吉右衛門へら鮒釣り2015

  ◎第十九回釣行
2016年8月01日(月)。

西湖。
供養塔。
西湖レストハウス。
天候/曇天一時晴れ間、中風。
水色/澄み、水位/不明。 

「スコールだッ!」の巻。

昨年の夏から秋へ掛けてのことである。
私は「ポケモンGO」なるゲームに夢中になっていた。
元来ゲームなどには縁のない私だが、ほんの一時期は興じていたこともある。といっても子供らが幼かった頃にドラゴンクエストを一緒にやっていた程度のことだから、夢中になっていたことはない。
ポケモンGOに強く惹かれたわけのは、私の少年時代にまで遡らなければならない。この頃の私の夏休みといえば、真っ黒に日焼けして砧緑地公園や馬事公苑にカブトムシやクワガタムシを採りに行ったり、多摩川へ出かけては小魚やマッカチンを捕まえて遊んでいた。こうした採集好きの嗜好が半世紀以上が経った今に至るまで残っていたのかと思う。
このゲームが海外で評判になっているのを知ると、国内でも始まるのが待ち遠しかった。そして七月の半ば過ぎに待望の配信が始まった。
しかし情けないことに、アカウント登録なる手続きが高い壁となって立ちはだかった。何度やっても登録が出来ない私は、娘が盆に帰ってくるのを待たねばならなかった。
八月十二日が待望のデビュー戦となった。
この日まで二十日も待ちぼうけを食っていた私は躍動した。嬉々としてポケモンGOを始めた。近所の公園から始まって千葉公園、天台スポーツセンター、青葉の森公園、千葉ポートパーク、上野不忍池と行く先々で情報を収集するや次々と転戦していった。そして出会ったことのないポケモンを捕獲した時の喜びといったらなかった。
レアなポケモンの出現場所や捕獲方法の情報はベンチでスマートフォンの充電をしている時に収集した。その時々に隣り合わせた初対面の青年たちが情報源で、彼らは私の人生でも初めて接するような人種だった。夜を徹してレア種の出現を待ち構えたり、平日の昼間も夢中になって駆けずり回っている彼らだった。
この連中はどのような職業に就いているのだろうか…。
疑問を抱かないでもなかった。が、どの青年も汗にまみれた薄汚い初老の私に親切であった。厳つい顔の私に話かけられた時はギョッとした表情をみせてはいたが、打ち解けてくるといろいろと教えてくれた。中には自分で投稿した記事も見せてくれた青年もいた。大した文才だった。人には適正というものが存在していることを強く思った。
そんなことで、いい年こいて夢中になってしまった。
崖をよじ登り、鉄柵を飛び越え、小高い丘は駆け登る。まるで少年の頃にでも戻ったかのような日々であった。この頃の私の生活は、ポケモンGOに傾注していたと云っても過言ではない
そして迎えた十月十五日。
遂に当時、国内で捕獲可能な143種の採取を終えることができた。
このゲームの目的のひとつである、図鑑が完成したのだ。
二ヶ月と三日の短期間での達成であった。
みな快挙と云って祝福してくれた。
嬉しかった。
還暦を過ぎて一番の喜びだった。
そんな歓喜の瞬間から、四ヶ月が経った。
今の私はといえば世にいうところの、燃え尽き症候群。
ゲームは細々と続けてはいるが、散歩の途中で出会う頻繁出現種を捕獲するのみとなった。
思えばである。
燃え尽きたのは、ポケモンGOだけではなかった。
へら鮒釣りにも影響がでた。
寒さのせいもあるが、なかなか釣り竿に触れる気にならないでいる。
はてさて、今年の初釣りはいつになるであろうか。
(2017年2月15日)

あれからひと月が過ぎて、またも西湖へやってきた。
もっと早くきたかったのだが、この夏の天気はよろしくない。
釣りに関してだけは贅沢にできている私は、天気予報が悪いとすぐに躊いが出て腰がひけてしまう。が、そうともいっておれなくなった。あまりにも不順な天候が続くのでこの辺りで妥協しない限り、ずっと晴れ間がやってこないような気がしてきた。というわけで、今日も曇天に弱雨が混じる予報ではあるが、待ちきれなくなって、千葉からのこのこと出掛けてきた。

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出舟前の、根場浜。

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根場地区の東岸に向かう、曳舟光景。
前回よりは上手く撮れた。

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本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、十八尺。

 
本日の入釣場所。マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
(Yahoo!地図より)。

☻本日の予定。
・目 標/三十枚。
・釣り方/チョーチン(両団子の釣り)。
・釣り竿/普天元独歩、十八尺。
・浮 子/亀二郎、四番。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.6号、500粍+650粍。
・釣り鈎/バラサ針 9号+9号。
・納 竿/十五時。

六時。
私が舟を結んだのは、供養塔の中央に浮かぶブイ。
一緒に曳舟されてきた三名の方は勇躍とエゴに向かったから、こちらに陣を構えたのは私だけ。いわゆる、貸切状態となった。
意外なことに、青空が広がっている。
予報が弱雨含みだっただけに、これは喜ばしいことであるが、曳舟時のどんよりとした厚い雲を思うと、なんとも不気味な空模様である。
実はわたし。
今回も泊の予定できている。
今宵の寝ぐらはお隣の河口湖町に確保してあり、明日こそはこの先にある喉っ首を越えた溶岩地帯で竿を出すつもりだ。
そう雄大な本湖に向かって、へら鮒釣りをするのだ。
今回の旅釣りはこの本湖の釣りをメインに据えてきた。で、体力のある初日の今日をそこに当てたかったのだが、風向きの関係で断念せざるをえなかった。そんなことで、今日はその前哨戦といったところである。
さて、釣りを始める。
鏡のように静かで澄み切った湖面に最初の餌を落とすと、綺麗な波紋が広がる。西湖で釣りを始める喜びを実感する瞬間だ。このような幸福感に包まれて餌を打ち続けるも、浮子には何の反応もない。そもそも肝心のもじりがないし、遠くに見える沖ブナイの方でも竿が曲がっている様子はない。
今日はダメかな…。
いつもの不安がチラリと顔をのぞかせた時だった。何の前触れもなく浮子が勢いよく水中に引き込まれて、最初の魚が釣れた。
これは餌を打ち始めてから九十分の出来事。これに安堵感は得たものの、今日の前途への不安が解消されたわけではない。
この先はどうなるのか…。
不安に苛まれつつも餌を打ち続けていると釣況に変化が起きて、散発ではあるが釣れだした。

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本日の第一号。
背景は根場の浜。

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本日の次鋒、十六尺。

☻次鋒のデータ。
・釣り方/チョーチン(両団子の釣り)。
・釣り竿/特作伊吹、十六尺。
・以 下/変更なし。

十時。
本日ただ今の釣果、九枚。
この数字が順調かどうかといえば、私にすれば順調な部類かと思う。
ならば、このまま続れていればよいものを柄にもなく欲が出た。さらなる高みを目指して竿を替えたのが、凶と出た。
ポツリポツリと釣れていたものが、さっぱりと釣れなくなった。さすればさっさと元に戻せばよいものを、これはこれで出来ないでいる。先鋒の十八尺もそうであったように、釣れ始めればとの思いが拭えない。
そんな優柔不断に陥っていると、横浜の名人が電話を下さった。
いつものように色々と助言を頂いたのだが、切り際に天気のことをとても心配してくださっていた。
事実、見上げた空は風雲急を告げている。
雨雲が忙しく往来し、青空の面積が確実に窄まりつつある。そう云えば昼に吹くであろう風を考えて、傘を立てていないが大丈夫であろうか。
セットだけでもしておいたほうがよいではないか。
しかし面倒くさがり、それをしなかった事が後に後悔を呼んだ。
そしてさらに、釣況は好転することなく昼を迎えた。

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十六尺で釣り上げた数少な魚の第十二号。
背景は、沖ブナイ。

正午。
結果、十六尺では釣果を重ねることができなかった。
這々の態で三枚を追釣するのがやっとだった。
そこで今度は一度は仕舞った筈の先発の十八尺に再度の登場を願った。高校野球で一旦、右翼に退いた先発投手が救援陣の不調で再度登板するようなもの。それでもめげることなく目標の三十枚を目指すが、いよいよ以って雲行きが怪しくなってきた。忙しく流れていた黒い雲が三角山の頂付近で動きを止めると、俄かに薄暗くなってきた。
いよいよか…。
そう思った、瞬間だった。
ザァーッ、と大粒の雨玉が力強く落ちてきた。
スコールだッ!。
雨の予測はしていたが、まさかスコールとは思わなかった。
為す術もなく、ずぶ濡れとなった。着替えを持ってきているとはいえパンツまで濡れた。しかし、それはまだしも、肝心要の道具を濡らしてしまった。傘を立てていなかったこともだが、うっかり、鞄の蓋を閉めていなかったのが致命傷となった。
これは、溜まらん。
凄まじいスコールを浴びての撤収となった。
それにしても西湖に来て思うことある。
こちらは人も魚も優しい。
釣り宿であるレストハウスのご主人は寡黙だが親切だし、女将さんも溢れるような笑顔で私を迎えてくれる。さらに魚にしても、いつも釣れない私の浮子を動かし楽しませてくれる。
しかし、天気は優しくない。
今回もその天気にいじめられて、一件落着。
明日の釣りも取りやめて、一目散に逃げ帰る。

お仕舞い。

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本日の入釣場所を対岸から撮った、近景図。

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同上、遠景図。

☻本日の釣果。
・へら鮒/12枚。

☻2016年データ。
・釣行回数/19回。
・累計釣果/292枚。

※次回更新予定。
・四月上旬/昨年の最終回、塚山の巻。
※お断り。
この釣行記はiPad等の端末に合わせて編集しています。

2016年08月09日(火) 。

吉右衛門。



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