吉右衛門の闘病日誌、初日の巻。
娘の黄色ビートルの後部座席に乗って、いざ出陣。
行き先は、東京大学医学部附属病院。
ボストンバッグの中身は女房が詰めてくれたし、
オレが準備したのはiPodにiPhone、
それとついこの間までホコリを被っていたノートパソコン。
あとは漫画と小説、中森明菜のDVD。
この類を沢山用意してきて、準備に抜かりは無い。
8時半、
お世話に成る病院に到着。
手続きを終え、病室に向かったのはA棟の12階、
任意保険のお陰と幸運に恵まれ個室に入室出来た。
部屋から望む窓外は眼下に不忍池と上野の森、
遠方に霞むのはスカイツリーで、なかなかの眺望。
オレが景色に見惚れている間に女房は荷物の整理、
娘はソフトのインストールをしてくれて、
どうにか生活の準備を整える事が出来た。
9時半、
看護師さん登場。マスクをしているので素顔はわからないが、
どうやら美人さんみたい。
個室といい看護士さんとい、やっとオレにもツキが巡ってきた。
彼女から、これからの段取りやら病院の決まりの説明を受け、
一件落着。
11時半、
明日行われるカテーテル検査についての説明会。
家族同伴との事で、説明を女房と受けたのだが、
彼女の不安そうな面持ちを見ているだけで、
何だかとっても申し訳ない気持ちに成る。
どうやら、オレの検査は明日の一番らしい。
と言う事は家族も待機なので
明日も八時半に来てもらわないといけない。
何度も、ごめんなさい・・・。
13時、
食事を終えての最初の来訪者は、明日の検査を担当してくださる先生。
検査の段取りやら何やらの説明を受けた後に、
ちょっとだけ質問をしてみた。
「検査の結果で手術不要の時は、何時退院出来るのですか?」
「明後日です」
「えっ!、明後日帰れるんですか?」
意外な答えに驚いたが、間髪を入れず、直ぐに言われた。
「はい。でも経過からみて、あなたは多分ダメ、だと思いますけど」だって。
何だ、嬉しがらせて泣かせる口か。
ココで、この会話を笑って聞いていた女房と娘は帰っていった。
どうも、ありがとう。
14時、
ひとりポツネンと漫画を読んでいたら、朝の看護師さんがやってきた。
そして、開口一番、
「はーい、剃毛しましょ」だって。
「あゝ、そうですか」
と言って素直に指示に従ったのだが、
考えてみたら最近こちらの毛の方も
少々白いモノが目立ってきたのを思い出た。
ちょっと嫌だな。
それで躊躇っていたが、そんな事には少しも意に介さず、
「先生に怒られるので、ガッツリ行きますよ」だって。
と、ココ迄書いた処で心電図とX線の検査に行くので、もうヤメる。
お仕舞い。
2011年10月17日
吉右衛門。