戸面原ダム。
向田湾処。
戸面原ボートセンター。
天候/快晴、無風のち風。
水色/雨後の濁り、水位/満水。
「釣り糸を十粍詰めたら、たくさん釣れた」の巻。
初釣りは楽しかった。
わたしにしては上々の釣果を得ることができたし、戸面原ダムの池主である相沢さんご夫妻にも暖かく迎えてもらえた。これが嬉しく、帰りの館山自動車道もルンルン気分だった。それが為か、八ヶ月あった空白などあっけなく埋まり、今は腰の重さも払拭されつつある。さらに、非日常になりつつあった、へら鮒釣りが日常に戻ってきた。
ひと頃の燃えるような釣行意欲とはいかないが、おのれの気紛れな性格を差し引いても、向こう数カ月はへら鮒釣りに興じることになりそうだ。
今朝は向田湾処(むかえだわんど)に陣を構えようかと思う。
実はわたし。千葉の家を出陣するにあたっては、昨夏の苦い思いが残る、中島湾処の突端に入ろうかと決めてきた。
それが何故こうなったか。
それは館山自動車道(正確には蘇我までの名称は京葉道路)の穴川ICが工事中で通行止めだったことにある。それが為、次の松ケ丘ICまでの間を地べたで走らざるえなかった。定刻には写真判定で間に合ったが、桟橋に立つと、すでに幾艚かの舟が出払った後だった。
いやはや、これには参った。
すでに石田島の辺りには上郷方面(中島湾処がある)へ急ぐ数艘の舟が見えるし、幾筋かの航跡らしきものも散見できる。いったい何艘くらいの舟が向かったか。見当すらつかない。事務所に戻り相沢さんに訊こうとするも、今日は何やら特別の日のようで忙しく立ち振舞われている。その姿をみるにつけ、これはおのれで推測するしかなさそうだ。
駐車場に留まる車両の数は十五台。このうち何台が相乗りできたか知る由もないが、おそらく乗舟券を買ったのは二十名くらいと思われる。そして事務所では未だ十名くらいが食事を摂ったり楽しげに歓談している。その事から、出漁したのは残りの十名、といったところではなかろうか。
これらを勘案するといくら中島湾処の突端が恋しくとも大事をとらざるを得ない。この時期の中島湾処は人気ポイント。すでに売り切れた可能性がある。それに加え湊川の上流にあるゆえ、桟橋からは最果ての位置にある。それだけにあそこまで長駆漕いで行っての売り切れだけは、御免被りたい。
そこで初心を諦め向田湾処に乗り換えたわけだが、こちらを選択したのは事務所の入り口に置かれた釣果表(ノート)にある。ノートをペラペラと捲ると数日前に向田湾処が好釣果として記されていた。
向田湾処か…。
あそこでは数年前によい思いをさせてもらった事がある。大きな地魚を釣り上げたことが金星として、わたしの記憶の中に沈殿されている。その記憶が蘇ると、一も二もなく、地魚との出会いを求めて向田湾処へゆくことを決めた。
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マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。
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☻本日の予定。
・目 標/五枚。
・釣り方/底釣り擬き(散け+グルテン)。
・釣り竿/朱門峰本式、十五尺。
・浮 子/亀治郎、二番。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.6号、300粍+350粍。
・釣り鉤/サソリ7号+ サソリ6号。
・納 竿/十四時半。
八時。
向田湾処。
陣構えを終え、竿袋から所定の竿を取り出そうとした時だった。
ここで早くも躓きを覚える。
何度、探しても釣果表に記されていた十三尺が無い。昨夜、確かに十一尺から十九尺までの奇数竿を五本、入れたつもりが十三尺だけが欠落していて、何故か、竿掛けと玉の柄が二セット詰め込まれている。
わたしはいったい、何をしているのだろうか。
別段、今に始まったことでもないが、最近つとに、このような事象が日常生活で多発してきた。これでは昨日、人間ドックのオプションで受けた脳検査の結果において、「あなたの脳はかなり縮小しています」などと異常を指摘されても何らおかしくない。すでに体力の方も成人男性と比べて七割。同世代とは九割なる厳しい結果が出た後だけに、悲しくなってきた。
仕方がないので十五尺を取り出す。
この竿で底が余ったらどうするか…。
次の短い竿が十一尺だけに、おっかなびっくり底を測量すると、あゝ天は我を見捨てず。しっかりとベストの位置で収まった。
これなら竿が振りやすく浮子の位置も安定しようというもの。
朝のドタバタが落ち着き、やっとへら鮒釣りを始めるとスマートフォンに通知音。短文コメントサイトのLINEに着信があった。
送信主は、いつもお世話になっている横浜の名人。
内容を要約すると、「向田湾処は一昨日にかなりの数が出たようなので、三桁を目指してください」とある。
?…。
この内容に疑念を抱きボートセンターのホームページを開いてみると、確かに(13尺、底、72枚)とある。
ここでも失敗をやらかした。
今にして思えば竿の長さだけに目を奪われ、迂闊にも詳細など見てこなかった。
ここで釣れている魚は地魚でなく、放流べらだった。
滅入るものがあった。
しかし、ここまで準備をしたからには、今更、どうなるものでもない。ブツクサ言いながらも鉤り針の番手を落とすと、確かに放流べらが釣れてきた。
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本日の入釣場所を対岸から撮った、近景図。
帰路に対岸から撮った。 |
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十一時。
本日ただ今の釣果、二六枚。
三時間で、この釣果。朝のドタバタを忘れるほどに釣れている。
しかも、カウント外の魚。スレ掛かりや魚信を確認できずに釣れてしまった恥ずかしい魚も加えると、玉で掬った魚の数はこれに五割強を足した、四十を超えようかとゆうもの。
これだけ釣れれば満足してもよさげなものだが、今日の釣りへの満足はない。それではいったい、何が不満なのか。
生意気を云わせてもらうと、釣れ方に合点がいかない。本来の魚信で釣れていないのだ。
今日の魚はやる気がある。モリモリと餌を喰ってくる。
が、本来の魚信であるべき浮子の「縦の動き」が少ない。上に持ち上がる魚信は信頼度90%で釣れるが、下への動きに乏しい。
で、どうやって釣っているのか
うまく表現ができないが、「横の動き」とでも云えばよいのか。
垂直に立つべき浮子が首を傾げるかのように、ちょこんと傾くことがある。その気配を感じとり釣っている。
が、それができるのも、湖面がべた凪ゆえのもの。風が湖面を揺らしたり集中力が切れたりすると、さっぱりと釣れなくなる。
特に会社からくる電話やLINEに対応すると思考が仕事に流れ、玉が乾くほどになる。
わたしは今、擬きとは云え、底釣りをしている。
湖底の魚を相手にするからには、縦の下の動き、で釣りたい。
ツンっなどと贅沢は言わない。小さくともよいから綺麗で力感のある魚信で釣りたいのだ。
正午。
状況が改善された。
不満がなくなり満足のゆく魚信で釣れだした。
風が舞いだし横の動きの判別が難しくなると、喰い上げ頼りの釣りとなって、ペースがガクンと落ちた。それを改善すべく三十分ほど前にサンスイ川釣り館に助言を求めると、
「鉤素が寝ている可能性」を指摘された。そして改善策として浮子の下の糸を十粍くらい詰めるように言われた。朝、一生懸命、底の測量をしただけに、それを崩すに抵抗があったが、そうも云ってはいられない。素直に実行にうつすと、なるほど待ち望んでいた「下の動き」が出てきた。が、奇妙なことに、浮子下を詰めた分だけ浮子の沈下幅も増してきた。
これはどういうことか…。
鉤素が寝ていたのであれば、その分を詰めたところで浮子に出てくる沈下の幅に変わりはない、と思うのだが、現実には詰めた分だけ、しっかりと幅も増している。
この辻褄の合わない事象に頭を悩ますが、呆けた頭だ。いくら捻ったところでどうなるものでもない。
兎にも角にも、よく釣れるようになった。
このような状態を大名人の山田さんがおっしゃる、地合い、とでも云うのであろうか。
その地合いと思しきものがきて、一件落着。
今年の釣果は前回も合わせて、束を一つ超えた、ロケットスタートを相成る。
わたしにとっては嘗てない好スタートだが、その反動が怖い。
きっとどこかで、ツケを払わされるハメに陥ると思う。
お仕舞い。
☻本日の釣果。
・へら鮒/61枚、
☻2017年データ。
・釣行回数/2回
・累計釣果/101枚。
※お断り。
この釣行記はiPad等の端末に合わせて編集しています。
2017年4月23日(日) 。
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