怪獣捕獲日誌、参。
16年10月6日(木)。
沖合いに何処かの船籍の船が停泊をしている。
あれは、どこの船であろうか。
それをぼんやりと眺めながら、蜥蜴の大親分の出現を待つ。
わたしは今、昨日、蜥蜴の大親分を捕まえ損なった海辺の公園にいる。
修理に出していたクルマを引き取っての帰りであった。
このクルマを昨日引き取っていたら、と思わなくもないが、
こればかりは巡り合わせだから仕方がない。
海辺の風景を写真に撮ったりして時を過ごすが、
果たして、蜥蜴の大親分は現れるだろうか。
かれこれ一時間以上も待ったが、その気配すらない。
それに昨日を同じ時場所で待ったところで現れるとは限らないし、
周囲を見渡しても、同業者らしき者はひとりもいない。
暦は十月。
秋も本番になると、陽が昏れるのも早い。
水平線が黄昏てくると、俄かに肌寒くなったきた。
時計を見ると、十七時半を過ぎたところ。
わたしの就寝時間は早い。二十時頃には床に入る。
そろそろ引き揚げるとするか…。
浜辺をあとに、とぼとぼと駐車場へ戻る。
クルマを発進させ公園を出た所で、或る考えが脳裏に浮かんだ。
そうだ、隣の湾町もパトロールしてみよう。
浜辺の公園から湾町までは五キロの距離。
居並ぶ工業団地を抜けた所が、港町だ。
十分くらいも、走ったであろうか。
港町へ出ると、その一角に幾重にも車が駐車している所があった。
そのクルマからは、スマートフォンを片手にした連中が飛び出してくる。
そして路地の方へ吸い込まれるように入ってゆく。
これは?。
何かが出たに違いない!。
わずかな隙間にクルマを停めると、わたしもクルマから飛び出した。
そしてホクホク顏で路地から戻ってきた青年に、
何が出たかを訊いて見ると、鳥恐竜が出たという。
えっ!、鳥恐竜。
とんでもない獲物が現れた。
図鑑を完成させるに最大の難関と思われた、鳥恐竜だ。
こうしてはいられない。
人をかき分けかき分け最前列までゆき画面をひらくと、鳥恐竜がいる。
初めて見る姿に、ゴクリっと生唾を飲む、わたし。
待ちに待った、鳥恐竜との対面の瞬間であった。
玉を替えた。
とっておきの、黒と黄の斑らの玉に替えた。
これに逃げられると今度は何時、出逢えるかわからない。
一投目を投げた。外れた。相手に届かず手前に落ちた。
次も外れた。右に大きく逸れた。
三投目は的中したが、浅かった。あっさりと抜け出された。
そして、コツを掴んだ四投目。
斑らの玉が鳥恐竜の顔面をとらえた。
great
鳥恐竜が玉に仕舞い込まれる。
そして数回転、鳥恐竜が飛び出すことなく捕まえることができた。
やった!。
鳥恐竜を仕留めたぞっ!。
拳を握り、天に向かって突き上げる。
最大の難関を突破できた。
満面に笑みを浮かべる、わたし。
千葉の港を後にする。
続く。
2016年10月13日。
未校正のままでの更新です。
誤字脱字等がございましても、
寛大に対処くださいますよう、よろしくお願いします。
吉右衛門。
すごーい。
鳥恐竜って、恐ろしく強そうですね。
またも臨場感のあるブログ、ありがとうございました。
いつの間にか一人称が「オレ」から「わたし」になったのですね。
鳥恐竜と言われると、どんなだろうと想像が膨らみますね。
飛行機雲さま
いつも几帳面なコメントをありがとうございます。
これを始めお陰で、ブログの種に不自由しなくなりました。
吉。
ニコタマゴロウ改め、薄墨美人さま
一人称の表記を変更したのは、少しだけ大人になったからです。
鳥恐竜は写真を送ります。
吉。