺身、たん塩、ざぶとん、冷麺を腹に入れると、

終了時間がきて、一件落着となった。

とても美味しかった。

この店を選んでよかった。

そして何よりよかったのは、ひこ棒が満足してくれたことだ。

女将さんにその辺りのお礼を言うと、名刺をくれた。

名刺みて驚いた。女将さんの名字は、

私が四五年前の青春時代に付き合っていた女性と同姓であった。


払いを済ませて外に出ると、街は酔客が肩を組んで歩いている。

そして見上げた空は、星が奇麗な夜だった…。

ちょっとロマンチックな気分になった。

隣を見ると、ひこ棒の顔が、四五年前の彼女の顔に見えた。

いやはや、いささか酔ってしまった。


お仕舞い。


2014年06月29日(日)。

吉右衛門。


オマケ、

写真上、特選盛り。

写真下、たん塩。

このたん塩はスチレンボード二枚分の厚さがあった。

お店の名称、写真の掲出は許諾済みです。


























「飛び切り美味い、焼き肉屋へ行ってきた」の巻、中編。


店の名前は、「肉の鈴木」。

店は東京メトロの浅草駅から、徒歩で十分強の位置にある。

この日の私たちの予約時間は、十八時~二十時。

それがわかっていながら駅に着いたのは、予約の十分前だった。

頑張って歩けば間に合うかもしれないが、折角の浅草。

早足で歩くのは野暮というものだ。


浅草の街を歩くのは楽しい。

雷門、仲見世、浅草寺…。数ある名所を抜けていく。

ひこ棒も楽しいらしい。持ち前の笑顔が、さらに微笑んでいる。

言ってくれれば、何か買ってやりだいが、

それを強請るような娘ではない。

言問通りに出た。

目的地は通りを挟んだ向こう側にあるが、

ここ迄くると、街の風情がかわる。

どことなく玄人っぽい。芸姑さんでも歩いてそうな雰囲気だ。

いつか女房でも連れて来てやれればよいが…。


店に着いた。独特の入口だった。

入店すると我々の予約席には、すでに火を入れてくれていた。

この意外な展開に、確信犯的に遅刻したことを悔いる。

座敷に通されると、そこは掘り火燵のような席だった。

振り返るとひこ棒が、私の靴を揃えてくれている。

ありがとう…。思わず口に出る、私。


後編へ続く。


カレンダー
2024年12月
« 10月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  
アーカイブ