戸面原ダム。
石田島立木。
戸面原ボートセンター。
晴天、概ね無風。
気温32度、減水5.4m、水温不詳、水色澄み。
夏の戸面原、立木の三本勝負!、其の弐。
食欲旺盛な魚たちに歓迎されて、
浮子が動かなかったのは三回だけだった、の巻。
釣行記の更新が遅々として進まない。
今書いているこの原稿を今月下旬までに書き上げて更新しても、未だ第7回。これでは通年の半分程度にしかならない。
では、何がこうも更新の妨げになっているのか……?。考えるまでもない、単純に釣りに行けないからだ。次に釣りに行けない原因を考えるに、一番弊害と成っているのが、営業活動。
これを逆から書いてみると、営業に夢中になっているから仕事を休まない。仕事を休まないから釣りに行けない。釣りに行けないから釣行記を書けない。と、この因果関係にいきつく。
自分の場合、釣行回数と釣行記の更新回数はイコールだから、今年は釣りにも行っていない。あの豊英大橋であんなにも釣行意欲が湧いてきたのに、だ。
…………。
上述したへら鮒釣りより面白い営業とは、今年初頭の釣行記にも書いた二年後の引退を前にした営業人生、最後の営業。
これを始めてみたら彼処に行きたい、此処にも行きたい、と週に一度の営業日が楽しくて仕方がない。それと前から暖めていた企画も実行して、過去に経験した事がないほどの充実ぶりだ。
然し、そんな意気込みとは裏腹に、現状を告白すると可哀想なくらい結果が出ていない。そもそも社内でオレのやっている事を営業と思っているヤツは居るのだろうか……?。恐らく居まい。
職場中の誰もが趣味か道楽だと思っている。この前の看板(前々号で紹介)も、そう。へらニュースに七月、八月と二回掲載し、尚かつチラシまで作成して筆耕(宛名書き)を使い、関八州の隅々から甲州に至る迄の釣り舟屋、釣り堀の約二百件にダイレクトメールを送ったのに、反応はゼロ。へら鮒用語で言う、魚信ゼロ、触りゼロってヤツで正真正銘のオデコを喰らってしまった。
これをアハハッ!と笑いながらやっているのだから、度し難い。然し、最後の最後で「営業が趣味」。と思えるようになったきたのは、これはこれで、何かを極めたって事か。
世間サマにとってはどうだっていい、オレが釣りに行けない理由なぞをくどくどと書いていたが、今日は戸面原ダムへ行く。
実は今回の釣行は先週の金曜日(五日)に予定していたのだが、不覚にも寝過ごしまい、仕切り直しと成った次第。
いつものように穴川ICより突入し、館山道をヒタヒタと南下しながら今季の残りの予定を考える。先ずは今月中に戸面原ダム立木の三本勝負を完遂する。これは何としてもヤル。そして来月は豊英湖の奥畑の滝の傍で再度竿を出し、石にかじりついでも一枚を仕留める。十月以降は今年一度しか行っていない三島湖の豚小屋で竿を出し、今年を締める。とまあこんな具合だが、これらのすべてが実行出来たとしても、合計では十回強にしか成らないから、釣行記の百回記念も来年に持ち越しだ。
…………。
何故か戸面原ダムへの釣行では遅刻をしない。
今朝もキチッと十五分前に着いて入店すると、管理人の相沢さんから開口一番、「今日もご案内しますよっ」と言ってもらえた。
そう言い残すと相沢さんは、急いそと出舟の為に桟橋に行かれてしまった。そうだ、そうだった、こちらの出舟は公称出舟時間の十五分前だったのだ。
間もなくオレも朝食を済ませてから桟橋へ出向くと、集まったのは常連さん、見るからに上手そうな若い方、オレ、の三人だけ。
但し、お若い方には後からお連れさんが来るみたいだから、これを合計した五名が第二次出舟組となる。(一次組は二名)
早速、相沢さんに行き先を問われたので、オレからも尋ねると、
「未定なのでお好きにどうぞ」、とお若い方が言う。
「では、遠慮なく石田島をいただきます」と言ったのはオレ。
斯くして、今回は石田島で竿を出せる運びと成った。
どうも、ご馳走さまです。
午前五時半、天気晴朗ベタ凪。
「ヨーソローッ!」と大きな掛け声で出航。
手を振って見送ってくれる相沢さんに、敬礼。
我レ手柄ヲ立テント誓イ大桟橋ヨリ出航ス。
ひとり、海軍調で士気を鼓舞しながら進むと直ぐに現場到着。
そこで目にした光景は驚くほどのさま。昨年の同時期(2010年第14回)に舳先を留めた木は根元まで露呈している。
これはもっと減水するのであろうか……?。あと5米も減れば湖面積は満水時の半分以下になるのではないか……。
(この写真は後部に掲載)
こんな事を思いながら、舟を着ける。
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本日入釣場所の、正面図。
玉網で隠れている場所は、岩盤突端。 |
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◯本日のデータと予定。
・目標/二〇枚。
・竿 /朱門峰凌.13尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ.10番。
・鉤素/600粍+750粍。
・餌 /天々.1+グルバラ.1+GTS.1+水.1+スーパー団子1。
(数字の1は100cc)
・納竿/11:30(夏季の外出自粛の為)。
・備考/虎の巻の練習及び試釣。
午前六時半。
準備完了。今朝も始める前に能書きを、ふたつ。
先ずは、納竿が早い理由。
今年も人間ドックで随分と叱られてきた。そして、またもや夏場の外出自粛を言い渡された。去年も同じ警告をされたが聞き入れなかったので、今年は守りたい。そうしないと主治医の先生も注意のし甲斐がないってものだ。依って、ちょっと早いが納竿時間を十一時半とし前半を団子、後半を角麩として興じるつもり。
次は釣技の事。
前回が、オデコの一歩手前と言ったような体たらくであった為、大名人の山田さんから頂戴した虎の巻(掲示板に書きこんでくださった助言&ノウハウを、虎の巻と命名)を試す事が出来なかった。そこで今回はコレについても学びたい。
…………。
さて、ゴングが鳴ってエサ打ち開始。
兎に角、浮子が動くまでは積極果敢に打つべし、打つべし、打つべし、と勇んで始めたら、なんて事はない。あっさりと三投目で浮子が動いた。これは吉兆!。この先に何が起こるのかは、オレにようなド素人にだってわかる。
今日はいい日に来たもんだ。ルンルン気分でこれから起こるであろう事を想像していたら、ありがとう。前回五時間半を要した一枚目が、僅か十分で釣れた。
幸先よく一枚目を仕留めたが、あとが続かない。
何と言うか、浮子が半端でなく動く。立ち上がりが遅いし、直ぐにエサも落とされてしまう。想像するに、食欲旺盛な魚が大集結していて、水の中から、
「オヤジーッ、早くしろー!」と、怒鳴られているかのよう。
これでは駄目だ。
今、一番に為すべき事は、魚たちに秩序を保たせる事。
無秩序に早い者勝ちでエサを食われたんじゃ、どうにもならない。兎に角、順序よく並ばせて個々にしっかりと浮子を動かしてもらう事だ。
ココで一度目の、虎の巻タイム。
ナジミ幅の確保の仕方を改めて読んでみる。
こうして日傘の陰で読んでいると、高校時代、授業中に隠れて読んでいた、漫画「あしたのジョー」を思い出す。
主人公の矢吹ジョーが、少年院で出会った宿敵、力石徹と戦う為あしたのためにその1、その2を特訓する件。
差し詰め、ナジミ幅の確保は、その1の左ジャブだ。
※要約するのは失礼なので原文のまま、掲載します。
ナジミ幅は2節入ればOKですが、ナジミ幅を出すには、
・エサを丁寧に丸めハリを刺してから表面を成型します。
・それでもナジミ幅が出ない場合は、基エサを小分けして押し練りを加えます。
・まだナジミ幅が欲しい時は小分け分に練り(ボウルの縁に10回擦り)を加えます。
ヘラが居ればウキが立ってからナジミ終えまでに触りを出します。触りの内で、ややキレの有る動きが落ち込みのアタリです。
このアタリを見極めて合わせを入れると、結果経験で判断が出来てきます。肩の位置での動きはスレアタリの場合も有りますが、見極めが着くまでは積極的に合わせます。
この循環が開始の初期には寄せとなる重要な作業です。
…………。
オレの水準では理解出来ない箇所も多々あるが、取り敢えずやれる事はやろう、とエサに数回の練りを加え、三本の指先でコロコロと丁寧に丸めて針に付ける。エサの大きさと針の付け方に課題が残るが、早速やってみると、浮子の動きが小さく成ってスレだか糸ズレだかがわからないような大きな動きは解消出来た。そして少しずつだが秩序が回復したかのように、釣れだした。
現在の浮子の動きを説明すると、立上がってから少々の間をおき、ボディとトップの付け根の位置からエサ落ち目盛り付近の間をフラフラと彷徨い、その後に生じる力感ある魚信で釣れる。
トップの沈下具合に不満は残るが、とっても分かり易い魚信に成ってきた。そうだなあ、三回に一回は釣れるようだ。
午前九時十分。
釣果が二十枚に達した。
両団子の釣りで、こんな短時間で身分不相応に釣れた事はない。故に本来はコレで充分なのだが、贅沢を言わせてもらえば、もう少しナジミ幅が欲しい。更に夢を語らせてもらえば、浮子が立ちトップがジワーッと沈下し、虎の巻の記述に有ったような魚信(触りの内で、ややキレの有る動き)で釣りたいのだ。
残り時間は二時間くらいしかないが、贅沢を叶える為に、
二度目の、虎の巻タイム。
触りが激しい時のナジミ幅の確保。
あしたのためにその2、右ストレート。
※今回も要約するのは失礼なので原文のまま、掲載します。
触りがきつくなり、ナジミ幅を取れない場合は、粘力の効果を期待して添加したエサにします。
この場合、練りは極力避けるのが良い結果が出ます。
しかし、場合によっては押し練りや擦り練りも試します。
最盛期には、粘力2杯が良い場合も有ります。
このエサでは落ち込みの触りを重視しますので、忙しい釣りとなりますが、エサ着けは丁寧に慎重に素早くです。
ハリに付ける際の丁寧さがナジミ幅を左右しますので・・・。
アタリの判断は可なり難しく、上級者でもスレ取りを犯します。
ウキが肩で立ってからが勝負の始まりで、触りが多ければナジミまでに合わせが続いてしまいます。
ヘラが上ずるくらいが時合いになります。
…………。
読み終わってから虎の巻は丁寧に折り畳んで、エサを釣り直す。
・餌/天々.1+グルバラ.1+GTS.1+粘力.匙1+水.1+
SD1。(数字の1は100cc)。
自分の一回の作成量は400ccだから、これに対して匙1は多いかもしれない。でも、まあいいや、と出来上がったエサで再開してみると、効果覿面でトップがナジンでいく。どうしてこの粘力なる澱粉の粉みたいなものが、鉄粉でも含んだかのようにトップの沈下を促進させるのか……?。この辺りの理屈がオレの頭脳では理解不能なので、不思議で仕方がない。
何はともあれ、これでナジミ幅の確保は出来た。然し、先ほどまでのような大きくて鋭い魚信の殆どが空振りになってきた。そこで合わせる魚信を小さいものに変えてみたら、何と微弱な動きや一瞬止まったような動きでも釣れだした。エサを替えるって、こうも結果が違ってくるんだ。
大名人の山田さん、どうもありがとうございました。
(文中、あしたのためになどと表現しましたが、決して茶化したつもりではありません。次の釣りに繋げたいが為の表現です)
午前十一時半。
納竿の時間。
本日ただ今の釣果は、四六枚。
両団子の釣りで、こんなに沢山釣れてしまった。
こんな好機は滅多に訪れないから、ココでヤメたら男じゃない。こうなったらキリのいい、五十枚は釣らなくてはなるまい。
そんな時、耳元で誰かが囁く。
西の空にスミ色の雲が浮かんでいる。やがてあの雲がこちらの方に流れてくるから、続行したって大丈夫だぞ、と。
それに、こんなに早く家に帰ったって昼寝しかする事がない。
エエイ、かまうもんか続けちまえっ!。
一人芝居の末、戦闘を続行する事に決めたが、オレにだって良心のひと欠片くらいは残っている、三〇間休憩しよう。
正午。
両団子で五〇枚を釣るべく延長をしたのに、何故か角麩で再開。
毎度の事だが、コロコロと豹変する自分の気持ちがわからない。
・目標/定めず。
・竿 /朱門峰凌.9尺。
・浮子/痴舟.8番。
・鉤素/100粍+600粍。
・餌 /蛹爆弾+一発(極小)。
・納竿/飽きるまで。
三〇分も空けたのに二投目から浮子が動き、四投目で釣れた。
そして続けて釣れて、直ぐに五〇枚も達成。
本来であれば喜ばしい事であるが、決まり手に不満がある。
同じ釣るなら角麩釣りの醍醐味である、脳天金槌を味わいたい。
釣れていたらいたで不満を口にするオレは贅沢なのであろうか。ココでひと工夫。この魚信を演出するのに、蛹爆弾を親指の爪大に凝縮して臨んでみる。然し駄目。この程度の事で上手く行くわけがない。釣れるには釣れるが、ズンッズンッ!と力強く水中に引っ張られるような魚信や、浮子のボディがいきなり水中から飛び出して、バッタリ倒れ込むような強烈な魚信。まさにボクシングのKOシーンだ。
何せ、魚が上から下までビッシリと棲息してるようだから、どんなエサにしたって浮子の動きがヤム事はない。
十四時半。
角麩の釣りでも、二時間半で三一枚も釣って合計釣果が七七枚となった。いい数字だからこの辺でヤメてもいいが、八〇枚まで頑張ろう。と軽い気持ちで続行。然し、甘く見るもんじゃない。三枚釣るのに一時間も掛かってしまった。
そして八〇枚目を釣り上げた、十五時半に納竿。
「立木の三本勝負!、其の弐」は大漁で終わった。
…………。
今日は釣れた。何せ浮子が引っ切りなしに動いた。これについて改めて考えてみたら、浮子が動かなかったのは朝の始動時の二回と、午後の再開時の一回だけだった。
本来はこれで目出たし、目出たしなのだが、禍根がひとつ。
残念ながら、脳天金槌は不発に終わった。
お仕舞い。
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減水5.4メートルの、石田島立木。
昨年の同時期には根元まで露呈している木の、
上の方に穂先を結んだ。 |
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石田島島裏、全景。
前号とほぼ同位置での撮影、お閑な時にでも比較ください。 |
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前島、この角度からの撮影は始めて。
いつか必ずこの島で、竿を出したい。 |
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○本日の釣況。
・石田島、岩盤側立木。
06:00〜11:30、13尺天々/四六枚、両団子。
12:00〜15:30、9尺天々/三四枚、角麩。
・合計 八〇枚。
八尺零分〜壱尺壱寸五分。
○この日の釣果。
○2011年データ。
・釣行回数/7回
・累計釣果/360枚、平均/51.4枚。
2011年08月24日(水) 。
お知らせです。
各位
いつも「吉右衛門のへら鮒釣り」をお読み頂き、
誠にありがとうございます。
報告が御座います。
現在掲示板を一時的に停止させております。
最近掲示板に迷惑な宣伝勧誘等の書き込みが数多くされていて、ご不快に思う方もいらっしゃると思いましたので、対策として止む無く処置致しました。今号は既にお読みいただきましたように、房総三湖の代表的へら鮒釣り師、山田さんの掲示板への書き込みを中心に作成しておりました。それだけに、その原文をお見せ出来なくなった事が残念でなりません。
再開に関しましては、今後の状況をみて判断したいと思います。
どうぞ、これからも「吉右衛門のへら鮒釣り」をよろしくお願い致します。
2011年08月30日(火) 。
吉右衛門。
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