吉右衛門へら鮒釣り2015

  ◎第四回釣行
3月04日(金)。

戸面原ダム。
杉林。
戸面原ボートセンター。
天候/晴天、中風。
水色/澄み、水位/満水。 

「大きな思い違いで始まった釣りも、名人の助言で救われた」の巻。

今年の釣りのテーマは、「へら鮒釣りの四季を楽しむこと」。
そのため、数年ぶりに一月から始動し、毎月二度の釣行をおのれに課していた。しかしそれも、未だ二月だと云うのにあっさりと崩れてしまった。
なぜ、予定通りに事を運べなかったのか。
原因は天候にある。
日頃の所作の報いだろう。
わたしが予定を組むと、それを見透かしたかのように、天の神は風が吹かす。前回も散々だったが、あれはあまりの悪天候続きに堪えきれず、風を承知の強行だった。結果、あんこうさんに会えたからよかったものの、それがなければ惨憺たる一日だった。
それゆえ、天気予報(Yahoo!提供)には敏感になる。
降雨は無論のこと、風速も4m以上あれば、その時点で取りやめる。
こんなことを書いていると、おまえは贅沢だッ!、と云われそうだが、これはこれで寂しいものもある。
わたしのように職場からあまり必要とされなくなると、決められた数日以外は好きなだけ休める。休み放題だ。
そこで上述の悠長な対応になるのだが、釣りをやめれば、その日はすることがない。昨年までは仕事に出掛けていたが、今年からは家で膝を抱えて寝転んでいるだけだ。
やはり身の処し方は難しかった。
そこで先月辺りから、へら鮒釣り、野球観戦、写真撮影に続く、第四の趣味と云えるものを復活させた。
その趣味とは、「営業」だ。
営業を趣味と云っては取引先に叱られそうだが、営業前夜のワクワク感と云ったらない。見知らぬ顧客を仮想して幾度もシュミレーションを繰り返す。そして、三通りくらいのパターンを作って臨むのだが、仕事を確保できた時の喜びは、何物にも代え難い。「御社に決めましたッ!」と云われようものなら、それこそ、天にも昇る。
それに比して釣行前夜は多少のワクワク感こそあれ、シュミレーションに及んだことは、いまだ嘗てない。
へら鮒釣りもこのくらいの熱意があれば、ずいぶんと結果も変わろうが、こちらは相も変わらぬ、低迷ぶり。
今季も三度の釣行で、すでにオデコが二回。
日暮れて途遠しである。

七時。
待ちに待った、今季四度目の釣りの朝を迎えた。
今朝は春を思わせるような暖かさ。
この日がくるまでに、三度も延期した甲斐があった。
そんな好天のなか、戸面原ボートセンターに着いた。
駐車場の停まる車の数は、おおよそ二十台。
池主の相沢さんに挨拶を済ませ、今朝の状況を尋ねると、過半の釣り人は春を思わせる陽気に誘われてか、宇藤木橋を越えて上流に向かったそうだ。その結果、豊漁が見込める、杉林から前宇藤木に掛けては空いているらしい。
今朝のわたしは二回連続のオデコ明け。
それなら出来もしない底釣りに挑むより、無理をせず、その辺りに舟を結んで宙釣りで遊ばせてもらおう。

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本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、二一尺。


 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻本日の予定。
・目 標/二十枚。
・釣り方/提灯(バラケ+グルテン)。
・釣り竿/朱門峰神威、二一尺。
・浮 子/忠相パイプムクトップ、十五号。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.4号、300粍+600粍。
・釣り針/アスカ針 7号+4号。
・持参餌/段差バラケ、バラケマッハ、天々、α21。
・納 竿/十五時。

八時。
戸面原ダム。
杉林。
前宇藤木の方までパトロールをしてきて、杉林に決めた。
その周辺にいた釣り人は、ひとり。
宇藤木橋の袂で竿を振っていた。
前宇藤木と杉林。
どちらが釣れるかとなると、軍配は前宇藤木に上がると思う。
しかし敢えて杉林を選んだのは、前宇藤木は初釣りで竿を出した
ばかりで新鮮味がない。さらに、杉林の方がお天道様の恩恵をたくさん受けられる。それが決め手となったのだが、杉林とて昨年の竿納めで竿を出した所。新鮮味を云うのであれば、さして変わりはない。
さて、杉林。
今朝の杉林には、なにやら匂いがする。
春の陽気に誘われてか、甘いものが香ってくる。
これはハニーの香りだ。
もしや、一投目から釣れるのではないか…。
そんな甘い夢に誘われて、最初の餌からグルテンを付けてみた。
期待を込めて見守る、わたし。
これから起こるであろうことを想うと、胸がざわつきだす。
息をひそめて待つこと、一秒、二秒、三秒……、
おおよそ七秒が経ち、グルテンが浮子の真下に辿り着いた。
しかし残念なことに、期待したことは起こらない。
二投目はどうだ。再び息をひそめる、わたし。
またも、起こらなかった。
そして三頭目も、同じだった。
これは、おかしい。
首を捻りながら続けてみたが、なにも起こらない。
それによく考えてみれば、もじりもなければ、泡も湧いてない。もしや…。

九時半。
なんと云うことはない。一時間半を経過しても、なにも起こらない。いつもと同じ釣りだった。
絶好のコンディションと勝手に思い込み、一人芝居を演じた、おのれが恥ずかしい。穴があったら入りたい。
すっかりと、甘い幻想から醒めた。
そして冷静さを取り戻すと、気がついたことがある。
暖かくなったのは今朝からのことで、昨日までは寒気に震えていたから、いきなり水温が上昇するとは思えない。そう考えると、今、わたしが振っている二一尺では短いのかもしれない。
今朝、事務所で見てきた釣果表に記された竿が、二四尺だったことも思い出した。
このままでは浮子が動くにしても、時間がかかりそうだ。
例によってぐずぐずと悩みだすと、もう一人の自分が、二五尺を出せ、と、囁きかける、
二五尺。
この竿を出すことの優位性はわかるが、振込みの難儀を思うと躊躇うものがある。前回も風に煽られ往生させられた。
しかし、そうも云っていれないだろう…。
よしッ!、二五尺を出して勝負にでよう。
そう決断した時だった。にくいタイミングで浮子が動いた。
二五尺の竿袋に掛かっていた手が、はたと止まった。
これは助かった。
釣れると決まったわけではないが、可能性だけは見えてきた。
それに浮子の動くのが、もう数分遅ければ、今、竿掛けにのっている竿は二五尺の筈だった。
しかし安堵はしたが、うまくはいかない。
浮子の動きに翻弄され、空振りを続けていると、動きがどんどんと活発化して、トップのなじみ幅が少なくなってきた。
どうやら、魚を上づらせてしまったようだ。
こうなると、わたしの技術では収拾出来なくなる。
せめて二、三匹釣った後ならばよかったが、困ったものだ。
今にして思えば、餌が悪かったのだと思う。
初釣りで使ったバラケ餌ではなく、夏の短い竿での角麩の餌を使ってしまっていた。
どうしよう…。
今度は、十八尺が頭に浮かんできた。
途方にくれると、電話が鳴った。
時計を見ると、十時。
事務所からかもしれないが、くだらない電話だったら出るのはよそう。そう思って手に取った待ち受け画面は、(横浜の名人)となっていた。
そうだ、そうだった。
朝餌を打ち出す前、過日の電話の返礼に、「杉林にいます」と挨拶替わりのショートメールを打っておいたのだった。

十時。
横浜の名人が電話をくださった。
これはありがたいことだった。
挨拶もそこそこに、窮地に陥っていることを話すと、魚を上づらせないバラケの配合を教えてくれた。それは、わたしの想像を超えたものだった。そして運がよかった。わたしの餌箱には、名人伝授の餌がすべて揃っていた。
早速、餌を作りだしたが、気づいたことがある。
この配合には重量がある。
これをわたしの脆弱なムクトップが支えられるか、どうかだ。
一抹の不安は残ったが、とにもかくにも、再開にこぎつけた。
電話を頂戴してからのインターバルは、十五分。
魚が散っていなければよいが…。
新しいバラケ餌を遠慮しがちに丸めてみると、ちょこんと浮子が動いた。魚が残っていたことが確認できた。
そして、二投目。
今度は、ツンっ!、と動いて魚が釣れた。
よかった…。
ホッとする、わたし。
ありがとうございます。
名人には写真付きの御礼メールを送くって、謝意を表す。
これで一気に行くぞ!。
と意気込んでみたが、そうはいかないのが、わたしの釣り。
またも、釣れなくなった。

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本日の第一号。
背景は杉林の奥。

十一時。
悪いことに花粉が舞いだした。
実はわたし。
筋金入りの、花粉症。
かれこれ三五年にもなろうか。まだ花粉症なる症状が認知されていない頃からの患いだ。その経験則からして、この後、頭痛が襲ってくる筈だ。
しかも、何の因果か、選りに選って、杉林に入っている。
ここに舟を結んだ時は露とも思わなかった事態に陥った。
それに名人から教わった餌もなくなった。
魚も釣れたことだし、やめにするか。
消化不良と云えなくもないが、これからの悲惨を思うと潮時といえなくもない。
残りのグルテンを打ち切ったら、やめにしよう。
そう決めて、上下の針にグルテンを付けて投げ込むと、なぜか、二枚目が釣れた。
そして暴風ラッシュに突入して、最後は両個(りゃんこ)締め。
瓢箪から駒の両グルテンだった。
そしてカウンターの数字も、十枚へと伸びた。

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久方ぶりの、両個。

十四時。
本日ただ今の釣果、十五枚。
結局、やめずに続けている。
しかし、体調は最悪。
筋金入りの花粉症が、スギ花粉の舞う、杉林で釣りをしているのだがら当たり前だ。
正午の時点で十枚に伸びた釣果も、尻切れトンボで追釣出来たのは五枚だけ。可成りの失速気味だ。それでも、できることなら目標の二十枚を達成したい。昼前の暴風ラッシュを再現できれば一気に方を付けられるが、このような態たらくでは苦しい。とてもおぼつかない、遠い道のりだ。
それでも、ここまで頑張ったのだから、何とかやり遂げよう。
タカが魚釣りの目標などと言うなかれ。いまのわたしには事務所の売上達成よりずっと価値あることなのだ。
そんな思いで続けていると、ぼつりぼつりと三枚が釣れた。
そして残り時間の十五分前。つんつんッと浮子が二度も動いて魚が掛かった。
これが両個であれば、大願成就!。
都合のよい願望を抱いて水面を見やるが、そうは問屋が卸してくれない。釣れてきたのは小僧が、一枚。
残された時間は、十分。
最後の力を振り絞りたいが、餌が枯渇した。
そこで、餌ボールの辺にあるものを丸めて針に付ける。
さあ、喰ってくれッ!
湖面に向かい、魚に頼んでみるも、
こんなもの食えるかッ! ニベもなく断られた。
そして、十五時。
セットしておいたiPhoneが終了の合図を鳴らして、万事窮す。
餌も時間も無くなった。
ため息をつきながら道具を仕舞いだすと、或ることが脳裏を過った。
そうだそうだった。今日は三月四日。
今月から遊戯時間が変わったのではないか。
もしも延長されていれば継続できる。可能性が蘇る。
早速問合せると奥さんが、鈴を転がすような声で、こう答えた、
「今月から、十六時です!」、と。
矢張り、そうだった。帰舟が十六時延びていた。
しかし、撤収時間を考えると、三十分程度しかない。
電話を切るや否や、急ぎグルテンを作る。
そして出来きらぬうち、フライング気味に再開。
するとしてやったり、三投目で仕留めることができた。
よかった、よかった。目標を達成することができた。
花粉に悩ませながらも、頑張った甲斐があった。
そんな自分を珍しく褒めて、一件落着。
いろいろとあった、釣りを終える。
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本日の第二十号。

戦いすんで日が昏れて。
大きな思い違いで始まった釣りも、横浜の名人の助言で釣ることができ、目標も達成することができた。
それにしても気温がちょっと上がっただけで、浮かれてはいけない。よい教訓になった。
次回の釣りは、昔、お世話になった宮沢湖へ別れを告げに行きたい。

お仕舞い。

☻本日の釣況。
・08:00~15:10、21尺 チョーチン/20枚、

☻2016年データ。
・釣行回数/4回
・累計釣果/40枚。

※お断り。
この釣行記はAppleの端末、iPadに合わせて編集しています。


2016年03月13日(日) 。
吉右衛門。



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