吉右衛門へら鮒釣り2011

  ◎第九回釣行
07月23日(水)

片倉ダム。
ダムサイド。
笹川ボート。
晴れ、弱風。
気温/31度、水温/27度、水色/薄濁り、減水/0.3米。 

「ダムサイド、とても愉快な釣りだった」の巻。

私は今、片倉橋の上に立っている。
昨年釣れなかった、巨べら釣りに挑むためだ。
しかし、橋から見下ろす異様な光景に驚いている。
川面が何やら赤い植物なようなもので覆われているのだ。
果たして、これで大丈夫なのか…。
勇躍してやってきたが、この想像すら及ばなかった光景に出鼻をくじかれてしまった。
しかし、今更引き返すわけにもいかない。
お世話になる笹川ボートさんへ入店すると大旦那がおられた。
私がこちらに草鞋を脱ぐのは昨年の九月以来、三度目だが、どうやら私のことは覚えてくれていたようだ。
そこで挨拶もそこそこに釣況を尋ねると、現在こちらのダム湖は魚族保護の為のライブウエル禁止期間とやらで魚を桟橋に持ち帰ることは出来ないが、釣果のほうはまずまずとのことだった。
これには内心安堵できた。とても釣りにはならないと思っていたからだ。
さらに今朝のへら師の数も伺うと、常連客が一名いるだけで、その方はいつもこちらのダム湖の情報をBlogで発信してくれている上級技術者の方だった。
そして序でに、赤い植物のことも尋ねようと思ったが、それは禁句のような気がしたのでやめておいた。

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川面が赤い植物で覆われている。
写真は出舟後の道中で撮った。

六時半、
笹川ボート桟橋。
快晴、無風。
こちらの釣り舟屋さんはサービスとして道具をカートに載せて、駐車場から桟橋までの急坂を運んでくれる。
その優しい若旦那に、先発した上級技術者の行き先を尋ねると、行き先まではわからないという。
ご縁があればと思ったが仕方がない。私も急ぎ出航。
向かう先は昨年から目星をつけておいた、ダムサイドだ。
桟橋から目的地迄の距離は戸面原ダムでいえば宇藤木橋の辺り、三島ダムでいえば鳥小屋の下流の辺りであろうか。
何れにせよ、そう大した距離ではないが、これがとても遠くに感じられる。その原因は舟が大きいことにある。こちらの釣り客はみな船外機を装着するから手で漕ぐのは私くらいのものだろう。
その大きくて進むのに難儀な舟を操り目的地に到着すると、幸運にも常連客がおられた。あの上級技術者の方だ。
早速、後釣者としての仁義を切り、
いつもBlogを楽しく拝読していること。
昨夏に一度お会いしたことがあること。等々を述べて邪魔にならぬように対岸に留めさせてもらった。
今日は光栄にもこの上級者、名付けて「片倉名人」と呉越同舟させていただくことになった。
※今回もお断りを書きます。
今、名人の名を「片倉名人」と表記しましたが、ご存知のようにこちらのダム湖は、「笹川湖」「片倉ダム」と二つの名称を有しております。昨年の釣行記では、「笹川湖」の方を選択したのですが、今年からは、「片倉ダム」とさせてもらいます。
その心は、こちらの方が通り名として売れているからです。
煩わしくて申し訳ありません。

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本日の入釣場所の、正面図。
この写真は納竿の直前に撮ったものです。
朝の写真には名人が写っているので掲出は控えました。

 
地図。

◯本日のデータと予定。
・目標/一枚でもよいから、鮒属を釣上げること。
・竿 /朱門峰嵐馬、14尺。
・浮子/萱製、太パイプトップ(名称無し)。
・道糸/2号。
・鉤素/1.2号、350粍+450粍。
・針 /巨ベラ16号。
・棚 /二本半~三本。
・餌 /尺上+マッシュダンゴ+グルバラ。
・納竿/15時半。

七時半。
片倉ダム、ダムサイド。
第一投を投げ込む。
片倉ダムでの三度目の釣りが始まった。
過去二度の戦績をひも解いてみる。
一度目はビギナーズラックに恵まれて、一枚(44糎)。
二度目は浮子が動かず、オデコ。
二度の合計は一枚で、その魚も巨べらの定義である壱尺半には届いていなかった。
さて本日であるが、ぎこちない釣りで幕を開けた。
ぎこちなさの原因は餌にあった。
昨年も大した餌は作れていなかったが、その餌すらも忘れてしまっていた。
先ずは(尺上)の配合が難しい。他の粉より断然比重があるし、上手に扱わないと粘りも出そうだ。その粘りが怖くて撹拌を手加減すると餌が水中で崩落したかのように抜け落ちる。浮子がジワっと上げってくるようなものを作りたいが、ままならない。
作り方は対岸の名人に訊けばよさそうなものだが、名人は先ほどから取り込みに忙しそうなので、自粛をしている。

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本日の入釣場所を、対岸から見た図。
撤収後に撮った。

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同上、側面から見た図。
こちらも同上。

十時。
それにしても、名人の竿はよく曲がる。
先ほどなどは立ち上がって取り込んでいた。
それに引き換え私ときたら、釣り始めからて二時間半が経とうというのに、一向に浮子が動かないし、その気配すらもない。
それ自体はいつものことだから、別にどうということはないが、釣っていて餌の配合に疑問が湧いてきた。そもそも、自分が何でマッシュポテトを使っているかの理解ができていない。
釣具屋から薦められたり、雑誌や新聞等で目にする記事に従っているだけで、自分で研究して辿り着いたわけではないから、中身が伴っていないのだ。
このような魚影の希薄なダム湖で竿を出すのだから、真っ白い餌の混合だけでは魚を呼び込めないのではないか…?。
そこでマッシュ成分百%の尺上を引っ込めて、麩が含有されている(巨べら)に替えてみた。これで効果はあるのか…?。
新しい配合はこうなった。
・餌 /巨べら+マッシュダンゴ+グルバラ。
ここでマッシュ系の餌を、袋の裏面にある説明書きより、お浚いしてみる。
(巨べら)はマッシュを主成分に麩とグルテンが入っている。
(マッシュダンゴ)も似たようなものだがグルテンではなく澱粉が混入されている。
シロウトの私が餌を語ってはいけないが、後から(グルバラ)も加えることを考えると、巨べらとマッシュダンゴはどちからひとつに絞って、もっとパンチの効いた粉を混ぜるべきではないか。
今回にしても二時間半も浮子が動かないわけだから、なんでも試すという積極性が必要だろう。しかし、今となってそんな殊勝なことを考えても、マッシュの先入観が強くて持ってきていない。それであれば今回は仕方ないとして、次の機会では是非試したいものだ。

十一時。
さらに一時間が経過したが、浮子の動きに変わりない。
私はここでの釣りは、五目釣りのようなものだと思っている。
無論、針にへら鮒が掛かり、それが巨べらであれば万々歳だが、鮒属であれば良しと考えている。
よく世間には真鮒や半べらが釣れると、
「なんだよ、マブかよッ」とか、
「半兵衛じゃねえの、バカヤローっ!」とか言って、釣った魚をアパルトヘイト並みに差別する御仁を見かけるが、私にはそういったものはない。髭が生えていては困るが、鮒属であれば誰であっても分け隔てなく受け入れる用意がある。
そんな気持ちが通じたのだろう。
とうとう浮子の動きに変化が出た。
いつもと同じようにトップの沈下運動が始まった時だった。
突然、トップが重力に逆らって上げってきた。
ドキっ!。
胸の鼓動が、小さく鳴った。
息を凝らして見つめていた、次の瞬間だ。
トップが強く、そして鋭く沈んだ。
しめたッ!とばかりに竿を上げると、強い衝撃が伝わってきた。
ヨシっ!、魚が掛かった。
とりあえず沖めに走らせてから持久戦に持ち込もう…。
これは私が昨年の経験で得たノウハウだった。
しかし、思惑通りにことは運ばない。その対応が凶と出た。
右前方の沖目に走られた瞬間、腕に感じた手応えはオダにかわっていた。一方的に走られて終わりだった。
暫し天を仰いだ。呆然自失となった。
しかし、それは痺れるような瞬間でもあった。

正午。
先ほど、舟縄を解き仕掛けを回収してきた。
そして再開するや、獲物が掛かった場合のシミュレーションを始めてみた。右前方には隠れオダがあることがわかった。そこは魚にとっての緊急避難所だ。魚は当然、その事も含めて地形を熟知しているから、そこへ逃げ込もうとする。しかし、それを阻止しなければ、又も、二の轍を踏むハメと成る。
このダム湖で魚を仕留める好機はそうはない。一日頑張っても、せいぜい一、二回しかないだろう。
それだけに、二度とヘマはやれない。
魚を掛ける。あまり沖に泳がすことなく手前に引きながら、腕を天に向かって突き上げる。ここで立ち上がれば、なんとかなりそうな気もするが、問題がある。今、自分が腰を乗せている腰掛けから舟のともまでのスペースが狭い。靴一足分しかない。
このスペースで下手に立ち上がると水落の恐れがある。それだけに、身の置き所を一歩後退する必要がある。後ろに下がりさえすれば舟が大きいので安定が確保できる。ここまで来てしまえば、あとは玉の柄を持つタイミングだけだ。今日は玉の柄は一本半。長さは大丈夫だ。
この手順を踏めば、何とかなるだろう。
しかし、私は知能が高くない。どちらかといえば低い方だ。
それだけに、今、シミュレーションした手順を頭の中で何度も繰り返して、覚えさねばならない。
そこで舟の上で呪文でも唱えるかのように、ブツクサと呟いていると、浮子がポコンっと鈍く動いた。
動きからしてあまり期待はしていなかったが、その動きに反応すると思いがけず魚が掛かった。
早速、覚えたての手順を踏もうとしたが、その必要はなかった。それなりの抵抗は受けたが、玉に納まったのは、あまり大きくはない純正種の真鮒であった。

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本日の第一号は、真鮒くん。
サイズは、推定で壱尺壱寸七分。

十五時。
本日ただ今の釣果、一枚。
一時間ほど前に真鮒が釣れて、オデコからは脱出できた。
しかし、最初の大きなヤツは逃がした。それにへら鮒の顔も拝めていない。サイズにしても魚種にしても、満足とは言えないが鮒属は一枚仕留めることは出来た。今回はこれで良しとしよう。
今回の総括を始めながら、浮子をぼんやり眺めていると、ちょこんと動いた。
巨べら特有のダイナミックな動きではない。
どちらかと言うと、冴えない動きであったがそれに反応すると、ゴツンっ!。
本日、三匹目の魚が掛かった。
これには驚いた。
とっくに釣果のことなど、諦めていたからだ。
手応えからして魚はあまり大きくはなさそうだ。しかし、魚種には興味がある。鮒属なら何でも受け入れると言っておきながら、出来ることなら、へら鮒であって欲しい…。
そう願って湖面を凝視していると、やった。大願成就!。
姿を見せたのは、へら鮒であった。
大した抵抗も受けずに捕獲できたので、サイズは期待していなかったが、掬ってみると玉からシッポが大きくはみ出している。
試しに検寸すると、壱尺四寸三分。43糎もあった。
棚から牡丹餅のような気がしなくもないが、素直に嬉しかった。
そこで対岸の名人に、へら鮒を釣った報告すると、一件落着。
上機嫌で、竿を仕舞う。
最後に福が拾えて、よかった、よかった。
とても愉快な一日であった。

お仕舞い。

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本日の第二号は、へら鮒くん。
背景は、ダムサイド。

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サイズ、壱尺四寸三分。

○本日の釣況。
・07:30~15:20、14尺2本半/2枚、両団子。

○2014年データ。
・釣行回数/9回
・累計釣果/61枚。

2014年08月03日(日) 。
吉右衛門。



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