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吉右衛門の闘病日誌、私、入院します、の巻。
あれは八月の終わり頃の事。いつもの定期検診での問診で些細な不調を
伝えた自分の言葉が主治医の先生の経験を刺激して、直ぐに幾つかの検
査を受け、幸いにも古傷の衰退を発見する事が出来た。
その日の診断結果はストレスの回避と運動を停止しての経過観察で済ん
だのだが、翌九月の家族を交えての面談では、他院での精密検査を薦め
られた。
十月十二日、つまり今日。
女房同伴で東大病院へと向かう。
オレは学問が無いから東大などと言うと気後れしてしまうが、偏差値と
受診には関係が無いもよう。
先ず指示に従って受付けに廻ったのだが、驚いたのは脇に表示してある
予約患者の数。この日の患者数が何と3.500名とある。
流石に大病院だ。システム全てが電子化されていて何事もスムーズに処
理されていく。ココだけの固有名詞であろうか外待合い、中待合いなん
て表記もあって、最初は外待合いでポケットベルを持たせれて待機、コ
イツが鳴れば中待合いに進出し、先生に呼ばれて診察室に入ると言う寸
法。オレは自分の体でありながら、どうにでもなれとも何でもいいや、
との心境だが女房は落ち着かない様子、それに妙に優しい。こんな優し
い彼女のに触れたのは何時以来の事であったか……?。そんな事を思い
ながら順番を待っていたらオレの名が呼ばれた。
恐い先生でなければいいなあ。淡い期待を胸に女房と入場してみると
寡黙そうで如何にも名医って感じの先生。診察開始と同時にテキパキ
とオレに質問を浴びせてくる。そして血圧やら脈を測った末に入院の
話が出るのかと思いきや、先生の口から出た言葉は検査の指示。X
線、心電図、血液検査を受けて欲しい、との事。何で検査なのだろう。
もしかしたら入院は回避出来るのかもしれない。
ちょっと希みが出てきたぞ。
自分に都合よく膨らませた希望を胸に検査に向かう。
三カ所で検査を受けたのだが、何処に行っても家族に付き添われている
お年寄りの姿を目にする。みな現役の頃には先頭に立たれて仕事をして
いたように見える方々だ。オレもあのように成るのかなあ。そんな事を
ぼんやりと思いながら、傍らで甲斐甲斐しく世話を焼てくれている女房
をみていると、他人事ではない、オレも既に成っているかもしれない、
と思った。
さて、検査も終わり再び待合いで待っていると、先生の声。
入室すると間をもって、徐に結果を言われた。
「再発しています」。続いて、
「緊急的に入院した方がよいでしょう。直ぐにでも大丈夫ですか?」
緊急的……?。そうか、そんなに悪いのか。自分の体でありながらどう
にも実感の無いオレ。でもまあいい。直ぐに、いいですよ、と言いかけ
た処で思い出した。そうだ、金曜日には営業があったのだ、と。
自分にとってこれは欠かせない生命線だから、
「明後日に予定していた仕事が有るので、来週では駄目ですか…?」と
応えると、
「仕事って何をするのです……?」
「営業です。人に会いに行って営業しますっ!」
「…………」、少々間があり、コイツはこの期に及んで何を考えている
のだろう、との不思議そうな顔ではあるが、
「大丈夫ですか……?」と聞いてくれたので、間髪を入れず
「へっちゃらです」と言っておいた。
そう、コレばかりは多少の事があっても、頑張りたいのだ。
「では、来週という事で、仮予約します」。
これにて一件落着、かと思いきや、女房の泣きそうな顔を見て思った。
今晩予定していた美冬との納品はヤメておこう、と。
午後にも検査をひとつ追加されての昼休み。
事務所に居た美冬に、今晩は御免ね。と詫びの電話をしたのだが、明る
く優しく対処されてしまった。今のオレにはコッチの方がズッと辛い。
体の方は今更、人に言われなくたって、自分なりには知っているつもり
だ。何せ、自分の体なのだから……。
今、自分がやらなくはいけない事、やりたい事って何だろう。
この秋から急速に失速した業績の立て直し、先日の事故での相手方への
見舞い、そしてこのボロボロになってしまった体の休息と手当。
いろいろとあって悩んでしまうが、矢張り一番大切にしたいのは、
勤めてくれている娘たちとの時間と営業だ。
体育の日の美冬との時間は楽しかった。
そして営業を再開しよう、と決めた時からこう成る事はある程度予想し
ていた。それでもやりたかったのは、燃え尽きてなかったのだろう。
今年は大変事が続くけど、事務所に行くのが楽しいもの。
…………。
まだまだ、書き足りないけど、
ちょっとの間、休ませてもらいます。
こんな大事な時に、ごめんなさい。
お仕舞い。
2011年10月12日、 吉右衛門。
私は友近由紀子さんが好きです、の巻。
先週の某日の事。
軍歌を歌いながら入浴をしていたら、
居間から途轍もなく上手い歌声が聞こえてきた。
曲はオリジナルを沢田知可子さんが歌う、「会いたい」。
歌声が沢田さんとは違っていたので、
風呂から上がってテレビの画面を見やると、
時々見かける女性の顔。
傍らの女房に「この人、誰……?」、聞いてみると
「ともちか……」だって。
「……?」そんな名前は知らないから、
「ふーん」と気のない返事をしていたら、
「録画してあるから、あとで観れば」だって。
パジャマを身につけて、改めて録画を見てみると、
上手いのなんのって、聞き惚れてしまい何度も見直してしまった。
いやあ、うまいっ!。
時は流れて、四日の火曜日。
スミレを連れて営業に行く往路、
この「友近」なる女性について聞いてみると、
ニッポン人の多くが知っている有名な方らしい。
オレは知らなかったけど……。
職業は芸人さんで歌手ではないらしいが、歌は上手いとの、事。
そこで、帰宅してからCDを買おうと思ったが、
残念でした、どうやら曲を吹き込んだ形跡はない。
仕方がないから、
今度のカラオケで、ピーナッツに歌わせよう。
今、こうしてブログを書いていても、
脳裏に染込んだ彼女の歌声が流れてやまない。
素敵だったなあ。
これを書き終わったら、早速ファン倶楽部に入会しよう。
会いたい
ビルが見える教室で ふたりは机 並べて
同じ月日を過ごした
すこしの英語と バスケット
そして私はあなたと恋を覚えた
卒業しても私を 子供扱いしたよね
「遠くへ行くなよ」と
半分笑って 半分真顔で 抱き寄せた
低い雲を広げた 冬の夜
あなた 夢のように 死んでしまったの
今年も海へ行くって いっぱい 映画も観るって
約束したじゃない
あなた 約束したじゃない 会いたい
波打ち際 すすんでは 不意にあきらめて戻る
浜辺をただ独り
怒りたいのか 泣きたいのか
わからずに 歩いてる
声をかける人を つい見つめる
彼があなただったら あなただったら
強がる肩をつかんで バカだなって叱って
優しくKissをして 嘘だよって抱きしめていて
会いたい
遠くへ行くなと言って お願い独りにしないで
強く 抱きしめて 私のそばで生きていて
今年も海へ行くって いっぱい 映画も観るって
約束したじゃない
あなた 約束したじゃない 会いたい
お仕舞い。
2011年10月09日、 吉右衛門。
彷徨、そして迷走の、の巻。
2011.09.22。
昨夕の事。
月末が近いのと週末の連休に備えて、仕事を自宅ですべく早めに事務所
を出る。
16時45分、国鉄総武快速線馬喰町駅に着くと既に電車は停止していて
駅員さんが振替輸送の切符が配布している。
これは大変、京成電車で帰れねば、と都営浅草線東日本橋駅から浅草線
に乗車。震災翌週の事を思い出しながら揺られていると、何と一駅目の
浅草橋駅で停車。然も、大風の影響で地上部の電車が運転を見合わせた
との事。こんな事なら都営新宿線で本八幡に向かった方がよかった、と
後悔。
さあ、どうしよう。適当に地下鉄は稼働しているみたいだから、新宿線
に戻り本八幡からタクシーで帰るか、タクシーが探せなければ馴染みの
鮨屋で時間を潰し総武線の運転再開を待つ。或は半蔵門線で錦糸町に出
てタクシーを待つ。まあこんな処が頭に浮かんのだだが、気になるのは
自宅に送った仕事の処理。取り敢えず地上に出て、タクシーが居れば乗
せてもらおう、と出てみたが凄い風雨で自慢の∅2.400の傘でもどうし
ようもない。嫌、それどころか差し続けていれば命の次に大事な傘が、
壊れてしまいそう。そう思って途方に暮れていたら、都バスがやってき
た。行き先をみると南千住行き。今、置かれている優先順位は屋根の下
に緊急避難する事だから、有無を言わさず乗車して帰路経由を思案して
いると、次は蔵前、との車内アナウンス。このアナウンスに反応して、
大江戸線で森下を経由して新宿線に乗ろう、と乗換て森下までやって来
てみたら、想像を絶する凄い人ごみ。それでも3車両待ちで満員寿司詰
めの車両に強引に乗車。大学時代、ラグビーをやっていてよかった。
さあ、これで帰宅に向かって大きく前進したぞ!、と頭のなかに鮨屋の
親方の顔が浮かんだ瞬間、またも車内アナウンス。内容は地上部の船堀
付近が大風の影響で運転を取りやめたとの情報。
まいったなあ。この状態で何時動くかわからない車内にいるわけにはい
かない。再び地上に出て、宝くじの確率のタクシーを待つが、敢えなく
ギブアップのハメ。
仕方が無い、根性無しの愛車ベガで帰ろう、とまたも大江戸線に乗り御
徒町経由で小伝馬町へ戻る。
さっき森下で可成りの時間、タクシーを待っていたお陰でパンツまで
ズブ濡れに成った。事務所に戻って暖をとろうかと思ったが、それは
あまりにも格好が悪い。
依って、とぼとぼ歩いてベガの家に向かう。
これは19時45分の事。
いろいろな意味で、お粗末様でした。
お仕舞い。
2011年09月22日(木)
吉右衛門。
近所のコンビニエンスが替わっちゃった。
事務所の近所のコンビニが、ファミリーマートに替わっちゃった。
早速、新装開店の今朝立寄って品定めをしていたら、
キャンペーンガールに声をかけられてカードへの加入を勧められた。
別に興味が無いので、
「それよりも、前の店舗時代の店員さんはどうしたの……?」と
尋ねてみたら、ガーッン!。
「みんな替わりました」だって。
随分と長く通っていたからなあ。
ウチのペンキ屋に恋心を抱いてくれていたAさん。
昼は近くの珈琲屋で一服していたBさん。
みんな何所へ行ってしまったのだろう。
こうやって友達を無くしていくんだなあ。
ちょっと寂しさを感じた、朝でした。
吉。