吉右衛門へら鮒釣り2015

  ◎第十回釣行
7月10日(金)

戸面原ダム。
向田湾処。
戸面原ボートセンター。
快晴。
気温/30度、水色/濁り、水位/満水。 

「水が濁った時の駆け込み寺で竿をだすも…」の巻。

今季十度目の釣行を迎えた。
これで昨季に続いて二桁釣行を達成できたことになる。さらに中毒的に竿を出したくなっている昨今を考えると、数年前にあった衰退感からは完全に脱却できたようだ。
今後の予定も記すと、今月(七月)は主戦場である戸面原ダム。八月から九月の初めにかけては笹川湖。そしてその後に煩わしい入院があるが、それが明けると十月。再び戸面原ダムに戻り、三島湖の農道跡にも出向いて、今季をお開きとするつもりだ。
その他にも富士山へ行きたいが、こちらへ遠征するには夜中に出掛ける必要がある。そうなると前日が休みの月曜日となるが、仕事との兼合いでなかなか都合がつかない。しかし、いつか何とかしたいとは思っている。
こうして今後の予定などを書いていると、さぞかし、へら鮒釣りに浮かれているように思われそうだが、内情はそうでもない。
健康には不安を抱えているし、順調だった稼業の方も不透明になりつつある。それだけに或る日、突然、何があってもおかしくないのが実情だ。そんな残余の人生だけに、今のこの時間を少しでも大切にできればと思っている。

戸面原ボートセンターの手前には二本の橋が架かっている。
長川橋と戸逆橋(とさかばし)だ。
このうち最初の橋。長川橋を渡っていると、その湖面の色に愕然とした。水が茶色く濁っている
しかも、茶色というより、まっ茶色だ。
同様のことがあった。一昨年の初釣りの時だった。その時にオデコを喰らった事が脳裏をよぎった。
実は今回の釣行には秘めたる思いがあった。
向田湾処(むかえだわんど)の立木に舟を結び、流れ込みのせせらぎと小鳥のさえずりを楽しみたかったのだ。
しかし、これで宙釣りはできなくなった。
あきらめて湾処の入口で底釣りに挑んでもよいのだが、わたしがやるのは底釣りではなくて、底釣擬き。宙釣りも自信がないが、底釣りは尚のこと、自信がない。
しかし今日の水色を考えると、魚の顔を拝みたかったら、擬きでもなんでも、そうするしかないだろう。
そうと決めたからには、このような時の駆け込み寺。向田湾処の入口が売り切れていないことを祈るしかない。

八時。
戸面原ダム、
戸面原ボートセンター桟橋。
桟橋へ出た。
待望の青空が広がっている。
ジメジメとした日が続く梅雨のさなか、快晴の朝だ。
天気予報では、南の海にある三つの颱風(9号、10号、11号)がどうとか言っていたが、それが嘘のようだ。
すでに気温も上がり猛暑が予想されるが、湿気がないのでカラッとした爽快感すらある。
さて、行き先。
池主の相沢さんに向田湾処の入口で底釣りをしたい旨を話すと、予想通り、売り切れたとの返事がきた。
朝。宇藤木方面には数名が出漁し、隧道湾処(とんねるわんど)と向田湾処に分かれて向かったとのことだ。
そこで相沢さんからは、落合を薦められた。前回と同じ場所だ。
落合ならこの水色でも宙釣りができるという。
向田湾処がダメとなった今、なんら異存はない。
薦められるままにロープを解いて、出航。
落合に向かって櫓を漕ぎ始めると、ナイスなタイミングで上流から釣り客がひとり下ってきた。話を訊いてみると、南郷岬で竿を出していたが、成果がなかったとのこと。
なるほどそうか…。
相沢さんは向田湾処と言ったが、どうやら南郷岬だったらしい。とすると向田湾処は空き家と言うことになるが…。
それについても尋ねると、あそこは朝から無人だという。
これを訊いて色めく、わたし。
急ぎ進路を変え、向田湾処へと急行する。
そしてこの行き先変更が、今日の運命を分けた。

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本日の入釣場所の、正面図。
穂先の照準は、前宇藤木湾処。

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視線の位置からの、正面図。

 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻釣況。
・目標 /二十枚。
・釣り方/底釣り、両団子。
・竿  /特作伊吹、十一尺。
・浮子 /忠相、パイプトップ十一番。
・道糸 /1号。
・鉤素 /0.4号、350粍+420粍。
・針  /アスカ7号+アスカ5号。
・持参餌/団子の底釣り夏、〃 底釣り冬、バラケマッハ。
・納竿 /十五時半。

九時半。
戸面原ダム、向田湾処入口。
無事、向田湾処の入口に舟を結ぶことができた。
もう少し出航のタイミングがズレていれば、このような展開にはならなかっただけに、今日の幸運には感謝したい。
さてさて、こちらの場所であるが、ここは一昨年の初釣りで対岸の前宇藤木から辛い思いで眺めていた場所でもある。
そう、水が茶色くなった時の逃げ場なのだ。
言うならば濁った時の、駆け込み寺でもある。
そんな一級ポイントで、釣りを始める。
先発は十一尺。
本日持参の最短竿だ。
始めたばかりなのに、もう不安がある。
穂先と浮子の間に遊び(間隔)がない。
短針を着底させたら、浮子の長さにして一本半くらいしか遊びが確保できなかった。十二尺を持ち合わせていれば、こうはならなかったろうが、次に短い竿は十四尺。届かなければ、十一尺での深宙釣りか、十四尺で沖に打つかだった。
十五分が経った。
珍しく餌の着水点とトップの露出幅が思惑通りになっている。
念入りに何度も計測した甲斐があった。
わたしが餌を入れているのは真正面。
ここだけが深くなっていて、左右にズレると途端に沈下幅が少なくなる。まるでそこにV字鋼でも埋めてあるかのようだ。
そのV字鋼に餌を入れ続けていると、ツンっ!。
してやったり、魚が釣れた。
釣れてきたのは色白の八寸級。昨秋にデビューした放流べらだ。
これが釣れたということは、今日の釣果に期待が持てるのではないか。どんどん釣れそうな予感がしてきた。

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本日の第一号。
色白の放流べら八寸級。背景は前宇藤木。

正午。
本日ただ今の釣果、三枚。
すっかり当てが外れた。
どこが、逃げ場だ!。なにが、駆け込み寺だ!。
ちっとも、浮子が動かないじゃないか!。
大した知識もないのに、知ったような顔で行動するから、こういう憂き目に遭う。
それでもこんな筈はない、こんな筈はない、と何度も繰り返し浮子をずらしてみた。釣れた位置に蜻蛉を付けて細かく上げたり下げたりしてみた。不器用なわたしが可哀想なくらい一生懸命やった。しかし、結果は厳しいものだった。蜻蛉の位置で二枚追釣できただけだった。
細かい努力をするのもよいが、考えてみれば、あたり一面には誰もいない。独占状態だ。それだけに多少、浮子の位置がずれていようが、餌が不味かろうが、釣れないまでも多少の反応くらいはあってもよい筈だ。それが無反応ということは、ここには魚がいない、と結論づけてもよいのではないか。
ため息がでた。
こうなる事がわかっていれば、相沢さんの助言通り、落合で竿を出せばよかった。今にして思えば、朝の出会いはナイスなタイミングでもなんでもなかった。最悪のタイミングだった。
愚痴をこぼしても始まらない。
こうなったら、残された時間をどう過ごすかだ。
上級技術者であれば、さっさとロープを解いてリターンマッチに挑むだろうが、わたしは下級技術者。
そう容易く移動できない事情がある。
新たな場所に舟を結び直して底を計測するとなると、どう見積もっても九十分が必要だ。それにこの場所に舟を結んだ時も、見知らぬ植物の棘が刺さって手の甲と二の腕から血が出てきた。
残りが三時間しかないのに、それをやるのはあまりに難儀だ。
そうなると、ここで竿を出したことを天命と受け止め、諦めるしかない。
すっかり意気消沈していると、アシスタントの萌ちゃんから無料アプリのLINEが入っているのを思いだした。
それを覗いてみると、(鯨が釣れた)とあった。
オーッと!。御上の仕事が落札できたようだ。

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本日の入釣場所を、対岸から見た図。

十四時。
そうだ舟の角度を変えてみよう。
なんで今まで、こんなことに気が付かなかったのだろう。
思い立ったら吉日。おのれを急き立てるように、舟を時計回りに動かす。
穂先の的が前宇藤木湾処から湾処と四本立木の中間辺りに変わった。そこに向かって打ち始めたはいいが、またもや浮子下の不安に苛まれる。
トップの露出幅が安定しない。浮子下は適正なのか。
時たま、針が湖底の岩盤と思われる欠片を拾ってくるから、その辺りを彷徨っていることは間違えないが、自信はない。
そうこうしているうちに、隧道湾処にいた釣り客が引き揚げていくのが目に入ってきた。時計を見ると十五時半を回っている。
もうやめよう…。
むなしい抵抗を試みたが、やはり浮子は動かなかった。
しかし、魚は釣れなかったが、仕事では大型を釣上げた。
それが相殺となって、一件落着。
桟橋へ戻る。

お仕舞い。
☻本日の釣況。
・09:30~15:30、十一尺 底釣り擬き/3枚、

☻2015年データ。
・釣行回数/10回
・累計釣果/52枚。


2015年07月19日(日) 。
吉右衛門。



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