吉右衛門へら鮒釣り2015

  ◎第十八回釣行
9月14日(月)。

西湖。
供養塔。
西湖レストハウス。
天候/曇り日、弱風。
気温/21度、水温/不明、水色/エメラルド、水位/満水。 

「さんたび、西湖へ」の巻。

西湖に魅せられた、わたしがいる。
なぜゆえ、こうも熱にうかされてしまったのか。
ことの起こりは、今春、首都高速中央環状線の山手トンネル開通の記事を目にしたことに始まる。これにより、果てしなく遠くに感じられていた西湖が、ぐっと近くに思えてきた。
わたしが西湖で竿を出したのは初めてではない。
昔の釣りでも数回(おそらく四回だったと思う)出したことがあって、その懐かしさもあった。そしてなによりも、西湖で竿を出すことは釣りを再開させた時からの、夢でもあったのだ。
先月の半ば、その夢を実現させると、西湖のおもしろさは想像を超えたものだった。そしてその強烈とも云える魅力に惹かれ、一度限りのつもりが二度になり、九月の半ばとなった今日、三度目の遠征をするに到った。
実はわたし。
今日から数日間は、入院の予定だった。
春の人間ドッグで指摘をうけた箇所が、再検査で異常とわかり、あす施術を受けることになっていた。
それが三日前。アクシデントが起きた。
わたしのように複数の臓器で治療を受けている患者には面倒が生じる。今回の場合もそう。問題の箇所は消化器だが、こちらを施術するには、循環器で服用している一部の薬を休薬する必要が出てくる。
この休薬の開始時期に誤りがあった。
病院はしきりに恐縮してくれたが、わたしに云わせれば、どう考えも非はわたしの方にある。なにしろ医学に対する知識が酷薄すぎて、何を質問してよいかもわからず、生半可な返事ばかりを繰り返してばかりいたからだ。これでは判断も誤ろうというもの。
そこで折角組んでいた予定が、三日後にずれてしまった。
しかしわたしは、この予期せぬ事態に喜んだ。
不謹慎と思われなくもないが、突如、生まれた空白の一日を利用しない手はないと思った。
直ぐに、三度目の西湖が頭に浮かんだ。
そして嬉々としながら西湖レストハウスのホームページを開いて出舟時間を確認すると、渋谷のサンスイ川釣り館へと急いだ。

五時。
西湖、根場地区。
西湖レストハウス。
浜へ出てみると、浜が狭い。浜が狭くなっている。
これは茨城県、宮城県に大きな災害をもたらした颱風十八号の影響によるものだろう。その狭くなった浜は出漁を待ち侘びている釣り客でごった返している。並んだ車輛を見ると同じ地区のナンバーが多いことから、どうやら月例会が行われるらしい。
そんななか、出舟までの時間をぼんやりと過ごしていると、あちらこちらから、「沖ブナイ」や「エゴ」やらの名称が聴こえてきた。どうやら入釣場所を語り合っているようだ。
まずいことになった…。
今回こそは、「エゴ」で竿を出すつもりでやってきたのにだ。
この様子だとエゴは例会組で売り切れそうだ…。
そうなると沖ブナイということになるが、あそこは一番人気であるし、過去二度もそうであったから他のポイントの方がよい。
そう考えると消去法で残るのは、「ユース下」となるが、ここで突然、或ることを思い出した。
それは前回の白岡の名人との釣りで、1番ブイから東側に張っているロープへ移動した釣り客がいたことをだ。
あのポイントは、「供養塔」なる名称ではなかったか…。
あまり釣果表にも載らないポイントだから、案外、穴場になっているのかもしれない。
さて、どうする。
「ユース下」と「供養塔」。
丁か半かで悩んでいると、ふたたび、或る出来ごとがわたしを誘った。ご主人が曳き舟の用意を始め、希望者を募り始めたのだ。
未だかつて曳き舟の経験がないわたしは、供養塔というより、曳き舟の経験をしたさに、吸い寄せられるように応募した。
供養塔組は、エゴ組に後方に舳先を結ぶよう説明をうけた。
そして最後尾に舳先を結んでもらい出発を待っていると、
ゴォオーッン!、とエンジン音が鳴り響き、出航。
モーターボートの後ろに、幾人もの釣り客が繋がる光景。
これは強烈だった。
いかにも、出漁!、という感じがして、気分が高揚せずにはいられなかった。

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曳舟の光景。
先頭がカーブする瞬間を捉えたが、わたしの緑色の鞄が邪魔だ。
次回は、もっと上手く撮る。

五時五十分。
西湖。
供養塔。
エゴ組から離れて供養塔へ向かったのは、ふたり。
思惑通り、混雑を回避することができた。
現場に到着するや、もうひとりの方が中央付近に陣取ったので、わたしは岸を背中に右端の揺れ留めロープに舳先を結んだ。
舟が落ちつき道具を並べ始めると、気になりだしたことがある。
本日、呉越同舟させてもらう方に、どうも見覚えがある。
曳き舟では舳先を結んでくれ、右も左もわからぬわたしの世話を焼いてくれた、お隣の方だ。
はて、誰であったか…。
最近、急速にボケ始めた頭の中を探してみると、それらしき方が浮かんできた。
そうだ!、そうだった。
この方は、前述した沖ブナイから移動した方ではないか…。
あの日は確か、移動後に沢山釣って竿頭にもなったと思ったが。
早速、その話を向けてみると、ズバリ的中!。
矢張りそうであった。
そこで本来なら記事を進めるにあたり、恒例の「○○の名人」なる呼称をつけさせてもらうのだが、不覚にもご本人から、この釣行記への出演許可を得るのを忘れてきた。
このようなどうでもよい釣行記に神経質を尖らすこともないとは思うが、わたしは商売柄、肖像権や版権やらのことには、殊更、気を遣うようになっている。
今回もおもしろい話や懐かしい話を、沢山聴かせてもらえたが、そんなわけで残念ながら、お隣、なる面白みのない表現でお茶を濁させてもらうことにした。

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本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、十八尺。

 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻本日の予定。
・目 標/二十枚。
・釣り方/チョーチン両団子。
・竿  /普天元独歩18尺。
・浮 子/忠相ムクトップ14号。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.6号、450粍+600粍。
・釣り針/バラサ9号+サソリ8号。
・持参餌/天々、ガッテン、グルバラ、S団子。
 ※S団、スーパー団子。
・納 竿/15時半。

七時。
釣行三度目にして、初めて正面の景色が変わった。
視線を竿掛けに沿って辿っていくと、浜からユース下が見える。
景色は新鮮だが、相も変わらぬグズついた天気だ。約束事でもあるかのように、時折小雨が降ってくる。そう云えば三度も釣行を重ねたが、ほとんど青空は見れていないのではないか。
しかし、そんな天気のことよりも、準備を終えてふつふつを沸き上がってくる感情を思うと、遠路はるばる来てよかったと、しみじみ思う。
さて、釣り。
小糠雨のなか、最初の両団子を投げ入れた。
もじりの一切ない静かな湖面だが、これから先、どんな展開が待ち受けているのか。脳裏に浮かぶ映像を眺めてみても大漁に浮かれるおのれの姿はないが、始めて遭遇するような事態に衝撃を受けたり、躍動したりする自分がいる。
そんな空想に耽っていると、パシャっと音がして、お隣が玉を動かした。それに誘われ視線を左に移すと、その向こうの方には、釣り台に乗って陸釣りに興じているへら師がいる。
ここは陸釣りができるのだ…。
背後はてっきり樹海の一部と思っていただけに驚いた。
そして更に遠くの方には沖ブナイも見えるが、こちらは相も変わらぬ混雑ぶりだ。
この沖ブナイについては思うことがある。
この名前の由来は、いったい何処からきているのか。
ほかにも、「モウトドの鼻」やら「クワルビ」のように、西湖にしかみられないような珍妙な名前もある。これらは果たして、大和民族が命名したのだろうか。いつか調べてみたいと思う。
そんなことを思考していると、わたしの傍にも魚が集ってきて釣れ始めた。そして結構なペースでカウンターが進みだした。

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本日の第一号。
珍妙な名前の沖ブナイを背景に。

十一時。
沖に女将さんが見える。
逆風を物ともせずに舟を漕いでいる。
シロウトのわたしが云うのもおこがましいが、とても理に適った美しいフォームだ。女将さんが競技経験者でもなければ、日々の寒風酷暑が身につけさせたのだろう。
その女将さんがエゴを経由して、わたしの所にもやってきた。
「ここに居たのですか…」。
そう云って、こぼれるような素敵な笑顔で弁当を渡してくれた。
釣行三度目にして、わたしの事を認識してくれたのかと思うと、市民権でも得られたような気がして、嬉しかった。
女将さんが競技の経験者であるか否かまでは訊かなかったが、日によっては喉ッ首を越えて、遠く高松の方まで足を伸ばすこともあるそうだ。なるほど、納得ができた。

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本日の入釣場所を対岸から撮った、近景図。
帰路に対岸から撮った。

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同上、遠景図。

正午。
本日ただ今の釣果、十枚。
この釣果は女将さんが登場する前に釣上げたものだから、昼食の前に初めて二桁釣果を達成できたことになる。
ここで再開するにあたって、竿を替えた。
竿を替えたことに、意味はない。
釣れなくなったわけでも、もっと釣りたくなったわけでもない。いろいろな竿を楽しみたかっただけだ。そうして、この竿でもそれなりに釣れたが、さらに、竿を替えてみた。
今度は十六尺。
またも同じ理由で替えてみたが、この竿でも、それになりの結果が出た。
そうこうしているうちに、納竿時間がやってきた。
竿を拭きながらカウンターを覗いてみると、「23」。
この数字は三度目の釣行にして、一番の釣果。そして今季最高の釣果でもある。
この数字で一番ともなれば、世間さまに笑われるだろうが、これがわたしの実力だから仕方がない。
それでも本人は、至って上機嫌。
今回の西湖もとても楽しく、一件落着と相成った。

お仕舞い。

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次峰、二一尺。

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三峰、十六尺。

☻本日の釣況。
・07:00~11:00、18尺 チョーチン、両団子/10枚、
・12:00~13:30、21尺 チョーチン、両団子/5枚、
・13:40~15:45、16尺 チョーチン、両団子/8枚、

☻2015年データ。
・釣行回数/18回
・累計釣果/124枚。

2015年09月30日(日) 。
吉右衛門。



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