吉右衛門へら鮒釣り2011

  ◎第十回釣行
07月28日(月)

戸面原ダム。
上郷、寮下。
戸面原ボートセンター。
晴れ、風。
気温/28度、水温/22度、水色/薄濁り、減水/2.1米。 

「上郷寮下、復活の狼煙を上げることが出来た」の巻。

今年は釣りがおもしろい。
こんなにも面白く感じられるのは、いつ以来のことだろうか。
そんな心情を反映してか、お陰さまで今季の釣行回数が四年ぶりに二桁へ届き、復活の狼煙を上げることが出来た。
今年は初釣りに出るのが遅かった。四月の下旬だった。
それだけに今季も一桁で終わると予想していたが、豈図らんや、七月のこの時期で早々と二桁に届くことが出来た。要因としては体調が戻ってきたことや業績が好調なこともあるが、釣りが面白くて、中毒的に行きたがる自分がいるからだ。
今年の始動は戸面原ダムの道跡だった。
そこから馬ノ背、前島と転戦し、痺れるような時間を過ごした。そして農道跡との出会いも拍車をかけた。さらに前回の片倉ダムの面白さといったらなかった。
暦はまだ七月の終わり。これから竿納めを予定している十一月の上旬までは、まだ百日くらいある。この分だとアクシデントさえなければ、十七、八回位まで伸びるのではないか。
そうなればいろいろな意味で嬉しい。

六時半。
快晴、微風。
戸面原ボートセンター桟橋。
今回は珍しく人気ポイントに入り、チョーチン釣りをしたいと思う。そう思ってやって来たら格好の場所が空いていた。
石田島の立木だ。
その石田島の立木へ、馬ノ背を経由して向かう。
いつもマイナーポイントばかりを渡り歩く過疎好きの私が、何故ゆえ、このような思いになったのか。
その心は先月の三島湖のダムサイドの釣りにあった。
あの日は不甲斐ないだけでなく、あまりにも悲惨な結果だった。餌の作り方さえも忘却していた自分に、呆れるばかりだった。
それだけに今回は根性を入れ直してやってきた。
いまになって初心に返るもないが、改めてチョーチン釣りに挑んでみたい。
馬ノ背での用を済ませ、石田島の立木に向かうと何やら異物のようなものが目に飛び込んできた。そして現地に近づくにつれ異物の正体が露になってきた。それは島影に隠れていた日傘だった。無人の筈だった石田島の島裏でお父さんと坊やが、親子仲睦まじく釣りをしていた。
これは失礼した。計算外のことだった。別に距離があるからそのまま舳先を結んでも構わないのだが、そうすると話の内容が丸聞こえになる。プライバシーを侵害しそうで申し訳ない。
勇躍してやってきたが、別にチョーチン釣りをするならここでなくとも構わない。
ここは遠慮しておこう…。
そう決断するや、いとも簡単に石田島を離れ、当てもなく舟を漕ぐ。
対岸の岩盤附近は舟の留め方がわからない。それに写真を撮っても絵に成りそうにない。
さらに進んだ光生園下は最近の好釣感を反映してか、いく艘もの舟が並んでいる。こちらでは未だ竿を出したことがないだけに、魅力を感じなくもないが、如何せん、舟の間隔が中途半端だ。
にくいような間隔で留まっているから割り込むには気が引ける。
そうこうしているうちに舟は、上郷橋まできてしまった。
橋を潜って少し行くと、上郷地区全体が視界にはいってきた。
いつもは賑っているこの地区も、真夏の平日だけに閑散としている。人っ子ひとりいないようだ。
これなら舟も留め放題だ。
プライバシーもないし何の弊害もない。何処にでも留められる。しかし、だからといってあまり遠くまで行くのも面倒だ。
そこら辺でお茶を濁そう…。
そう考えて数年ぶりに、寮下の曲がり角の手前に舳先を結んだ。

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本日の入釣場所の、正面図。
周辺図は文末に掲載。

 
Yahoo!地図より。

◯本日のデータと予定。
・目標/五十枚。
・竿 /朱門峰凌、11尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ、11番。
・道糸/1号。
・鉤素/0.4号、450粍+600粍。
・釣方/提灯。
・餌 /三島湖スペシャル。
・納竿/十五時。

八時。
戸面原ダム、寮下。
今回は根性を入れ直してきたと前述したが、その通り。
餌は房総の代表的へら師、大名人こと、山田さんから教わった(三島湖スペシャル)で臨む。
この餌に加えて、過年、山田さんから頂戴した大切なメールもプリントアウトし直して、懐に忍ばせてきた。
今回はこの餌を基に自分なりの工夫を加えて、一日を過ごすつもりだ。そこで目標も大きく半束[一束(百枚)の半分]とした。
さあ、釣りを始める。
餌はいつになく良く仕上がった。この餌を針に付け、勇躍、第一投を投げ込んだ。
いつもこの瞬間には夢と希望を感じるが、今回はそれに加えて緊張もある。いつ浮子が動くかわからない底釣りと違い、中層の魚を相手にするからだ。
もしかしたら、第一投から釣れるのではないか…。
そんな期待をもって浮子の動きを注視したが、トップが餌落ち目盛りより下に進まない。
それではと、餌を大きくしてみたが、これも同じ。
首を捻りながら、指圧をかけても、変わりはない。
どうしても、トップが餌落ち目盛りを越えられない。
何度やっても、越すに越されぬ、餌落ち目盛りだ。
これは餌が底に着いているのではないか…。
ゴムを付けて試してみたが、浮子はあっけなく没した。
もしや…。
悪い予感がして、餌を針に圧し潰すように付けると、あっさりと魚が釣れてきた。
次も同じ要領で入れると、浮子が立つなり二度も大きく動いて、一荷で釣れた。
さらに三十分が経過したが、その状態は変わらない。
さっき始めたばかりなのに、もう十三枚。
困ったものだ。
想像もしてこなかった事態に、戸惑うばかりだ。
ヘボの私が、顔を赤らめて告白する。
私はこのような釣りでなく、繊細な釣りがしたいのだ。
下級技術者である私が釣りを語るのは禁句だ。
しかし、それを敢えて語らせてもらうと、私は餌に創意工夫を凝らし、魚が釣れるまでのプロセスを楽しみたいのだ。
しかし、この現実は私の嗜好とはあまりにもかけ離れている。
力任せで餌をつけ、餌落ち目盛りを越えさえすれば釣れるのだ。
私はいつも過疎で竿を出す。
それゆえ、浮子が動き出すまでには数時間を要することも珍しくない。浮子が動くことすらが希少なのだ。それだけに魚と出会えることに無上の喜びを感じる。
それに私は漁師ではないし、競技会の参加者でもない。
脳裏に馬ノ背の広場が浮かんだ。
冒頭で馬ノ背経由で石田島へ向かうと書いたが、馬ノ背に行ったのは、お世話に成っている新宿の名人のポートレートを撮るためだった。
その時の光景が頭を過った。
馬ノ背の広場には名人と杉林に一名がいただけだった。
あちらに移動しないか…。
根性を入れ直してやってきた自分に、そう囁くものが現れた。
それは甘美な囁きだったが、今回の限ってはやめておこう。
グッと踏みとどまって、己に枷を嵌めてみた。
竿と浮子下は替えない。
浮子と鉤素も替えない。
浮子が寝たままだったり、餌落ち目盛りを通過する前の食い走りもカウントしない。
餌の調整だけで、この天文学的な数の魚が集結している難局に挑んでみよう。

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本日の入釣場所の、周辺図。
釣り座から見た。

九時。
対岸から騒音がしてきた。重機が働く音がする。
どうやら過日の雨で崩落した道路の修復工事が始まったようだ。
騒音に嫌気を感じながら、餌を作り直すべく餌箱を開けると頼りにしていた(粘力)が入っていないのに気がついた。しかし、それを代替するかのように過去の残り餌の(団子の底釣り夏)が片隅にあった。
これを混ぜて作ろう…。
三島湖スペシャルは後日にゆずるとして、これに麩餌を混ぜて重量感のある餌を作ってみた。それを試すと数匹は釣れたが、またも浮子が沈まなくなった。そこで今度は練り込むとやっとそれなりの餌を作ることが出来た。

十三時。
本日ただ今の釣果、四十枚。
久々に大きな数字が出た。
釣り始めたのが八時で、今の時間が十三時だから五時間で四十枚を釣ったことになる。平均時速、八枚の計算だ。さらに浮子が立たなかったり、立った瞬間に消し込んだカウント外の魚もいるから、玉で掬った魚の数はこの倍以上だ。
これは魚の旺盛なやる気に支えられたとはいえ、それなりに餌落ち目盛りを越える餌作りに腐心した結果でもある。それは足下に置いてある廃棄餌の入ったビニール袋を見れば分かる。
それにしてもだ。私の技術ではこれが精一杯だが、名人ともなればこのような状況下でも、浮子を棚に入れ、魚をしっかりとコントロールすることが出来るのだろうか。
ここでアクシデントが起きた。
腕がどうにも痛くなってきた。
それに日傘が立たなくなった。どうやら万力が壊れたようだ。
真夏の日傘無しは自殺行為だ。
目標の半束を釣ったらやめにしよう。
そう決めて打ち出すと、四十分後に五十枚目が釣れた。
これでやめる筈も嫌いでないから、もう五枚、と続けてみると、今度はあっさりとはいかず、五十分掛けての達成だった。
これで改めて釣った魚を数えると、五五枚のゾロ目であった。
これで満足。久々の豊漁で、一件落着と相成る。
途中、ルーティンワークになったきらいはあるが、今日は第一投から最終投までの、すべてで浮子が動いた。
ごっつぁんでした。

お仕舞い。

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本日の入釣場所の、周辺図。
帰路に反対側から撮った。
この写真はパネルにして寄贈させてもらった。

○本日の釣況。
・08:00~14:30、13尺チョーチン/五五枚、両団子。

○2014年データ。
・釣行回数/十回
・累計釣果/116枚(真鮒1匹含む)。

2014年08月10日(日) 。
吉右衛門。



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