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カラオケの巻、前編。
カラオケに行こうか…。
そんな恐ろしいことを、わたしの間抜けな口が勝手に口にしてしまった。
そしてそれが現実になると段々と憂鬱になってきた。
そもそも歌唱にまったく自信がないし、
知っている曲といえば任侠の世界のものばかりだから、
女性スタッフが多い場にそぐわない。
それに腹から声を出すことが出来ないので、
いちいち立ち上がらなければならないし、年々、
口も回らなくなってきたから曲のテンポについてゆけるかの不安もある。
そんな思いを払拭すべく、
前日が日曜日だったのを幸いに独りでカラオケ屋にゆくことも考えたが、
いざとなると腰が重い。そこまでしてまでとの思いに負けて、
ついぞ、当日を迎えることになった。
入店して参加してくれたスタッフを数えると、自分を入れて七名。
確か予約は二時間と訊いていたので、一人頭の割り当てを考えると、
百二十分からロスタイムを除くと、おおよそ百十分。
一曲を消化するのに要する時間は五分程度だから、合計の歌唱数は二二曲となり、
それを七人で割れば、割り当ては三曲ということになる。
三曲なら何とかなるだろう…。
意外と少なかった割り当てに安堵して、一年半ぶりのカラオケが始まった。
明日に続く。
17年12月11日。
吉右衛門。
未校正につき、誤字脱字、乱筆乱文をお許しください。
「続・天王山へ登った」の巻。
昨夜、今朝のゆき先を散々悩んだわたしは宿のある新大阪から市営地下鉄と阪急線へ乗り継ぎ、天王山のある大山崎駅で下車する。
とりあえず駅前に立つ看板を眺めると資料館に美術館、そして酒造メーカーの蒸留所もあるようだ。
これならここで一日を過ごせそうだ。
暑くならないうちに山へ登り。下山してからは周辺の文化施設に営業もしてこよう。そう思ってトボトボと山の麓に向かうや、愕然とする。
わたしを出迎えたのは、眩暈がするような急坂だった。
続く。
17年11月19日。
吉右衛門。
未校正につき、誤字脱字、乱筆乱文をお許しください。
おまけ
キャプション、上から。
一度は乗りたかった、阪急電車。
駅前の看板。
同上。
天王山の入口看板。
同上、登り口。
「天王山へ登った」の巻、その壱。
今年の夏。
わたしは然る方と会うため関西に出向いた。
日程は予備日も含めて三泊四日。
おそらくこの二日目か三日目に会合が設けられる思い、余裕を持ってこの日程を組んだ。が、その要件が思いがけず初日に組まれてしまい、二日間の空白が生まれた。
さて、どうしよう…。
この二十年、旅とは縁のないわたしは悩んだ。
宿泊している宿は大阪駅の近く。故に、何処へでも往ける。
府内であれば幾度となく登ったことのある大阪城、生理的に好きな通天閣のある西成地区、悲しい色やねの舞台となった南港。県外であれば播州の播磨灘、紀州の熊野、四十年前の遠い昔、新婚旅行で訪ねた洛北・嵐山もよい。
こうして悩んだ末に出した結論は、京の天王山へ登ること。
決め手となったは、その日の夜の会合で用件終わりに語り合った歴史話の印象が色濃く残っていたためだ。
続く。
17年9月23日。
吉右衛門。
未校正につき、誤字脱字、乱筆乱文をお許しください。
「怪獣捕獲ゲーム、怪鳥を捕まえたの巻」、続編。
スーパーマーケットに着いてからも未練がましく、
スマートフォンを片手に近所の出現情報を探っていると、
またも怪鳥が出ているのに気がついた。
オット! こうなるとチキンどころではない。
ここから出現地点までの推定距離は、三百米。
先ほどの教訓から急がねば後の祭りにもなりかねない。
さて、どうする?。
駐車したばかりの愛車で駆けつけるか。
いやいや、それはダメだ。
駐車場を出るのに手間取るし、
何より現地に車を停められる保証がない。
そう考えると、曇り空とはいえ、このムシムシする中を、
巨体を揺すっての駆け足で急行するしかない。
走ることには甚だ自信はないが、
この千載一遇の好機を逃すわけにはいかない。
こうして外に出ると、嗚呼、天は我を見捨てず!
そこに一台のオートンが停車したではないか。
有無を言わさず後部座席に乗り込むと、
「運転手さん! この先の携帯電話屋まで行ってちょうだい」
「え? お客さん。あそこまでなら歩いたって五分くらいですよっ!」
「事情があって急いでいるのよっ!酒手を弾むから頼むよ!」
現場に到着。
いるいる。同業者が携帯電話屋の前にひしめいている。
オートンを飛ばしてきた甲斐があった。
早速、チケットを差し出し仲間に入れてもらうと、
そこには大きな鳥が翼を広げて威嚇していた。
こいつに立ち向かうのか…。
甚だ自信はないが、俺も男。やらねばなるまい。
蛮勇を奮って、我が精鋭を並べて突入してみたものの、
次々に倒され残すは緑色の恐竜だけとなった。
が、多勢に無勢。最後は数の力で押し切った。
しかし、問題はここからだ。
これから始まる捕獲ゲームで何としても、この大きな怪鳥を、
白いカプセルボールの中に封じ込めねばならない。
わたしにそのようなことができるのであろうか。
実はわたし。
このゲームを始めて、間もまく一年になろうとしているが、
捕獲の絶対条件であるコントロールはままならないし、
曲がり玉を操ることなど、夢のまた夢。
おそらく、この手の遊戯は日本で一番、下手かと思う。
そのわたしが、九つ支給されたボールを投げ出した。
ひとつ、ふたつ、みっつ…。そしてよっつめに投げたボールが、
偶然にも飛び回って威嚇していた怪鳥の着地点に
重なり合うかのように落下した。
とりあえず、怪鳥をボールに入れ込んだ。
ここで飛び出してこなければ、一件落着であるが、
そうは問屋がおろすかどうか、緊張の瞬間が始まった。
クルっ、クルっ、と、ボールが回り出す。
ゴクリっ!、と生唾を飲み込み見守るわたし。
もう一度回るとハッピーエンドでるが、果たして…。
クルっ。
怪鳥が出てくることはなかった。
やった! 捕まえた! 本懐を遂げたぞっ!。
脳天に突き刺さるほどの快感だった。
お仕舞い。
17年8月6日。
吉右衛門。未校正につき、誤字脱字、乱筆乱文をお許しください。
「怪獣捕獲ゲーム、怪鳥を捕まえた」の巻。
「おじさん、はやくはやく!」。
見知らぬ女の娘に急かされて小走りで現場に向かう、わたし。
そこにはざっと20人くらいの怪獣獲りの青年たちが集結していた。
で、これから配信が始まったばかりの怪鳥戦に挑むはずであったが、
残念でした。
一歩違いで間に合わず、すでに戦いは始まってしまっていた。
となると次の回を待たねばならぬわけだが、そこは過疎の悲しさ。
もうそこに青年たちがやってくることはなかった。
しょんぼりしながら家路につくと家内から電子メモ。
「子供たちにチキンを買ってきてください」
「ええっ」と、思いながらも、
子らのことを考えると行かないわけにはいくまい。
そして素直にスーパーマケットへ向かったことが、吉と出た。
続く。
17年7月29日。
吉右衛門。