吉右衛門へら鮒釣り2015

  ◎第十三回釣行
5月23日(月)。

戸面原ダム。
落合。
戸面原ボートセンター。
天候/快晴(真夏日)、無風。
水色/澄み、水位/満水。 

「落合三連戦二戦目。新緑に萌えたグラデーションがやけに美しく見えた」の巻。

朝が白むのが、はやくなってきた。
それはそうだろう。もうひと月もすれば夏至だ。
ついこの間まで気温の上昇を待ち望んでいただけに、この季節が来たのが嬉しくて仕方がない。
それにしても、今年の天気はよろしくない。
雨が多いし容赦なく風も吹く。
わたしの主戦場である戸面原ダムも、その雨量のせいで、名物の立木の釣りが未だできずにいる。
そんななか、本日は無風で真夏日の予報。
前回に続いて落合に入釣するつもりだが、へら鮒につれなくされても、新緑に萌える景色だけは楽しんでこようと思う。

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本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、九尺。


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さらにアングルを変えて、もう一枚。


 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
(Yahoo!地図より)。

☻本日の予定。
・目 標/二十枚。
・釣り方/チョーチン(両団子)。
・釣り竿/特作伊吹、九尺。
・浮 子/杉山、1番。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.4号、450粍+600粍。
・釣り針/アスカ針 7号+7号。
・納 竿/十五時。

六時半。
戸面原ダム。
落合。
ふたたび落合で両の釣り針に団子餌を付けての釣りに臨む。
まったく性懲りもないと思う。
前回はおのれの考案した餌を試したが、見事失敗に終わった。
お浚いすると、目標の二十枚に対して結果は六枚。
達成率三十%の態たらく。
これが営業マンの成績であれば、間違えなく配置換えの憂き目に遭う。そこで今回はそうならないよう麩餌での巻き返しを図りたいが、ほかに秘策がないだけに、同じ結果が待ち受けているような気がしないでもない。
そんなわたしだが、夢だけはもっている。
その夢とは、餌を合わせる、ことにある。
餌を打ち始めへら鮒が寄ってくると、浮子が動き出す。
そこでその餌に手を加ると、空ツンが出るようになる。
サンスイ釣具店の武重店長が云うところの、接近戦の始まりだ。
ここで餌を合わせてフュニッシュといきたいところだが、これがどうにも難しい。改善をすべく餌に微調整を加えても、それが改悪となって現れる。
餌を合わせること。
これが何とも高い壁となって立ち阻だかる。
この壁を突破すべく、これまで御座成りにしてきた基餌を作るところからやってみようと思う。
基餌に用意したのは麩餌の二種。
これに水分を多めに入れ、粗い麩餌を混入して仕上げにかかるのだが、作り方の手順としてこんなものでよいのだろうか。今まで御座なりにしてきただけに迷うところである。

さて、釣りを始める。
餌を打ち始めて三十分も経過したであろうか。浮子の挙動に変化が現れた。そしてさらに三十分を経て、本日の第一号が釣れた。この釣果に今回こそはと色めきたったが、それはぬか喜びでしかなかった。
ここからは前回のVTRでも見ているかのよう。
またもや、頻発する消し込みに悩まされだした。
これはスレ魚信かと思う。
前ぶれがないし、突如として浮子が消える。
そもそも、一瞬で、鉤素が切れるのが何よりも証拠だ。
これは前回にもよくあった現象で、さらに前々回の前宇藤木でもよく切られていた。

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本日の第一号。
背景は桟橋。

十時。
餌の大消耗が続く。
あまりにも、はずれの消し込みが頻発するので、基餌の一部をグルテンを含有しているものに替えてみた。
しかし、効果は上がらない。
ずいぶんと昔の話なるが、わたしは羽田の名人の横に並ばせてもらったことがある。場所は三島湖の三ツ沢。季節は晩夏。たしか六、七年前の頃だったと思う。釣果は二十枚前後。対して名人は七尺の竿で束近く釣られたと記憶している。
最初は同じようなペースだった。
名人は当初、餌が合わない、とボヤいていた。が、餌を合わせてからは凄かった。呆れ返るほどに釣り続けた。それを間近で見ていたわたしは、とても自分にはできない他人ごとと思っていた。それを今更ながらやっているのだが、コツめいたものはぼんやりと見えてきたが、展望はというと何も見えてない。

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本日の入釣場所を対岸から見た図。


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本日の入釣場所を側面から見た図。
前回とは逆の川又側から撮った。

正午。
本日ただ今の釣果、二枚。
麩餌で巻き返すつもりも、返り討ちにあってしまった。
一生懸命やっても報われない。
餌の合わせ範囲が狭いので、そこに合わすことができずにいる。まるで出口の見えない迷路でのたうちまわっているかのようだ。
それにせっかく美しい自然に囲まれていても、それを眺める余裕すらもない。こんなことはダメだろう。
さりとて、わたしの両団子の釣りでは埒が明かないことは充分に証明された。この厳しい現実を考えれば、いつまでも突っ張っていないで、他の釣り方への転換を図るべきかもしれない。
両団子の釣りが好きだ。
この釣りが、へら鮒釣りの王道、とすら思っている。
しかしいつまでも、できないことに拘っていても仕方がない。
ここは一番、下の釣り針のメニューを替えて、へら鮒を懐柔するしかない。
餌箱に饂飩玉があったのを思い出した。が、あれは三月の三名湖で買ったものだし、とっくに正味期限が切れているはず。
となると、もう一品、精進湖で買ったグルテンがあるが、こちらは常備の品が欠品していて、やむなく購入したもの。それゆえ、過去に使ったことがない。製品名からして芋が含有されているようだが、それでもよいだろう。少なくとも、わたしが作る団子餌よりよっぽどましだ。いずれの餌にせよ、いささかの敗北感は否めないが、こればかりは仕方がない。

両団子を諦め、下の釣り針に芋の入ったグルテンをつけてみた。代わり映えがなけらば帰ろうかとも考えていると、数分後に待望の、ツンがあった。
これは本日初の、ツンであった。
両団子でどうしても演出できなかった魚信が出た。これにつれれて元気も出た。このツンは空振りだったが、次のツンでへら鮒が下の釣り針を咥えて釣れてきた。
やったッ!。ツンで釣れた。
嬉しくもあるが、まぐれではあるまいか…。この疑いが脳裏をよぎる。
しかし十分後にも、また釣れた。
こうなると、もうまぐれとは言わせない。
さらに、この魚を釣り上げた時に気がついたことがあった。
そうそう、グルテンで釣る時は鉤素の段差をつけるのだった。

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グルテンを咥えてきた、本日の第三号。
背景は川又。

十四時。
釣れている。
グルテンを投入したのが、十二時半。
あれから九十分の間に、七枚も釣った。
朝の釣果を合わせると、合計九枚。
目標の二十枚は到底無理だが、格好だけはついてきた。
これなら館山道を泣きながら帰ることもなさそうだ。
先ほど羽田の名人のことを記したが、反面、端から餌合わせを回避して臨むへら師の方とも幾度となく出会ってきた。どちらがどうかは個人のスタンスで周囲がとやかくいうことではない。
要は満足できたかどうかの問題かと思う。
その点でゆくと今日のわたしは満足度は急場を凌ぐいだ感は拭えないが、それなりだったような気がする。あのまま朝の釣りを継続しても追釣できたのは、一枚、釣れたがどうかだ。それに浮子が、ツンっ!と動いて釣れた時の快感は何事にも代えがたい。
これまでもけっして背伸びをしたいたわけではないが、この結果をもって、これからも両団子を頑張りつつも、柔軟に取り組んだ方が無難なようだ。
そんなことを総括していると、さらに二枚が追釣できて、
一件落着。撤収と相成る。
へら鮒が釣れたゆえか、新緑に萌えたグラデーションがやけに美しく見えた。

お仕舞い。

☻本日の釣果。
・へら鮒/11枚、

☻2016年データ。
・釣行回数/13回
・累計釣果/204枚。

※お断り。
この釣行記はiPad等の端末に合わせて編集しています。


2016年05月29日(日)。
吉右衛門。



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