吉右衛門へら鮒釣り2015

  ◎第壱回釣行
1月16日(水)。

戸面原ダム。
前宇藤木。
戸面原ボートセンター。
天候/曇天無風、酷寒。
水色/小濁り、水位/満水。 

「初釣り。今年はへら鮒釣りの四季を楽しみたい」の巻。

新しい年が始まり、わたしの生活に変化が起きた。
実はわたし。
今年から大幅に出勤日を減らされることになってしまった。
こうなったのは昨年十一月の決算で赤字を出したことにある。
赤字と云っても開業十五年で二度目のこと。それに金額も些少であることから、そう深刻になることもないが、問題は数字の多寡ではなく、その赤字が直近の三年に起きたということだ。
今回の原因は労務改善に真正面から取り組んだことに起因する。
ブラック企業のそしりを受けたくないこともだが、それ以上に働き易い環境を提供したかった。そこで一昨年の黒字幅が大きかったことから人員を拡充し、無理を強いてくる顧客から質の良い顧客への入替えを図ろうとした。しかし、そうは問屋が卸してくれない。わたしの育てた営業には、それだけの力はなかった。
わたしも五月からは現場に入り後を押したが、今一歩及ばず、失地挽回とは到らなかった。
敗戦を覚悟した十一月の初めのこと。
跡取り息子と今後の相談をして、可成り部分の移譲を決めた。
早い話、代替わりらしきものに着手したのだ。
それをスタッフに発表すると、思わぬ展開が待ち受けていた。
蜘蛛の子を散らすとまでは云わないが、人心が離れていってしまったのだ。おのれの人間修行の到らなさと思いつつも、人付き合いの儚さを思い知らされた。特にわたしの仕事の喜びである営業の同行を断られた時は、強烈なクロスカウンターでも喰らったかのような衝撃を受けた。
敗北感とともに、救い難い孤独感に苛まれた。
独立して僅か十五年の話であるが、わたしなりに艱難辛苦は味わってきた。その都度、体を張って会社を守ってきたつもりだ。
あれは一体なんだったのかとも思った。
そんなわけで年末から年始に掛けては、ずっと塞ぎ込んでいた。
しかし、わたしが勤め人であれば二年前に定年を迎え、今は慣れない環境で辛苦を味わっていたかと思う。それを考えると、今が観念時と言えなくもない。しかし、自分をどう取り繕った処で、
おちぶれた感を払拭することができない。
多難な年明けとなった。

前述したようなことで、今年はせいぜい、へら鮒釣りでも楽しもうかと思う。そこで数年ぶりに、年明け早々の出動を決めた。
過去の釣行記でも幾度となく書いてきたが、わたしは循環器に致命的な欠陥を抱えている。それだけに冬期、それも厳冬期の暮らしには制限がある。が、もうそんなことには構っていられない。
そこで昨日、百貨店に出向いて、防寒靴とやらを買ったきた。
懐厳しき折り、どうかなとも思ったが、これなくしては釣りに行けないのだから仕方がない。断腸の思いで、無けなしの金をはたいてきた。
鶏が朝を告げる前。
凍てつく指に息をかけ、自宅を出発。
穴川ICから突入して、館山自動車道をひたひたと南下する。
そして例によって、今年の釣りについて想う。
今年はへら鮒釣りの、四季を楽しもうかと思う。
予定釣行回数は月二回平均の二四回。
主戦場はもちろん、戸面原ダム。
今年も池主である相沢さんご夫妻の世話になりたい。
そして昨年同様、西湖の遠征に出向くし、亀山湖の大べら釣りにも挑む。さらに精進湖にも行ってみたいし、さらにさらに夢を語らせてもらえば、関八州に点在する幾多の釣り場も巡りたい。
なにせ時間がたっぷりとあるのだから、何処へだって、行きたい放題だ。
しかし現実を考えると、そうは問屋が卸してくれそうにない。
時間はあるが可哀想なくらい、銭がないのだ。
ついこの間まで西洋の寓話にでてくるキリギリスのような生活で過ごしてきたから、そのツケが廻ってきそうだ。
待っているのは、坂道を転げ落ちたかのような窮乏生活だ。
ここは一陽来復を待って、来年に期すしかない。
そんなことを想っていると富津中央ICを出て、夜明け前の、
戸面原連峰がみえてきた。

七時。
戸面原ダム。
ボートセンター事務所。
こちらに到着したのは、七時前。
年頭の挨拶をすませストーブで暖をとらせてもらっていると、事務所の電話が鳴った。奥さんに代わるように云われ出てみると、電話の主は、横浜の名人からだった。
そうだ、そうだった。
今日は名人が月例会でいらしているのだ。
名人は厳冬期の好ポイント、光生園下で竿を出しているご様子。
わたしが遅れてくるのをご存知で、わざわざ電話をくれたのだ。
そして、こちらにおいで、と光栄にも、お誘いを受けた。
誘ってもらえたことより幾年もお会いしてないのに、わたしを覚えていてくれたことが、とても嬉しい。
わたしが名人と知り合うことができたのは、2008年の暮れのこと。三島湖のともゑ釣り舟店さんの桟橋だった。放流の数日後に並ばせてもらったのが縁であった。
あの日の名人の釣技たるや凄かった。
遅れてきて尚かつ、早く帰ったにもかかわらず片手に愛犬を抱いて、その日の竿頭に輝いた。わたしはそれを横目で指を加えていたのを覚えている。そして愛犬を愛おしそうに抱いて階段を昇って行かれた後ろ姿も印象的だった。
さてどうするか…?
一瞬悩んでみたものの、躊躇いの方が大きい。
昨年最後の釣行記でも記したが、今年からは鎖国を解いて、いろいろな方と並ばせてもらうつもりだ。それだけに、これは願ったり叶ったりの話でもあるが、如何せん、操船に自信がない。
お言葉に甘えたはよいが、へたくそな操船でバシャバシャやりながら名人の浮子の上を舟で跨ごうものなら、大変な迷惑を掛けそうだ。月例会でなければ図々しくも同席させてもらうが、今回は納竿後に挨拶させてもらうことで丁重に、ご辞退申し上げた。

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本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、二一尺。


 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻本日の予定。
・目 標/型をみること。
・釣り方/チョーチングルテンセット。
・釣り竿/朱門峰神威、二一尺。
・浮 子/忠相パイプムクトップ、十五号。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.4号、100粍+600粍。
・釣り針/アスカ針 7号+5号。
・持参餌/バラケマッハ、ガッテン、天々、α21。
・納 竿/十四時半。

十時。
戸面原ダム。
前宇藤木。
寒気が膚を刺す。
今年は四季を楽しむ。そんな決意で桟橋をでてきたが、こう寒くてはどうにもならない。
事務所のストーブが恋しくて仕方がない。
釣り竿など、さっさとぶん投げて暖をとりたくなってきた。それに肝心の魚だって湖底で固まり、縮こまっているに相違ない。
開始一時間足らずで、早くもギブアップの様相をていしてきた。
しかし、わたしもニッポン男児と生まれたからには、こんなにも早く、おめおめと帰還するわけにはいかない。
徹底抗戦とは言わないまでも、せめて昼までは頑張ろう。
根性なしが決意も新たに浮子を眺めていると、?。
動く筈のない浮子が動いたかのように見えた。
これは錯覚か。はたまた、気の迷いか。
それを確かめるべく、餌を小さく丸め、しっかりと目を見開き凝視してみると、ツンっ!。
おぉーっと!。浮子が動いたではないか。
寒空を吹き飛ばすような動きに、勇気百倍。元気が出てきた。
今度は、釣るぞっ!。
餌をさらに小さく且つ丁寧に丸め、湖面に放り込む。
この胸の高鳴りは、なんだッ!。
固唾を呑んで、浮子が潜る姿を眺めていると又もや、ツンっ!。
しめたっ!。
こいつを、ビシっ!、と合わせると魚が、釣れた!。
釣れたのは今季一号となる、放流べら。
今年の初釣りは、オデコじゃない。
嬉しいっ!。

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今年第一号は八寸半級の、放流べら。
背景は、向田突端。

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本日の入釣場所を、対岸から見た図。

正午。
本日ただ今の釣果、十枚。
あれから、ぽつりぽつりと釣れてきた。
釣果を大きく伸ばせないのは、魚影の密度にある。
あまり多くの魚がいるわけではないから、魚信が遠のきがちだ。
しかし、本人は到って上機嫌。
釣れないと諦めていた魚が釣れて、ルンルン気分。
このあと二、三枚追釣して、横浜の名人との対面を待てばよい。
暢気な時を過ごしていると、昼を報せる鐘の音が聴こえてきた。そしてそれが何かの合図であったかのように、浮子が騒ぎだす。
最初は断続的だったものが、連続して動くようになってきた。
どうやら、大きな群れがやってきたようだ。
しかし今度の連中は、手強く、そして偏差値が高い。
わたしを嘲笑うかのように、空振りさせてくれる。何度振っても当たらない。わたしが野球選手だったら、とっくの昔に二軍行きを告げられている。
「悔しかったら、オレを釣ってみろッ!」
まるで挑発でもされているかのようだ。
「ようしッ、釣ったろうじゃねえかッ!」
ムキになって竿を振り廻すが、中学校時の偏差値が(43)のわたしには、適う相手ではない。
大群が襲ってきてからの釣果は、ゼロ。
これではダメだ。
やっと冷静さを取り戻し、鉤素を大幅に短縮してみた。
その長さは、壱尺と壱尺二分。
これでどうかと試してみると、この決断が吉を呼び、それまでの鬱憤を晴らすように釣れだした。
そして怒りの蓮荘(れんちゃん)は止まらない。
なんと釣りも釣ったり、四十分で十枚の釣果。
私生活では、やさぐれたわたしだが、こちらの方は大漁謡節と相成った。
そして、戦いすんで日が昏れて、
横浜の名人にお会いすべく道具を片付け、一件落着。
大満足の、初釣りとなった。
めでたしめでたし。

お仕舞い。

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名人が所属する、竿粋へら鮒会のみなさん。
戸面原ボートセンター、桟橋にて。

☻本日の釣況。
・09:00~13:45、21尺 チョーチン/20枚、

☻2016年データ。
・釣行回数/1回
・累計釣果/20枚。

2016年01月20日(土) 。
吉右衛門。



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