吉右衛門へら鮒釣り2015

  ◎第十五回釣行
8月18日(火)。

西湖。
沖ブナイ。
西湖レストハウス。
天候/曇天、時々晴天、中風。
気温/28度、水温/不明、水色/エメラルド、水位/満水。 

「西湖で竿を出した」の巻。

目を覚ますと、雨音が聞こえてくる。
あいにくの天気となった。
今日は待望の、西湖へ行く日。
天気予報(隣の河口湖)を見ると、九時迄に弱雨の表記があり、その後は曇り。そして西から風速3mの風が吹くようだ。
しかも、変わりやすいと言われている山の天気。さらに悪化する懸念もある。それを考えると延期すべきかと思うが、すでに雨で一日延ばしたこともあって、もう予備日がない。それに西湖で竿を出すのは今年の目標であり、数年来の夢でもあった。それに合わせて道具を揃えたこともある。
しかし、千葉にあるわたしの自宅から西湖までの距離を測ると、片道165km。この距離を日帰りでして、夜明けから夕暮れまで竿を出すとなると、それ相応の覚悟がいる。それだけに尚更、好天の日を選びたい。
さて、どうするか。
考えるまでもない。行きたい。
花も嵐も踏み越えての気持ちが強かった。
そうと決めたからには急がねばならない。
西湖は人気の釣り場。平日とはいえ、混み合うことは必至。
これから出発すれば、どうにか出舟時間には間に合うだろう。
おもむろに起き上がったわたしは、愛車へと急いだ。

四時十五分。
わたしがやってきたのは西湖の西に位置する、根場地区。
こちらを選んだのは風が比較的穏やかなのと、各ポイントにはロープが張ってくれてあるので着舟が容易いと考えたからだ。
そして草鞋を脱ぐ釣り舟屋は、西湖レストハウスさん。
暗いうちに到着するや、ご主人と女将さんに新参者としての仁義を切る。そして根場地区のあれこれを窺い、西湖全体のポイントが描かれたコピー図を戴いて退店。
浜へ出た。
雨はあがったが、夜はなお明けない。
薄暗いなか、西湖にきた実感を味わっていると、ご主人が舟の用意を始めた。その隣で常連さんと思われる方にポイントを訊くと親切に教えてくれた。
「ユース下」は午前中、逆光で浮子が見え難いらしい。そしてわたしが密かに狙っている「エゴ」は、今日は逆風とのこと。
そうなると、「沖ブナイ」ということになるが、こちらは一番人気だけに混雑が予想される。
さて、どうするか。
自問自答した結論は、ユース下に入ること。
今日は大曇天。懸念される逆光への心配はなさそうだ。
そう決めて出舟までの時間を過ごしていると、意外なことに、ごった返すとか思われた釣り客の数が少ない。
これは雨の影響だろうか。
浜に居る釣り客を数えると、一、二、三、四、五…。
どうやら一桁のようだ。
この状況が、わたしを誘惑した。
これなら人気のポイントに入れる。
決めた!。
思い切って、沖ブナイへ行こう。

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夜明け前の浜。

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西湖の朝焼け。
根場地区から喉っ首を望む。

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本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、十八尺。

 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻本日の予定。
・目標 /二十枚。
・釣り方/チョーチン、両団子。
・釣り竿/普天元独歩、十八尺。
・浮子 /忠相ムクトップ十四号。
・釣り糸/1号。
・鉤素 /0.4号、450粍+600粍。
・釣り針/アスカ7号。
・持参餌/凄麩、天々、PDH、バラケマッハ、SD。
 ※PDH、パウダーベイトヘラ。SD、スーパー団子。
・納竿 /15時。

六時。
西湖。
沖ブナイ、三番ブイ。
待望の西湖。
しかも、幸運なことに、沖ブナイに舟を結ぶことができた。
残念なことに今は曇っているが、浜から舟を漕いでくる時に拝んだ朝焼けは美しかった。西湖を実感するに充分なシチュエーションだった。
そして、もじりが凄い。
あちらこちらで魚が活発に跳ねている。なかには水面から垂直に飛び出している元気な魚までもいる。
そんな絶好の雰囲気のなか、先鋒の十八尺の用意を整えると、最初の団子を投げ入れた。
一、二、三、…。餌を打った回数を数えていると、六投目で浮子に明確な反応があった。さらに、その動きは勢いを増してくる。
そして、もじりも浮子の周りで見られるようになってきた。
これは凄い。興奮ぜずにはいられない。
いくらなんでも、これなら釣れるだろう。
そう思っていると、開始十五分。
沖ブナイのなかで大トリになってしまったが、わたしも玉網を濡らすことができた。
釣れた魚は壱尺壱寸強。キューッンと糸鳴りをさせながら、随分と抵抗してくれた力持ちだった。

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本日の第一号。

十時半。
本日ただ今の釣果、九枚。
西湖の釣りは面白い。 そして、ぞくぞくするほど楽しい。
しかし釣果の方はと言えば、その楽しさが気負いとなったのか、
大したことはない。開始四時間半で九枚というのは、いつもの釣りと比べてはよいペースであるが、八時の段階で六枚がカウントされていたことを考えると、段々と釣れなくなっている。
釣れた時の決まり手は、浮子が立ち上がってからの、消し込み。
わたしとしては、トップが沈下する間の鋭いツンっで釣りたいのだが、それでは釣れない。ことごとく空振りの憂き目に遭う。
これを解消するには、餌を合わせる必要があるのだろうが、これができないのが、わたしの釣り。
わたしなりに手を替え品を替え、なんとか魚を懐柔すべく取り組んでいるが、どうにもならない。そこで、なにか妙薬はないものかと悩んでいたら、角麩があるのを思いだした。
この角麩。
大漁を企んで持参したのではない。午後から吹くであろう強風対策として餌箱の隅に入れてきたのだ。
角麩という妙薬が頭の隅にチラつきだした。
しかし、折角の西湖。風が静かなうちは団子で釣りたい。
頭のなかの上皿天秤が団子と角麩で行ったり来たりしていると、女将さんが登場。弁当の出前にきてくれた。
小休止して弁当箱を開けると中身は、カツ丼であった。
考えてみれば、今日の釣行に備えて昨日の夕方に讃岐うどんを食べてから何も食べてない。これでは腹の虫が鳴こうというもの。
早速、食べてみると、とても美味しかった。
ちょっと甘めの出汁が沁み渡り、胃が大いに喜んだ。
女将さん。ごちそうさまでした。
食事を終えて一息ついていると、電話が鳴った。
手に取ってスマートフォンの液晶をみると電話の主は、サンスイ釣具店の武重店長であった。開口一番、
「今、沖ブナイで釣りをしています」
あたかも歌舞伎座にいます、とでも誇らしげに言うと、
「おぉ!いいですねぇ。オカメがいいらしいですよ…」
こちらが窺う前に助言をくれた。
武重さんは大べら用の玉網の完成を連絡してきてくれたのだが、このひとことで、頭のなかの上皿天秤が、ガクンっと傾いた。

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本日の入釣場所を対岸から見た、近景図。
帰路に撮った。

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同上、遠景図。

正午。
数年ぶりの角麩で再開。
再開にこぎつけたはよいが、バラケ用の大きな釣り針と加重用の餌を忘れてきたから、何か中途半端だ。
しかし、魚は釣れた。
結論からいうと十三時までの一時間で、九枚の魚を玉網で掬うことができた。しかし、そのうち三枚はスレであったから、追釣できたのは六枚ということになる。これだけ釣れると嬉しくもあるが、反面、朝の釣りは一体何だったかということにもなる。
釣れても釣れなくても文句の多い、わたしであった。

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次峰は二一尺。

十三時半。
やはり団子がよい。
今度は長い竿を出して再開。
餌の打ち始めはさっぱりであったが、一時間を過ぎた辺りから浮子が覚醒でもしたかのように、鋭く、そして大きく動き始めた。
餌も鉤素も替えたわけではない。
それがどういうわけか、釣れ始めた。
その答えが解けると今後の釣りの手掛かりにもなろうが、それを考えるに、わたしの知能は低すぎる。
この際、なんでもいいやと、
長い竿を天にかざして、深い棚から大きな魚を引き揚げる。
嗚呼、この快感。
釣れ始めてからの一時間で七枚もの魚を釣ることができた。
もうこれが嬉しくてたまらない。
想像もしていなかった快感に酔いしれて、一件落着。
念願だった、西湖の釣りを終える。

お仕舞い。

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帰りがけに顔を出した、文化遺産。

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お世話になった、西湖レストハウスさん。
とても親切にしてもらえた。

☻本日の釣況。
・06:00~11:50、18尺 チョーチン、両団子/9枚、
・12:00~13:00、18尺 チョーチン、角麩/6枚、
・13:30~15:30、21尺 チョーチン、両団子/7枚、

☻2015年データ。
・釣行回数/15回
・累計釣果/81枚。


2015年08月30日(日) 。
吉右衛門。



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