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2023年某日、「民宿ちゃこ」を訪ねた。の巻。
オレはペンキ屋が可愛い。
ペンキ屋を、猫っ可愛がりしている。
先月の或る日、そのペンキ屋の夢をみた。
切なくて胸が、キュンとなる夢だ。
人間、齡六十が迫ってくると、センチメンタルになっていけない。
あれはペンキ屋を連れて、都寿司へ行った時の夜。
ペンキ屋に喜んでもらいたくて、この店を選んだ。
この店の予約は大変。随分と苦労する。
今回の予約も先々月の半ばにやっとであった。
然し、そこまでしても、
ペンキ屋に、喜んでもらいたかった。
そんな得体の知れない魅力が、ペンキ屋にはある。
夕刻、ペンキ屋と入店。
生の麦酒を1杯、2杯…と飲み干し、お任せで握ってもらう。
美味しい、美味しい、と笑顔で頬張るペンキ屋。
そんな上機嫌なペンキ屋をみて、ほくそ笑むオレ。
連れてきてよかった。オレにとっても至福の時間だ。
宴が進むと、酔いが廻ったのか
ペンキ屋のウナジが桜色に染まってきた。
オレがもう少し若ければ、ロマンチックなハートに火がついて、
次の店に流れるのであろうが…、流れない。
今のオレには、コレが精一杯。
ひと通り飲んで食って、あっけなくお開き。
人形町の駅で別れたのは宵の口の、19時ピッタシだった。
夜。
夢をみた。
ペンキ屋に逢いに行く夢だ。
電車とバスを乗り継いで、どうにか目的地まで辿り着いた。
そこが山の麓なのか湿原だったのかは、覚えていない。
ただ、近くに海はなかった。
バス停で待つように言われ、ぽつ然と待つ。
数分待ったであろうか、
ペンキ屋が、軽トラックで迎えに現れた。
10年ぶりの、再会だ。
軽トラックの側面には、「民宿ちゃこ」
とゴシック文字で小豆色のCSが貼ってある。
そう、オレは今、
昔、働いてもらった娘たちを尋ね歩いている。
そして今回、民宿の女将におさまった、ペンキ屋を訪ねた。
「久しぶりだな、逢えて嬉しいよ」
「こちらこそ、遠い所をありがとうございます」
「オマエ、子供は?」
「3人です。一番上が来年小学校」
「頑張ってんな」
「ぼちぼちです…」
「ぼちぼちなんて言葉、いつ覚えたんだ」
「旦那が、関西ですから…」
そうか、そうだった。コイツの亭主は関西人だった。
「オマエ、変わんねえな」
「社長は老けましたね。幾つになりました?」
「七十…」
「えぇーっ!、ななじゅーっ!」ぎゃははははーーーっ!。
「……」。
この晩、オレは随分とペンキ屋に世話を焼かせてしまった。
ひとっ風呂あびて、
手料理をゴチに成り、飲めない酒も注いでもらった。
「お冬姉さん、元気でした…?」
「白い家に棲んでた」
「スミレちゃんは…?」
「絵、描いてた」
「あとは…?」
「鶴嬢は年をとらない、相変わらずスレンダー。
画伯が帰国してデザイン事務所を開いた。
それから、ピーナツは東尋坊の土産屋に嫁いだ。
あとはオマエの知らない人だし、オレもよくしらない…」。
翌日、バス停まで送ってもらう。
そしてバスが来て、お別れ。
いつまでも、いつまでも、手を振ってくれた、ペンキ屋。
もう逢えないのだろうな…。
でも、ペンキ屋の幸せが確認できたからいいじゃないか。
寂しさと安堵感が入り混じった複雑な思いで、帰路に赴く。
この辺りで目が覚めたのか、
別の夢に移ったのかは覚えていないが、
確か夢のなかで「70」と言っていたから、
これは11、12年後だ。
オレは今、また体調を崩して休んでいる。青息吐息だ。
そんなオレが七十歳なんて、まさに夢のよう。
でも、そこまで頑張れて、
スミレ、ペンキ屋、ピーナッツ、美冬に逢いに行けたらいいなあ。
吉右衛門。
オークションの開催です。
出品物、
○中古のカメラ、中古で壊れたレンズ、中古の付属品。
・カメラ/ニコン(中古)、D5000。
http://www.nikon-image.com/products/
camera/slr/digital/d5000/
・レンズ/ニッコールズーム(中古)、18-200。
http://www.nikon-image.com/products/
lens/af/dx/zoom/af-s_dx_vr_18-200mmf35_56g_if-ed.htm/
・フィルター/上記用純正品(中古)。
・レンズフード/上記用純正品(中古)。
・ストロボ/純正スピードライト中古)。
http://www.nikon-image.com/products/
speedlight/sb/sb-900.htm
・其の他、
・カメラ、化粧箱。
・取扱説明書
・USBケーブル。
・電池(カメラ本体)。
・充電器。
※カメラは発売時期に、木村拓哉さんのCMが放映されていました。
※カメラの購入時期は覚えていませんが、
過日(2012年05月24日)行った検査で、異常は発見されていません。
※レンズは壊れています。
過日(同上)の検査で異常が発見されました。
修理費に最大、@29.243-(税込み)掛かります。見積書付き。
※メモリーカードは在りません。
※ストロボの電池は在りません。
※落札者にご負担頂くもの。
・レンズの修理代。
・メモリーカード。
・ストロボの電池。
※参加資格。
・a、弊社社員。
・b、弊社周辺の方。
・c、弊社イベント時にこのカメラを提供出来る方。
※入札方法。
・コメント欄にお名前を記載。
・2名以上の記載があった時点で打ち切り。
・記載者が集合後して、その場でセリを行います。
現物は私の部屋の置いてありますので、
ご自由に手に取ってみてください。
まあ、そんなところです。
吉右衛門。
吉右衛門の営業日誌、嬉しくもあり寂しくもあり、の巻。
「お疲れ様です!
スミレ、到着しました!
思い出の土地でフラフラしています。
お昼は召し上がりましたか?
近くに神戸屋キッチンがありますが、
サンドイッチでも買っていきましょうか?」
(名前以外は原文のまま)
15時半、
国立駅南口、
このメールの主は、恩田スミレ。
オレの最愛にして唯一の直属スタッフだ。
彼女と向かうは、狭山丘陵にあるイベント会場。
彼女がスタッフとして参加していたこのイベントも、今日が千秋楽。
名残惜しいが、これからその撤去作業に行くのだ。
このイベントと彼女のことを、もう少し書く。
この仕事。
昔、オレが営業して請負い始めてから、今年で七年目。
そして彼女は二代目の担当者。
普通、二代目は初代が敷設したレールを無難に走ることだけで、
個性は発揮しないものだが、彼女は違う。頑張る。
なによりも主催者から可愛がられているのが、嬉しい。
今日は、そんな彼女の張り切りように釣られて、
つい、千葉からノコノコと着いてきてしまった。
……、
愛車ベガ号での彼女は、饒舌。
不眠不休が続く辛い数日間であった筈なのに、
楽日を迎えた安堵感からか、破顔一笑。
あんなこと、こんなことを穏やかに語ってくれる。
グラフィック担当の、激写が頑張ってくれたこと、
職人さんが遅くまで嫌な顔もせずに、作業をしてくれたこと、
自分と同じ様な年齢でも、男性の方が大変そうなこと、
担当者が、最後まで優しくしてくれたこと、
そして、今回も多岐に渡って可成り勉強出来たこと……等々。
「楽しさ、苦しさも楽日まで」とはよく言ったものだ。*1
(*の説明は文末)。
17時半、
蛍の光が流れるなか、彼女を連れて集合地点へと向かう。
その道すがら、ヤケに知らない人達がオレに挨拶をしてくる。
果て、何処の何方さまであったか…?。
頭のなかを捜索するが、分からない。
ス「さっきから何を難しい顔、しているのですか…?」
吉「いろんな人が挨拶してくれるんだけどサ、思い出せなくて…」
ス「あの方はA社のBさんで、先ほど方はC社のDさんですよ」
えッ?、そうだったのか。オレじゃなくて、彼女にしていたのか。
道理でね…。何ともお粗末な話。
それにしても、コイツはいつの間に人間関係を拡げたのだろう。
勝手が違ってきた世界への変遷に、戸惑うオレ。
そんななか今回、助っ人で来てもらった職人さん達とも合流し、
撤去が始まる。
看板、パネルの類の取り外し、サインスタンドの引揚げ…等。
……中略……。
アっと言う間の2時間半で作業は、無事終了。
お疲れさまでした。
20時半、
主催者さんに、御礼のご挨拶。
今年も所沢に呼んでもらったとこ、
不束な娘がひとり、お世話になったこと、
来年も頑張って勉強してくるので、使ってもらいたいこと。
感謝感謝、深謝深謝。
ありがとうございました。
さあ、終わった。スミレちゃん、帰ろうッ。
帰ろうよッ!。
スミレの袖を引っ張るも、ヤツは帰らない。
彼女は彼女で、人間関係が忙しい。
あっちに挨拶、こっちに挨拶と動き廻っている。
ハハーン!、そうか、そうだったのか!。
ココでやっと気付いた!。
彼女は最早、
オレのボーヤではなくて、
このムラの住人に成ったのだ、と。*2
コレをみて、
嬉しくもあり寂しくもありの、オレでした。
お仕舞い。
弐阡壱拾弐年伍月弐拾日、in西武ドーム。
吉右衛門。
次回は「ペンキ屋との逢引、in 都寿司の巻」を書く。
文中のクレジット、
*1、この格言を言ったのは何を隠そう、オレ。
*2、ボーヤとは、付き人の事。
新宿での真っ昼間、彼女のこと思い出した、の巻。
突然ではあるが、
オレには交際をはじめてから
そろそろ七年目になろうかという、彼女がいる。
今し難、つい彼女と書いてしまったが、
彼女との間に不貞は存在しない。
もし、誰かにその関係を尋ねられれば、健全と答える。
会いたく成れば、いつだって会えるし、
食事に誘っても、断わられることはない。
そして、いつも愉しい時間と空間を創ってもらえている。
そんな彼女との出会いを少しだけ書く。
今日の昼下がり、
新宿の雑踏のなかで、腹の虫を満たそうと彷徨っていた。
スタッフと14時半に戻る約束をしていたので、割と時間はない。
そんな時、突然、彼女と数年前に食事をしたことを思い出した。
そうだ、あの日から始まったのだ、と。
2006年の初夏、
オレは或る紹介者の処へ彼女を迎えにいった。
「岩村(オレの本名)です、彼女を迎えにきましたっ!」
そう、告げると
奥の方から彼女が現れた。
初対面ではなかったが、まあ初対面みたいなものだ。
上下黒のスーツを着ていた。
緊張していたのかもしれないが、それが瑞々しかった。
一生懸命笑顔を作ってオレを迎え入れてくれた。
そんな彼女を、食事に誘った。
誘った先は、新宿高島屋の「つばめグリル」であった。
その店へ、暫くぶりに行ってみるか。
そう思うや、直ぐに懐かしの場所へ赴いた。
そして、ハンバーグを依頼して、
あの時の事を頭のなかの隅っこまで探してみた。
すると、いろいろなことが思い出されてきた。
食したのは今日と同じ、ハンバーグ。
席は忘却したが、話題は夏の高校バレー部の事だった。
沢山練習したこと、1年生でレギュラーを掴んだこと、
最後の夏は勝ち進んだものの、負けてしまったこと、
悔しくて寂しくて、いっぱい泣いたこと…。
そんなことを、自己紹介代わりに話してくれた、
あの頃のあいつは、未だ少女の匂いが漂っていた。
オレは、そんな彼女が可愛くて、いろいろな処へ連れ廻した。
はん亭、鳥繁、巨牛荘、みかわ、プレジール…。
あとは何処に出掛けたのだろう。
霞ヶ浦、富士五湖、それと八王子の山の中にも行った気がする。
そうそう、真夜中に彼女を送って行ったら、
愛車のチョロQが動かなく成って往生したこともあった。
……、
そんな彼女の誕生日が、今年も直ぐそこまで迫ってきた。
ということは、数えて7度目の誕生祝いを贈ることになる。
7回も時を重ねると少女の面影はなくなり、女になる。
女になれば……、
悲しくなるから、もうヤメる。
昨秋の入院以来、どうもいけない。
吉右衛門。
次回は、
「恩田スミレ、真夜中の疾風」、の巻です。
金髪、銀髪、茶髪、解禁致します。
2012年04月18日、
大胆な毛染めも解禁します。
今まで、勤めの管理職時代も含めて
ズッと頑に、毛染め禁止令を敷いてきたのですが、
この度、故有って、
一部の社員さんから順次、解禁致します。
実は、ある女優(タレント)さんを見て
衝撃と言うか感動を覚えました。
取り敢えず、
ひこうき雲、エルメス丸の内…………の順、
スミレだけ、駄目。
そうそう、明日はその
ひこうき雲と久方ぶりの逢引をする。
待ち遠しくて今晩は、眠れそうにない。
以上、
吉右衛門。