吉右衛門へら鮒釣り2015

  2017年◎第壱回釣行
4月 3日(月)。

戸面原ダム。
杉林。
戸面原ボートセンター。
天候/曇天のち晴れ、中風。
水色/小濁り、水位/満水。 

「初釣り。奇しくも十年前と同じ釣果だった」の巻。

釣行記を書き始めて十年目の朝を迎えた。
この紀行文はへら鮒釣りを再開した二年目から始めたものゆえ、釣りの方は一足早い十一年目と云うことになる。そのような節目の年である筈なのに、さほどの喜びはない。いや、それどころか未だに腰の重たさを引きづっている。それでもなんとか腰を上げたのは、「へら鮒釣りにゆかねばならぬ」との妙な義務感と先日の更新で釣行記のタネが尽きてしまったことにある。そんな世間様にはとても理解を得られないような事情であるが、兎にも角にも、今年初のへら鮒釣りに出ることになった。
向かうはわたしが主戦場と称させてもらっている、戸面原ダム。八ヶ月のご無沙汰だ。
館山道穴川ICに突入してからの道中。
例年であればここで一年の抱負やら計画を思案し語るのだが、今年にそのようなものはない。で、夜明けの高速道路を走るにはこれが一番、と哀愁漂う懐かしのテレサ・テンを聴きながら、ヒタヒタと館山道を南下する。

クリックで
拡大写真
本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、二一尺。

 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻本日の予定。
・目 標/三〇枚。
・釣り方/チョーチン(散け+グルテン)。
・釣り竿/朱門峰神威、二一尺。
・浮 子/亀治郎、四番。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.4号、200粍+600粍。
・釣り鈎/アスカ7号 + アスカ4号。
・納 竿/十五時。

今年もよろしくお願いします。
遅ればせながら池主の相沢さんご夫婦に、新年のあいさつ。
そこで暫く談笑してから離岸。
初釣りにありがちな緊張感など欠片もない。で、陣立をしたのは杉林。前宇藤木との選択肢もあったが、わたしがこの時期に選ぶのはこちらが多い。釣果で比するとあちらに分がありそうだが、なんといっても、こちらの方がお天道様の恩恵を受け易い。これが怠け者のわたしにとっての大きな決め手となる。
さて準備ができた。
陽光麗らかな春の朝陽を浴びて、今年初のへら鮒釣りを始める。
時計の針が七時を指すのを待って、最初の餌を投げ入れた。
わたしが振り始めた竿の長さは二一尺。
ボートセンターの釣果表に記されていた昨日の竿は、二四尺から二七尺。ということはわたしの竿より一、二米は深い層に餌を入れていたことになる。それならオマエもその竿を振ればよいではないか、と云われそうだが、それには、そうもいかない事情がある。悲しいかなわたしの技量では、これより長い竿は振ることができない。そのハンディキャップを埋めるべく、ひたすらに散け餌を打っての長期戦も覚悟したが、豈図らんや。開始して十分足らずで、浮子の挙動に変化が起きた。
八ヶ月ぶりに感じる、へら鮒の気配。
この世界に戻ってきた実感を覚える。
これは釣れるのではないか…。
身を乗りだして次の魚信を待ち構えると、ツンっ!。
今年最初のへら鮒が釣れた。
そしてさらに、ぼつぼつと釣れ出してカウンターの数字が(5)まで進む。今日は豊漁かと色めくも、順調だったのはここまで。これ以降はいつもの迷路に嵌りブレーキがかかる。同時に優しく朝陽を浴びせてくれていた、お天道様も御隠れになった。

クリックで
拡大写真
今年の第一号。

九時半。
大して釣ていない。それに加えて四月とは思えないような寒さ。
わたしの今の望みはお天道さまの再来と、もう少し釣果を伸ばしたいこと。見上げた空は白い雲に覆われ青空も所々に見え隠れしているが、その面積はあまりに小さい。それゆえ、お天道さまの恩恵を受けられる時間などほんの僅かしかない。魚でも釣れていればこの寒さも幾分か和らげるだろうが、貧果ゆえ、それが二重苦となりのし掛かっている。さらに、大きな悩みがある。餌を打ち始めた当初からわたしの頭上で浮子と穂先が、カチャカチャと喧嘩を始めているのだ。
なんとか仲良くやってはくれないものか。仲裁しようにもわたしがこの手の竿を振ると、いつもこうなる。
これが長竿を敬遠する理由のひとつとなっている。風でもあればそれを言い訳にするが、風がないのにこうなるのは技量以外の何ものでもない。この記事の冒頭で十一年目と記したが、わたしの技量は確実に下降の一途を辿っている。いや、下降したと云うことは上昇もあったと云うことだが、そのような時期は存在していないから、技量の推移を折れ線グラフで表すと、この十年間ずっと地べたを這ったままでいたことになる。
そんなおのれの技量を嘆いていると、釣況に変化が起きた。
横浜の名人から頂いた助言が功を奏したのだろう。
短い方の鉤素を延長したら、釣れ始めた。これで寒さも和らぐ。両の腿を摩っていた手が竿に戻ると、釣りにもテンポが戻った。これはいけそうだ。が、しかし、好事魔多し。
俄然、盛り上がりを見せた矢先。頭上の喧嘩に決着がついて浮子が穂先に絡みとられた。
どうしてこうなるのだ…。
ため息をつきながら穂先を手元に引き寄せるも、とても修復できるような様ではない。浮子が無残にも道糸で雁字搦めに縛られていて、道糸がクチャクチャなっていた。
クリックで
拡大写真
本日の入釣場所を対岸から撮った、近景図。
帰路に対岸から撮った。

クリックで
拡大写真
同上、遠景図。
撮影の失敗。
近影図とは水平線の位置が揃わない。

正午。
本日ただ今の釣果、二〇枚。
やっと雲が退散して、お天道様がふたたびお出ましになった。
陽射しが戻り朝の願望のひとつが叶ったところで、喧嘩の後を振り返る。仕掛けの修復がなったのが十時半。ここから十一時までに四枚釣って、昼の時報を三十枚で聴こう、などと柄にもない青写真を描いたが、そうは問屋が卸さない。どう云えばよいか、今日の釣りを成就させるには、テクニックが必要なのだ。
魚が釣れた時の決まり手を分析する。
浮子がどっぷりと沈下し、鉤素が伸びきった直後のツンっ!。これが釣れる。この魚信の信頼度は100%。そのような高確率で釣れるなら、そこまで待てばよいのであろうが、これはわたしが理想とする釣りではない。
理想の釣りとは、浮子が湖面に立った瞬間から沈下し終わるまでの、微妙な動き。この魚信で釣りたいのだ。が、これが難しくてどうにもならない。チクリと動いても手が動かなかったり、逆に強く加速する、いかにもスレ掛かりとわかるような動きに手が出てしまっている。これら信頼度15%の動きに翻弄されて、にっちもさっちもいかなくなっている。
このような時、上級技量者はどうやって活路を見出しているのだろうか。そんな思案に耽っていると。あることに気がついた。
浮子が沈下する最中、一瞬、沈むのを躊躇うことがる。そこから再び動き出す時の動き。特に上への動きの信頼度が高いのだ。
正解めいた魚信が、ぼんやりとわかってきた。
この魚信の信頼度は67%。この呼吸を掴むと、空振りを大幅に減らすことができた。途中、またも浮子が穂先に絡み捕らわれる
失態もあったが、釣果を(30)まで伸ばすことができた。
今回は初日であることだし、十三時半か三三枚の釣果のどちらか早い方で竿を仕舞おう。そう決めて迎えた、十三時半。ここで釣れたのが、両個。三三枚を飛び越えて三四枚になってしまった。
となると次のゾロ目は四四枚となるが、いくらなんでもそれは難しい。今度のヤメ時は餌の枯渇か十四時にしよう。ああだこうだと屁理屈をこじつけてはヤメようとうとはしない、わたし。
矢張り、へら鮒釣りが面白くて仕方がないのだ。
こうして未練を断ち切れずに続けた、十四時。ちょうど餌もなくなった。しかし、釣果といえば中途半端な三九枚。
ここでヤメれば、男が廃る。と餌ボールの辺に付着している残りカスを集めてみたが、とても足りはしない。それではと、これに散け餌を混ぜ合わせて水増し。
この奇妙な餌で続けた十四時十二分。四十枚を達成。
今度こそ、一件落着と相成る。
今年の初釣りは大満足の大漁唄い節で終えることができた。
そして舳先のロープを解きながら思った。
十年前の記念ずべき再開の日。この先の馬の背で釣った魚の数が奇しくも四十枚だった、と。

お仕舞い。

クリックで
拡大写真
本日の第三三号と三四号。

クリックで
拡大写真
いつの間に工事が始まっていた、戸面山。

☻本日の釣果。
・へら鮒/40枚、

☻2017年データ。
・釣行回数/1回
・累計釣果/40枚。

※お断り。
この釣行記はiPad等の端末に合わせて編集しています。

2017年04月09日(日) 。
吉右衛門。




前の釣行記へ a 次の釣行記へ



釣行記2014
過去の釣行記
 
三島湖写真集
〔最終更新日2008年6月30日〕
へら鮒釣りに関する話題と情報を交換する掲示板「へら鮒釣りの広場」を新設!

 
三島湖周辺地図
 
戸面原ダム地図
   
   


▲このページの先頭へ
トップページ


a
a
博物館、美術館の企画展グラフィック、展示会パネル・サインのデザイン・制作なら
株式会社ラピス・ラズリ 〔東京都千代田区〕

Copyright(c)2008 Lapis Lazuli Co., Ltd. All rights reserved.

a
釣行記2010 釣行記2009 釣行記2008 釣行記2012