吉右衛門へら鮒釣り2011
◎第柒回釣行 08月27日(月)
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戸面原ダム。
前島。
戸面原ボートセンター。
晴天、微風。
気温31度、減水7.8m、水温28度、水色澄み。   

前島入釣の巻。

掲示板が迷惑書き込みの横行により、再開の目処が立たなくなってきた。いや、目処が立たないと言うよりも、最早、再開することは難しいのかもしれない。
五月の半ば頃からだった。昨夏に続いて、迷惑書き込みが横行しだしたのは。
その数、一日約五件。
これが毎日決まって書き込まれてくる迷惑書き込みの件数だ。
当初は毎朝パソコンを立ち上げると共にせっせと駆除していたのだが、段々とその作業も煩わしくなってきた。
そこで、この釣行記の制作管理を依頼しているプロフェッショナル氏に相談をしてみると、インターネット上で掲示板を運営するのには避けられない迷惑妨害とのことで、先方は機械を使って自動処理をしてくるらしい。
──誰が何の為に…。
しかも、書き込まれた内容は文字化けをしているから、何が書かれているのかさえも分からない。
まったくもって、である。
そもそも掲示板を作ったのは、作り手が一方的に記事を公開するばかりでなく、読み手の方々からの意見や助言もサイトに反映させたかったからだ。
そこで対策であるが、前述のプロフェッショナル氏によると、有効的な対抗手段はなく、強いてあげても会員制への移行くらいしかないらしい。
しかし、会員制ともなると登録やら何やらと、みな様にはこれまで以上に面倒をお掛けする事となるので、それは避けたい。
この掲示板には、熱心な方からの助言や励ましを沢山頂戴してきた。それに今年のリニューアル版からは、職場のお嬢さんが描いたイラストも活用していただけに、残念でならない。
このまま対抗策が講じられないでいると、来年のリニューアルで撤去の憂き目となる。なんとかするつもりではあるが…。

今年は魚が釣れていない。
二度もオデコを喰らったこともあり、魚籠に泳がせた魚の数は、合計で四八匹だ。
これは釣行六回での数字だから、今年は三桁に届かないだろう。
しかし、寂しい釣果とは裏腹に、その内容は寂しくない。
今年も最初の方はそうでもなかったが、あの大風の日(第四回)の第1カーブ以来、予定日が来るのが待ち遠しくて仕方がない。
自分は病気のせいでいろいろな制限をうけている。それだけに、釣行に費やせる時間は貴重だ。
その貴重な時間で、魚と感動の出会いがしたい。
昨年の晩夏。
前島で苦労して釣った魚を、「渾身の一枚」と題した。
今日、またその前島に舟を結ぶ。
渾身とまではいかなくも、魚に出合えれば嬉しい。

いつものように戸面原ダムに到着したのは、午前七時。
入店と同時に、前島の情報収集にかかる。
そこで、普段はあまり縁のない大学ノートに記してある釣果表を捲ると、昨日は珍しい場所から竿頭が出たようだ。
南郷岬傍の道跡であった。
──南郷岬か…。
ここが釣果表に登場してきた記憶は殆どない。
「随分と珍しいポイントから竿頭が出たのですね」
と尋ねたのは、オレ。
「何度も来られて探られていたようです」
との答えたのはボートセンターの管理人である、相沢さん。
前回苦い思いをした「探る」なる言葉が今回も登場した。
そして改めて前島の名を探してみたが、三週間ほど前にポツリとあるだけで前二ヶ月まで遡ってもこの時だけでしかなかった。
釣果表をテーブルに戻し、本湖を眺めてみても釣り人の姿は石田島の対岸辺りに幾名かが見えるだけで、前島に人影はない。
これで現在の前島の釣況が理解できた。
恐らく今日も、オデコと一枚とのせめぎあいになるのだと思う。
しかし、釣果よりも元気に釣りに来れて、前島に舟を浮かべられることが何よりも嬉しい。
……、
道具を担いで、いざ出陣。
桟橋に降りようとすると、
「吉右衛門さん!今日は’釣ってきてくださいね」
奥さんが満面の笑顔で送ってくれたのだが、これには苦笑するしかなかった。
そうだ、そうなのだ。今日は’の「は」には意味がある。
この夏の最盛期に、オレときたら、二回連続のオデコ中なのだ。

相沢さんに送られて、ひとり桟橋を離れる。
そのまま前島に向かってもよいのだが、前回苦戦した馬ノ背の減水風景も見ておきたい。
そう思うや進路を変えて寄り道をしてみると、そこで出会した光景は想像以上であった。
今朝の減水は7.8米。前回は5.1米だったら、2.7米減だ。
これだけ減ると前回、苦戦した理由がよくわかった。
直下に掲出した写真で説明する。
あの日、自分は赤く○印をした三カ所の立木に舟を結んだ。
今朝、陸となって露出している馬の背中の部分は水の中で、水位はと言えば、その一尺半くらい高い位置にあった。
ということは、
自分は垂直に屹立した崖を相手に探りを入れていたことになる。
遠浅を期待して探っていたのは、虚しい努力だったのだ。
釣り師はこうして得た経験を知識として蓄積し次に備えるのであろう。しかし、オレは馬鹿だから折角の経験も来年まで覚えていられるか、甚だ自信がない。
そして序でと言っては何だが、昨日竿頭を輩出したポイントも後学のために見学したみたが、ただただ恐れ入るだけであった。

釣行記写真
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馬ノ背の南郷岬側断面図。
赤○印の立木三カ所に舳先を結んで、底を探った。

さて、馬ノ背をぐるッと廻り本湖に戻ると、石田島の一等地が空いていた。
──あそこで竿を出せば、大漁が期待できる…。
浮気の虫が疼かないでもないが、そんな誘惑には目もくれずに、前島へ向かう、渋いオレ。
数分漕いで、前島に到着すると昨年渾身の一枚を釣った場所とは違い、川又寄りの深場に絶好の立木をみつけた。この減水で露出してきたのだろう。
嬉しいことに、上の枝にはトンビが羽根を休めている。
──あの立木に舟を結ぼう…。
吸い寄せられるようにして、トンビの下に陣を張った。

釣行記写真
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本日入釣場所の、正面図。
真正面の樹木の向こうが、ボートセンター。

◯本日のデータと予定。
・目標/定めず。
・竿 /朱門峰凌.9尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ.13番。
・鉤素/450粍+600粍。
・餌 /麩系両団子。
・納竿/十五時。

午前九時。
天気晴朗波ハ凪。
第一投を投入して、今季七回目の釣りが始まった。
無風のためか湖面がそよとも動かない。まるで鏡のようだ。
静かなること林の如く。
そんな湖面に浮子を入れるが微動だにしない。
長閑なものだ。
蝉時雨が心地よく耳を刺激し、大空高くトンビが舞っている。
この長閑さは、オデコを予感させるに充分であった。
一日頑張っても、浮子が動かない気がしてきた。
そうなれば三連続オデコの新記録が生まれるが、それは前島に舟を結んだ時点で覚悟のうえであったから、大して悔いはない。
やるだけのことをやって釣れなければ、竿を放り出して、前島の天辺に生えている一本木でも撮りにいけばよい。
……、
オデコのことばかり考えていたら、不思議な疑問が湧いてきた。
今更であるが、オレは何で釣りの対象魚をへら鮒にしているのだろうか…。別にこの魚である必要はないような気もするが…。
再開して五年半になろうというのに、この釣り特有の釣果を競い合うことには尻込みをするし、昨今は向上意欲も減退気味だ。
それに先ほど見てきた南郷岬で底を探るなんてことは、想像すら出来ない芸当に思える。
しかし、ハヤ、ヤマベ系の細長い魚では物足りないし、外来魚を釣るに動き廻る体力もない。それならば河川でコイやマブナを追いかけるのがいいような気もするが、どうもしっくりこない。
では何が好きか考えると、ダム湖で小舟を浮かべて糸を垂らす、このスタイルが、何とも捨て難く好きだ。
こうして考えてみると優先順位は、
景色のよいダム湖であること。
出来れば舟がよいが、空いていれば桟橋でもよい。
対象魚はへら鮒に越こしたことはないが、別にコイやマブナを嫌うわけではない。
そんな呑気なことを考えていたら、時計は十時、十一時を過ぎ、十一時半を廻った。
開始から二時間半。
同じ仕掛けと餌で続けてきたのだが、そろそろ何かを替えてみたくなった。
替えるのは竿か餌か、はたまた浮子の位置か。
──何でもいいから手近なことからやろう。
そう思って、先ずは浮子を二本弱の位置まで動かした。
この程度のことで事態が好転するとは思っていなかったが、嬉しいことに、これが吉とでた。
一投目で浮子が、ツンと動いたのだ。
浮子の動きに呼応して胸の鼓動も、ツンとふるえた。
オデコと諦めかけていた釣りに、灯りが点った。
まだ浮子を動かした犯人の正体はわからないが、へら鮒だと自身に言い聞かせた。
──そうでないと、今日もオデコだ…。
結果は別としても、悔いを残さずにやろうと思った。
普段はタナを浅くしても、天々仕掛けの浮子のままで続けていたが、それなりの仕掛けで対処しようと決めた。
これに賭けるしかないと思ったからだ。

釣行記写真
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減水して露出した立木。
今回はこの木の世話になった。

釣行記写真
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同上、一服しているトンビ。
こいつの下に、舟を結んだ。

正午。
・浮子/杉山.2番。
・鉤素/330粍+400粍。
仕掛けを小浮子の浅ダナ仕様に替えると変化がおきた。
竿が振り難くなって、浮子も遠くになった。
覚悟の上とは言え、この変化と竿の交換に要したロスタイムで、魚信は消えた。
──交換するんじゃなかった…。
悔やまないでもなかったが、諦めずに続けるしかなかった。
……、
六十分もかかって、やっと魚信が戻っだ。
十分間に一回くらいの割合だが、ツンとはっきり動く。
この動きに心は弾むが、空振りの連続だ。応急的に餌を工夫してみても効果はない。
そんな時、水面がザワツキだした。
今春に生まれたであろう小魚の群れが、どこからともなくやってきて水面を踊りだした。無邪気に三段跳びのように跳ね回っている子もいる。魚であっても赤子は可愛い。
まだ外来魚の恐ろしさは知らないのだろう。
そう思うと、我が物顔で泳ぎ回る外来魚に怒りが込上げてきた。
この子らはなあ!
オマエらに食われるために生まれてきたんじゃないぞ!。
……、
魚の密度が薄いのは間違えない。
浮子の動きが、その証だ。
しかし、滅多にせよ、ツンも消し込みもあるのだから、まだ希望は残っていると思ってよい。
しかし、こうも釣れないと、心に焦りが出てくる。
何か名案はないか!。
そうだっ!。角麩にしてみよう。
思いつくや、角麩仕掛けの袋を広げたが、生憎と九尺用はない。仕方がないので十尺竿に角麩の仕掛けを結び、竿交換のロスタイムが生じないように竿をすり替える。

十四時。
・竿/嵐馬.10尺。
・浮子/痴舟.10番。
・鉤素/100粍+600粍。
直ぐに浮子が消し込むことを夢見たが、角麩は凶と出た。
浮子が沈黙したのだ。
それならば、徹底的に餌を打ちまくろう。
そう決めるや半狂乱になって蛹爆弾を打ちまくる。
……、
消し込みが戻ってきた。
しかし、相も変わらず針には掛らない。
角麩にしたら釣れる筈だったのに、当てが外れた。
努力しても報われない。
ガッカリしていたら、ハタと気づいたことがあった。
──魚が小さいのではないか…?。
ズッと尺以上の魚を想定してきたが、昨秋デビューの小童なのかもしれない。
針と鉤素を替えて、最後の攻撃にでた。
今回の釣りを始めるに、やれだけのことをやって云々…、と書いたが、オレのやれることなんてタカがしれている。この程度だ。
しかし、この変更が功を奏したのか、魚を釣り上げた。
釣り上げたが、その瞬間、今日の釣りは終わった。
へら鮒を夢見て頑張ったが、釣れたのは通称ジャミと称する小魚で、先ほどの子供たちの母親だった。
残念であった。
しかし、考えてみたら彼女が遊んでくれたからの三時間だった。
今日もへら鮒とは縁がなかった。
これで三連続のオデコに終わったが、
やれだけのことはやったので、悔いはない。
時計を見たら、十四時五十分。
道具を仕舞うと、一目散に前島を駆け上り、一件落着。
写真撮影に興じ、我を忘れる。

お仕舞い。

釣行記写真
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前島征服。
頂点に生えている、一本木。

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前島頂上より、ボートセンターを望む。

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同、V横・本湖立木・岩盤方面を望む。

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同、石田島を望む。

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前島輪郭。

○本日の釣況。
・09:00~11:40、9尺天々/0枚、両団子、
 12:00~14:00、9尺1本半/0枚、両団子。
 14:00~14:50、10尺1本半/0枚、角麩。
・合計 零枚。

○この日の釣果データ。

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戸面原ダムボートセンター、ホームページより。

記事掲載のPDFデータはこちら>>>

○2012年データ。
・釣行回数/7回
・累計釣果/48枚、平均/6.9枚。

編集後記、
いつも「吉右衛門のへら鮒釣り」をお読み頂きまして有難う御座います。
この第七回は先月下旬に公開する予定でしたが、贔屓、野球チームである、我がニッポンハムファイターズのパ・リーグ優勝に絡んでしまい、公開が大きく遅れました。
釣行記とファイターズの優勝。
何の関係もないように思われるでしょうが、実は野球のブログを書いておりまして、そちらが忙しく釣行記に手が回らなくなってしまったのが大きな理由です。
次回の第八回はストックが残り一回ありますので、下旬の公開を目指して書き始めます。
問題はその後なのですが、公私とも忙しくなってきて釣行が出来ずにおります。最悪は次回が今季の最終回となってしまうかもしれませんが、出来うる限り釣行して更新するつもりではおりますので、どうぞよろしくお願いします。

2012年10月07日(日) 。
吉右衛門。



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