吉右衛門へら鮒釣り2011
第八回釣行 2011年08月29日(月)。
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戸面原ダム。
前島島裏、本湖立木。
戸面原ボートセンター。
曇りのち快晴、風。
気温31度、減水5.0m、水温不詳、水色澄み。   

夏の戸面原、立木の三本勝負!、其の参。
念願の前島で竿を出せた、の巻。

午前五時半。
「これから千葉の自宅を出ます」と言ったのは、オレ。
「ハーイ!お待ちしています、お気をつけてえ」と言ってくれたのは、相沢夫人(戸面原ダムの管理人の奥さん)。
そう、今回から釣行時の出発時間が、このような時間になってしまった。こう成った理由はひとつ、睡眠時間確保の為だ。
実は、お盆明けの定期診断で主治医の先生から優しい口調ではあるが、こう言われた。「ご家族の事も考えないと……」、と。
今迄も幾度となくこのような警告は受けてきた。それに対して、いつも神妙な面持ちで耳を傾けてきたつもりだが、オレは出来が悪いので、大概の事は三日経つと忘却の彼方にいってしまう。
然し、これからは「自愛」。この言葉を胸に刻み込んで生きていかねばなるまい。故に、仕事で夜討ち朝駆けをするのは致し方ないにしても、釣りに行く時くらいは自制しようと思う。
今までは、釣りに行くとなると二三時から二四時に就寝し、三時半には起床していたのだが、これだと主治医の言う「睡眠時間八時間確保」の半分にしかならない。
八時間は現実的でないにしても、釣りを続けたければ、狭小になった条件の中で遣繰りするしかなかろう。

午前六時四五分。
公式出舟時間から遅れる事七五分、戸面原ダムに到着。
おはようございます。事務所に入店して管理人である相沢さんご夫婦に挨拶すると、嫌な顔ひとつせずに迎えてくれた。そして料金を支払い朝食を依頼。とここまでの段取りはいつもと同じなのだが違うのは他に、誰も居ない事。
それはそうだろう、出舟時間に自宅を出てきたのだから。
この事にはご面倒を掛けているようで、少しばかりの後ろめたさも感じるが電話も入れてきた事だし、お許しいただこう。
…………。
朝食を食べながら最近の釣況を窺うと宇藤木橋、上郷橋共上流は
魚が下りてきているせいか、何れも芳しくない模様。
続いて今朝の入釣状況も聞いてみると、宇藤木方面は杉林とトンネルワンド、向田に各一名。本湖に散開しているのは石田島立木に二名と岩盤に一名、そして光生園下にも三名との事。
よかった。心密かに希望してきた前島の名が出てこなかった。
ココで前島入釣の希望を言い出そうかと思っのだが、春にお世話になった前宇藤木も、未だ空き地のままとの事。
そうか、前宇藤木かあ。どちらも行きたいが、この身はひとつ。散々迷った末、今回はお薦めいただいた前宇藤木の方に決めた。
…………。
この春以来となる前宇藤木に入るべく桟橋への階段(減水五米)を降りていたが、忸怩たるものを感じられずにはいられない。
矢張り、前島に舟を結びたい、と。
そうだ、一昨日書き上げた釣行紀(第7回)の写真キャプションにも、いつかこの島で竿を出したいと、書いてきたのだ。
それに、この島は水位次第で島の頂までもが水中に没してしまうロマンチックなポイントだ。それだけに、これからの颱風シーズンを考えると、今、入らないと来年まで舟は着けられなくなる。そこで相沢さんに前島へ変更したく成った旨を告げると、
「前島も岩盤に向ければ、いい釣りが出来るかもしれませんよ」と言ってくれた。これはよかった、否定されなかった。
嬉しい。前島行きが決まった途端に胸はトキメイ、ワクワク感までもが湧いてきた。

午前七時十五分、天気曇ルモベタ凪。
輸送船に積み荷をし、
「ヨーソローッ!」、と大きな掛け声で出航。
嗚呼堂々の輸送船、さらば祖国よ栄えあれ。
千切れるほどに旗を振って見送ってくれた相沢さんに、敬礼。
我レ、本日ノ攻略地点、前島ヘト向カウ。
…………。
港を出てから数分で、現地到着。
これから舟尾を岩盤方面に向けて固定するわけだが、これが予想外に難かしそう。何が難しいのかと言えば、立木の数が少ないのと一本一本の間隔が離れすぎている。果していつものロープ(10米)だけで固定出来るのであろうか。取り敢えず、頭のなかでシミュレーションをしてみたが、出てきた答えは……?。こればかりはやってみなくちゃわからない。そこで駄目で元々と挑んでみると右のロープが一杯になってしまったが、どうにか作業を遣り終え固定する事が出来た。
苦心惨憺したせいで、島を眺めながら一服も二服もしていたら、何を思ったか突如として、島を征服してみたくなった。
そう思うや否や、何ら躊躇う事なく首からカメラをぶら下げて、島を駆け上がる。
そして、これが途轍もなく愉快な事であったので、ココからは写真で説明する。

釣行記写真
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前島征服の記録、ココから登った。

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同上、五合目。

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同上、八合目。

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同上、頂上付近。

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同上、頂上より川又を望む

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同上、頂上より桟橋・事務所を望む。

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同上、頂上より輸送船を望む

午前八時二〇分。
いやはや、予期せぬ体験をさせてもらって、大満足。
来年は旗を作ってきて、頂きに立てたいと思う。
こんな風に散々遊んでいて随分と時間が経ってしまったが、そろそろ釣りの時間。12尺程度で底、と聞いてきたので10尺から始めてみたが浮子が半分しか立たない。それに何やら障害物らしき物も待ち構えている。これでは駄目。嫌でも竿を替えねばなるまい。代えるとなると本日は偶数竿の日だから、最短の竿は8尺と言う事になる。そこで徐に8尺竿を袋から出していたら思い出した。そうだ、この竿には天々用の仕掛けが無かったのだ。対応策として小さな浮子を持参してきているので、天々釣りさえ諦めれば竿は替えずに済む。然し、この竿を使う事は滅多にないので、偶には使って遣りたい。それにコレ用の浮子だって一昨年に購入して以来一度だって竹筒から出してやれていない。これ等、諸々も考慮すれば、今回は8尺竿を遣わねばなるまい。
…………。
仕掛けを作る事三〇分。完成して投げ入れてみたが、又も駄目。これにはガッカリ、悄然タリ。
前述した障害物の正体がわかった。どうやら湖底から生えている立木のようだ。然もそいつはエラく意地が悪そうなヤツで、オマエにはココで釣りはさせない、とでも言われているかのよう。
参ったなあ、舟を立木に影響されない左側へ向けさせようとしても、既にロープがいっぱいだから出来やしない。この条件でいろいろ考え悩んでもみたが、御愁傷様。
ココは撤退するしかないだろう。
ロープを解いて周囲を見渡すと、島裏に格好の立木を見つける事が出来たので直ぐに、名案が頭を過った。
あちらに移動して石田島に舟尾を向けて着けよう、と。

午前十時。
ベストである岩盤向きとはいかなかったが、どうにか準備も出来て、やっと釣りが始められる。実はココに着舟するのにもエラく往生してしまった。またも立木の間隔が離れ過ぎていて伸びきったロープを舟に結ぼうとすると、スルリと手から逃げられて三度も着け直すハメに成った。
時計を見ると既に、十時。こんなドジやヘマをやらかしている間にも刻々と時は流れ、桟橋を出てから何と三時間近くも経過してしまった。

釣行記写真
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本日入釣場所の、正面図。

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同上、背面図。

◯本日のデータと予定。
・目標/十五枚。
・竿 /嵐馬.8尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ.8番。
・鉤素/450粍+600粍。
・餌 /天々.1+グルバラ.1+GTS.1+水.1+スーパー団子1。
    (数字の1は100cc)
・納竿/定めず。

やがて沈みゆく前島を背に、石田島に向けての第一投。
念願の前島での釣りが始まった。
廻り道はしたが期待と興奮で胸が高鳴る、素晴らしい一日となりそうだ。そんな思いで浮子を眺めていると、何処からともなく、ミンミン蝉が飛翔してきて鳴き出した。
何だろう、いつもは豪快に聴こえる蝉の音が、今日はなにやら哀し気に聞こえる。彼は何を哀しんでいるのか。もうすぐ、閉じようとしている夏の終わりか、はたまた、余す所数日で尽きようとしている果無い生命か……?。
哀しいと言うか、ロマンチックと言うか、釣りをしにきたのを忘れそうだ。偶に我に返って浮子を見やるも、動きやしかない。だから、また直ぐに思考は他に流れる。
こんな風にまったりと浮子を眺めながら過ごしていたら、やっと穂先の向こうやら右やらでモジリが現われてきた。
これで浮子が動くかもしれない。
仄かな期待も抱いたが、残念でした。やっぱり何も無かった。
…………。
九〇分経過、そろそろ何かが起きてもよさそうな時分だが、相変わらず、何も起きない。モジリの数は増してきているのに、だ。
そして、そろそろ途方に暮れようか、と思っていたら下流の赤い橋の方角から風が吹いてきて、直ぐに勢いも増してきた。
こうなると軽量な浮子の出番は無い。立ち所に水面に寝かされてギブアップ。最早、ロマンチックな気分も、ココまでだろう。
予想外の風の悪戯で、立ち退きを命ぜられた。
今暫く、前島での釣果を夢見て頑張りたいが、それは、来年までのお預け、と言う事にしてロープを解く。
時計を見るとちょうど時報が鳴った、十二時の事。

十二時半。
漂着してきたのは、本湖立木。
ココへ舟を結んだ事に、然したる理由は無い。単に空いていたのと、風を背にする事が出来るからだ。要するに、今日に限っては釣果への拘りはあまり無い。

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移動場所の、正面図。
写真中央が先ほど迄居た、前島。

十三時。
移動前と同じ仕掛けで、再開。
魚密度は明らかにコチラの方が濃いであろうから、いつかは浮子も動くだろう、とタカを括って臨んだが、甘かった。
先ほど、釣果への拘りは無いと記したが、微かな願望を言わせてもらえば、オデコだけは逃れたい。然し、現実として浮子は梃子でも動きそうにない。
こんな願望と現実の狭間を彷徨いながら目にしたのは、子供の頃に見た夏空のもと前島の周囲を飛び交う、数羽のトンビ。
上へ下へと舞い続け島の廻りを縫うようにして旋回、そして頂点まで上がりると急降下。歌の文句じゃないけれど、クルリと輪を書いて、飛翔している。こんな姿に見蕩れてしまった。
朝の蝉といい、目の前のトンビといい、今日は感動の連続だ。釣果は無いけれど、実にいい日に来れたものだ。こんな贅沢な自然に触合えたのだから、三年ぶりのオデコだって甘受しよう。
…………。
十四時半。
本日ただ今の釣果、零。
釣果も無いが、浮子が動いた事すら目撃していない。
既にオデコを受け入れたこの期に及んでだが、よく考えてみればオレは今、何故8尺で釣りをしているのだ……?。
そうだ、そうだった。朝の最初の場所で浮子が立たずに、急拵えで仕掛けを作り、ズッとそのままにしていたのだ。
それって今にして思うと、あまりにも乱暴ではないか。いくら減水してるからといって、この場所だってもう少しは深いだろう。
そう思うや否や、棚取りゴムを付けてみたら、浮子は勢いよく水中に呑み込まれた。
やっぱり……。思った通り、ココはもっと水深があったのだ。
今更と成ってしまったが、今後の事もあるので、12尺を使って少しだけ試釣をしてみたくなった。
そして、このちょっとした悪戯気分が、思わぬ吉をよぶ。
十分後、竿と仕掛けを取り替えて再開してみると、何と浮子が動いた。遅ればせながらの、本日の初魚信、だ。
この思わぬ出来事に喜びを感じ続けていると、本日の第一号。
そして二号、三号と続く。

釣行記写真
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思わぬ形で釣れた、本日の第一号。
前島を背景にして。

これは面白い。俄然気持ちも沸き立ってきたが、時間はと言えば既に十五時少し前。もう少し続行すれば五枚だって釣れるかもしれないが、それを達成すれば七枚に挑みたくなるし、更に十枚だって釣りたくなる。それではキリがない。
残念だが、ここはスパッとヤメる事にしよう。
ということで十五時ピッタシ、納竿と相成る。
「立木の三本勝負!、其の三」は、
最後の最後で釣果のオマケもついて、最高の一日となった。
そして更に思う、釣果は少なくとも、
今年の釣行で今日がベストフィッシングであった、と。

お仕舞い。


○本日の釣況。
・前島島裏立木。
 10:00〜12:00、8尺天々/零枚、両団子。
・本湖立木。
 13:00〜14:30、8尺天々/零枚、両団子。
 14:40〜15:00、12尺天々/三枚、両団子。
・合計 三枚。
 九尺零分〜壱尺零寸五分。


○この日の釣果データ。

釣行記写真
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 戸面原ダムボートセンター、ホームページより。

記事掲載のPDFデータはこちら > > >


○2011年データ。
・釣行回数/8回
・累計釣果/363枚、平均/45.4枚。


2011年09月03日(土) 。 
吉右衛門。


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どうぞ、これからも「吉右衛門のへら鮒釣り」をよろしくお願い致します。

2011年09月19日(月) 。 

吉右衛門。


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