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吉右衛門の営業日誌、売りました!の巻。


読者さま各位。


どうも、吉右衛門です。

いつも「吉右衛門シーリズ」をお読み頂きまして、

誠にありがとうございます。


冒頭にですが、お断りが御座います。

実はこのシリーズ。

特に営業日誌には、軍の機密事項が幾つか含まれております。

当初は社内用に書いていたのですが、

近頃は、有り難い事に社外の多くの方の目にも留まっているようです。

そこで機密を保持する為、

文章の一部にボカしと嘘八百を大凡10%程度入れ編集しております。

殆ど、洒落と言いますか趣味で書いておりますので、

あまり詮索をなさらないで、

寛大なお気持ちでお読みくださいますと、ハッピーです。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。


復帰して7営業日目、待望の営業日を迎える。

12時半、

愛車のベガ号の助手席に相棒のスミレを乗せて出発。

神田橋ランプから入り中央高速を経由して目的地に向かう。

開口一番、スミレから、

「何だか、久しぶりですね」、

なんて泣かせる台詞を言われちゃって涙ぐむ、オレ。

そうだ、そうなんだ、

入院中からどれだけ、この日を待ち望んでいたか。

…………。

道中、高井戸を過ぎ三鷹、調布とルンルン気分で走行。

傍らのスミレはと言えば、

オレが未だ満足に喋る事が出来ずに暇なものだから、

窓外の景色に合わせて歌なぞと歌っている。


「ねえ、スミレちゃん、その歌なんだったっけ……?」。

「3分以内に当ててみてっ!。当たら今日のDOUTOR奢ってあげる」

えっ!、何だろう、松任谷由実が荒井由実だった頃の……。

うーん、ダメだ、思い出せない。

「スミレちゃん、忘却の彼方だ、ギブアップ」。

「へっへっへ、中央フリーウエイでした」だって。


結局、昼のDOUTORはオレが出すハメと成った。

それをいい事にアイツときたら、

期間限定のハンバーグサンドにミラノサンドAまで食いやがった。


まあまあ、彼女の陰謀にひっかかりはしたものの、

先ほどからカメラを片手に嬉しくて仕方がない。

そこで最初の1件目に到着。

ココは営業に来たのではなく今後、営業に来る為の見学。

早速、入場して状況を把握。大凡1時間滞在して二人で戦略を練る。

続いて予定していた2件目と3件目は時間が無くなり中止。

本日のアポイント先に移動。


16時、

今回の営業のメインイベントである、プレゼンテーション。

オレの仕事は、

案を考案したスミレとベーベとが行った共同作業を、成就させる事。

さて、ご担当者との面談。

この時間にすべてを賭ける。

緊張の面持ちで説明に入ろうと思った瞬間、オレを差し置いて

何とスミレがプレゼンテーションを始めた。

あゝ、オレが居ない間にこんな事も出来るようになったんだ。

前回単独で行かせた事が生きた。

そんな事を思いながら彼女の説明を聴き、幾つかの質疑に応答。

そして、ひとしきりの間があってご担当者の口が開く。

「想像していたより、ズッと良かったです。これなら上に言って頼めそうです」だって。

良かったあ。

この言葉に、気絶しそうなほどの快感を覚える。

営業の喜びが凝縮された瞬間であった。

深謝深謝で、見ず知らずの私どもに機会を与えてくださった

ご担当者に頭を下げ、辞去。

ベガに戻り、

ハンカチで涙ぐむスミレと、密かに祝杯をあげる。


お仕舞い。


2011年11月10日。


吉右衛門。


次回は埼玉県北部に看板を売りに行きます。



戦線復帰、の巻。


今週から、戦線復帰を果たす。

然し、体調はと言うと、未だ未だほど遠い感じ。

ちょっと病気を舐めていたのかなあ。

では何がどうかと言うと、息が切れるのと直ぐに胸が痛く成る事。

これが予測外で厄介。息切れは解消出来そうな気がするが胸痛が問題。

でも、試練だと思って頑張ってみる。


10月31日。

復帰初日。

月末なのと、何よりも職場の娘たちに逢いたくて家を出る。

女房の送車を辞退して、駅まで1.2キロの道のりをとぼとぼと向かう。

昔はこの1.2キロを15分で歩破していたものだが、25分を目標とする。

この速度は大凡時速3キロだから、可成り遅い。

さっき追抜かれた同年代のオバちゃんの背中が、

アッと言う間に小さく成っていく。

そんな調子で駅に着いたが息切れはナシ、安堵して職場に向かう。

職場到着、半数が外出のもよう。

「おはようございますっ」、脱帽してペコリと頭を下げると

娘たちが微笑んでくれた。嬉しい。

やがて外出組も帰社して挨拶に来てくれた。

今日は試運転だから、出納だけして帰宅するつもり。

スミレちゃんを誘って、

最近凝っている「たいめんけん」へオムライスを食べに行き談笑。

穏やかな一日を過ごせて、一件落着。

家路に就く。


11月01日。

復帰二日目。

前日とは打って変わって、試練に直面する。

事の起こりは、こう。

納品物件の売価を積算をするのに、

加工先からの買価の検証中、不審な数字を見つけ感情が高ぶった瞬間、

痛みが胸を直撃した。マズイッ!、怒ると胸が痛く成る。

改めて、感情と肉体の因果関係を思い知る。

更に続く、スミレとホームページの事でひと悶着。

納得を得られず、落胆して職場を去る。

……。

午後は紀尾井町の主治医を訪問。

早期発見の御礼と東京大学付属病院へ半年間の転院の報告に赴く。

そこでの問診で、午前中の出来事を尋ねると、

喜怒哀楽に気をつける事、のんびと余裕をもって生活する事、

自分を追いつめない事・・・を言われる。

オレの様な出来の悪い人間に、

感情の制御など出来るのだろうか……?。

また、交渉ごとや営業を続ける事は出来るのだろうか……?。

事態の容易成らざる事に、暗澹たる気分で家路に就く。


11月02日。

復帰三日目。

12年前は退院後、2ヶ月安静にして休んだ。

然し、今回は1週間で復帰。

こんなにも早く復帰したのは、

社長だからではなく、早く営業に行きたいから。

最近、やっと成果が出つつある、この営業活動を大切にしたい。

野球が見れなく成ってもいい、釣り竿を折られてもいい、

何でも甘受するから、営業だけは最後までやらせて欲しい。

……。

出社して直ぐに9月の数字を検証、イテテッ!、胸に痛みが走る。

然し、10月の数字には安堵、美冬とひこ坊が頑張った。

そして、不束な彼女等をお座敷に呼んでくれてた方々にも感謝、

ありがとうございます。

……。

スミレが帰社、嬉しい事に新規の顧客から受注してきた。

そして昨日の延長戦。彼女に対案を求めたら、

ビシッ!とオレでは考えもつかなかった妙案をだしてきた。

ココに己の敗戦と彼女の才能を知る。

またも、彼女に迷惑をかけてしまった、ごめんなさい。

更に体調と営業の事を話していたら不覚にも落涙してしまった。

然し、昨日もそうであったが、

スミレが相手だと「怒」も「哀」も平気なのは何故だろう。

……。

午後はペンキ屋と美冬と談笑。

あの二人を話していると目尻が下がり、体調が回復する。

15時に退社する予定もダラダラと長居をしていたら、

スミレにVIPから電話。電話が終わった後、

内容の報告を受けたら、年始のイベントを受注したとの事。

これには、気絶しそうな快感を覚える。


いやはや、僅か三日間だったけど

職場の娘たちに助けたもらった。

ルンルン気分で家路に就く。


お仕舞い。


2011年11月03日、文化の日。


吉右衛門。


吉右衛門の闘病日誌、安静の日々の巻。


先週の土曜日に娑婆に戻ってきてから、そろそろ一週間。

安静の日々を過ごす。


朝6時を知らせる体内時計で、起床。

起床とともにスポーツ新聞をエントランスに取りに行く。

話題は昨日のドラフトの事一色。

それを眺めながら野球のブログに、一筆啓上。

このブログは「ブログ村」に加入している事もあり、結構な賑わい。

ランキングは10位前後。

お若い方々に混じってヤラセてもらっているから、こんなものだろう。

それの投稿が終わってから、事務所に業務連絡のメールを発信。

こんな事をダラダラとやっていると8時を迎え、朝食。


9時半、

この時間は事務所が開く時間。

何も連絡が無い事の確認が出来、読書と朝寝で過ごす。


11時半、

今日は体調が良いので、最寄りの稲毛駅に向け散歩を兼ねて出発。

今、散歩と書いたが目的はもうひとつ、

12時に駅前のパン屋で焼き上がる林檎パンを買いに行くのだ。

そう、困った事に、

オレはどんなに体調が悪くても、食欲だけは衰えない。

出発時に女房に豆乳入りの鯛焼を買ってくよう、言いつけられた。

とぼとぼと1.2キロの道のりを30分かけて歩き、駅前に到着。

ちょっと息が切れたので、パチ屋で休もうか。

この稲毛駅、駅周辺にパチ屋が3件ある。

このうちの1件に、

オレの好きな「パチンコ中森明菜」が1台だけ設置してある。

やりたいな、一瞬思うも今のオレは、

タバコの煙をちょっと吸っただけで、死んでしまいそう。

だから諦める。

次に花壇に吸い殻を押し付けている、とんでもないジジイを見つけた。

「オイ!、ジイさん、何処に吸い殻を捨てとるんじゃっ!」

普段なら菅原文太風に言ってやるのに、

声を荒げると胸に響くから自粛。

これが今の、実情。

ちょっと歩いただけで息切れはするし、

やりたい事を我慢して、言いたい事も言えずに、

堪え難きを耐えているのだ。


女房に頼まれた鯛焼を買う。

そうそう、怒られるので

行く時に渡されたスタンプカードに忘れずに押印してもらう。

そして商店街のスロットを廻したら、ワカメが揃って1ポイント獲得。

これに気を良くして職場に電話をしよう、と思ったが今は昼休みだから

ヤメておいた。

そう言えば、スミレから取引先に納めた物件のチケットを貰ったので、

元気に成ったら一緒に行きましょう。とのメールをもらった。

このように弱っている時は、人の優しさが身に沁みる。


嗚呼、こんな日々はつまらない。

多少の事はあったも、男は営業だっ!。

林檎パンを買い、バスに乗り家路に赴く。


お仕舞い。


2011年10月28日。

吉右衛門。


吉右衛門の闘病日誌、最終回の巻。


またも近代医学のお陰で助けられました。

12年前にやった時は急性で、三途の川から戻ってきたのですが、

今回は主治医の先生と紹介先の先生の的確な判断で、

何とか未然に防ぐ事が出来、なんだか九死一生を得た感じです。


今度の事では家族に迷惑を掛け、社員さんには心配をかけました。

職場には早ければ来週から戻る予定ですが、

あまり病人扱いはしないでください。


東都クリニックの主治医の先生、

東大付属病院で手術をくださいました先生方、

朝に夕に身の回りの世話をしてくださった看護師さんたち、

そして職場の娘さんたち。

OGのハナコさん、ピーナッツ。

どうもありがとうございました。


これで闘病日誌も最終回とします。


来月からは、営業日誌の復活です。


どうぞよろしくお願いします。


2011年10月25日


吉右衛門。



吉右衛門の闘病日誌、六日目の巻。


不眠が続く。原因は不慣れな環境や手術後の処置。

そこで昨晩は思った、入院最後の夜くらいは寝てやろう、と。

前夜、23時まで睡魔を完封して就寝、朝まで寝るつもりであったが、

残念でした。またも午前2時に目が覚めてしまった。


真夜中に天井と睨めっこをしていて思考が流れた先は、女房の事。

今回の事では、彼女を随分と不安に陥れ心配をかけた。

今更だけど、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

今からちょうど40年前、

オレはまだ若くて可愛かった、彼女を口説いた。

そして「うん」、と言わせ所帯をもった。

一緒になった当初は、こんな事は考えもしなかったが、

苦楽を共にし、お互い年を重ねてくると、

男として守らなくては成らないものが、わかってくる。

そう、口先だけではなくて、だ。

彼女は結婚してから36年の間、

家事と育児に勤しみ、いわゆる勤めを経験していない。

そんなわけだから、オレに先立たれたら、路頭に迷うだろう。

ましてや、世はエレクトロニクスの時代だけに尚更だ。

それに、何よりも40年も一緒に暮らしていただけに

寂しさにも耐えられないだろう。


その辺の処をよく考えてみると、

矢張り、オレが先に逝ってしまうのは酷だろう。

ズッと昔の事だけど、

口説いた時の、「幸せにする」って約束は守らないといけない。

だから、その辺の寂しさや悲しさは、オレが全部引受けるべきだ。


前夜に任侠映画をみていたせいで、妙に男がでてしまった。


そんな事をグルグルと考えていたら、夜が明けた。

窓の外は雨、路面が濡れている。

そんな景色を延々と眺めていたら、

女房と娘が疾風のように現れて、アッと言う間に部屋を片付け、

看護士さんに部屋の明け渡しをして、一件落着。

退院と、相成った。


オレの細く閉塞されつつあった血管を拡げてくれた先生方、

毎朝、毎夜オレの世話をしてくれた看護師さんたち。

どうも、ありがとうございました。

オレは、退院します。


お仕舞い。













ブジカエル。


2011年10月22日。

吉右衛門。



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