クツ屋さんにて。
初夏に買ったクツの案配が悪くて、
行着けの店に出向いた時の話。
いつも世話を焼いてもらっているお嬢さんに
調整をお任せしている間
暇に任せて、店内を見渡していたら
メクルめく様な素敵な女性モノのクツが並んでいた。
男のオレが見たってトキメいてしまう様な出来。
盆も過ぎたし、秋の新作かぁ。
誰かに贈りたいなぁ。
然し、淋しい事に相手が居ない。
自分は硬派だから、こんな時に困る。
男もオレぐらいの年に成ると、誰かひとりくらい居るだろう。
誰かいないか。
可愛いヤツ、囲ってみたいヤツ……。
思案六法、
いろいろ考えてみたが、
考えるまでもなかった。アイツに贈ろう。
然し、クツを買うにはサイズがわからないと駄目。
而も、試履が必要。
となると、どうすればいいのだ。
取りあえず、メールでも送ってみるか。
還暦迄大凡千日。
男一匹、最後の挑戦。
頑張る。
吉右衛門。