水温9度 満水 薄濁り。
三島湖 豚小屋下 看板升。
三島湖 ともゑ釣舟店。
魚は釣れなくても、釣行すれば楽しい事も沢山有るのだから、それで満足しなくては駄目だ。の巻。
今、事務所で欠員補充の求人を行っている。
世相を反映してか、求職者の方が大勢来られて恐縮する事、この上無し。何せ、零細事務所だから労働条件だって、働く方の満足いく条件を提示出来ているわけではない。それなのに、この様に多くの方が殺到してくる現状に、この国の行く末は……などと考えてしまう。自分の様な小人が気を揉んでも詮無き事は百も承知だが、其処迄状況が逼迫しつつ有るような気がしてならない。
さて、今回の釣行先は三島湖ともゑ釣舟店。
当初は前回同様.豊英湖に行く予定でいたのだが、休みをとれたのがボートセンターの休業日である金曜日に成ってしまい、急遽、次回予定の三島湖と入れ換えた次第。
三島湖の最近の釣況は上昇カーブを描いている模様。今年は過去二回の釣果合計が八匹なので、期待は大きい。
今月から出舟が六時に繰り上がったので、午前四時半に自宅を出発。本来は今日一日の釣りの事を思い描く楽しい車中である筈なのだが、どうしても思考が仕事に流れてしまう。前述の求人の事だ。最近、どうも情が入る過ぎる様に成ってきた。書類の選考も履歴よりも応募背景やら動機に気がいくし、面接時も求職者の訴えを情が絡んで正面から受け止められなく成ってきた。もっと淡々と対処しなくは成らないのだが……。
車中で、この忸怩たる思いをブツブツ言っていたら、ともゑ釣舟店到着。
店内に入ると、若旦那から、コレを見ろ ! 。とでも言わんばかりに釣果表を見せられる。そこには好釣果がズラリと並んでいた。然し、入釣場所は例によって豚小屋の看板前に限られる模様。どうも毎度毎度の豚小屋下には抵抗を感じるのだが……。
道具を取りに駐車場へ戻ろうとすると、今回もオーナーと話をされている千葉の名人に出会えた。その他にも二人の方が食事をしていたから、どうも六時に桟橋に立つのは自分も含めて四名の様だ。
六時、リフトの積込みが遅れて出舟が最後に成ってしまった。現場に着くと、崩れのちょっと向うに名人、そして黒ブイを挟んで先ほどのお二人。
それでは、手前の升の竹側への着舟を試みたのだが、ガチャ目で距離感が測れない。止むなく、名人に25尺竿での可否を尋ねたら、「こっちへおいで」との事。遠慮をしていたら、「へら鮒は並んで釣った方が集まるから、おいでよ」なんて言ってもらえた。
ありがとうごさいます。
いやあ、なんだか教えてもらった。
自分も今度、こんな場面に出会したら、このように対応出来る様に心がけたい。
さて名人の事。立ち寄る雑貨屋さんが同じで随分と前から、お声をかけてもらっている。いつもはグループで来釣されているのだが、この日はお一人。そして傍で釣りをさせてもらうのも無論.今回が初めて。少し御伺いしたら、蘇我の方から来ておられるらしい。それではと、呼称も千葉の名人から蘇我の名人に、只今をもって改めたい。
六時五十分。
蘇我の名人のお心遣いに、心に灯火が灯って、暖かい気持ちで準備完了。
空かさず、第一投目を投入。
・目標釣果/今回こそ三〇枚、最低でも二桁を確保。
・竿、仕掛/25尺、鉤素.100粍+750粍。
・納竿予定/大凡15:00。
但し、花粉が飛来したら撤収。
珍しく三投目から魚信が出てきた。こんなのって何時以来だ。久方ぶりに味わう朝の魚信を楽しんでいたら、名人が釣上げた。そして七時十分、おこぼれをもらい、自分も一枚目。そして間髪を入れず二枚目。三十枚に向けて好発進。
……ココで鉤素が気に成りだした。この様に魚にヤル気が有る時に750粍は長過ぎやしないか ? 。この悩みも三枚目を釣った時に鉤素がクチャクチャに成ったので、600粍に交換して解消。
然し、この交換が凶と出たのか、段々浮子が動かなく成ってきた。そして世間様の竿も曲がらなく成ってきて、ちょっと不吉な予感がしてきたが、一時間の間を空けて四枚目。
九時。
まったく暇に成ってきた。浮子が動かないので、後続の漁師も勢揃いした様だし、この日の様子を書き出してみる。
例によって上流から紹介すると、桟橋前の升から三番目の升迄各ひとり。そして看板升は、崩れ前にオレ、お隣が名人、そして上流から登場した髭の濃い人、最後に黒ブイ付近に二人連れの方で合計八名だ。
いつもの慣れ親しんだ光景なので、今回写真は無し。
さて、魚釣りに戻すと、事態は悪化の一途を辿ってきた。
十時。
二人連れの方達が業を煮やしたのか離脱。
今日も耐え難きを耐える釣りに成るのか。嫌だなー。
現在迄.釣った魚は四枚だから、今日も貧果に成る事は必定。十枚を目指すのがやっとになるのだと思う。
それでも鉤素を替え、餌を替え、やれる限りの事を施行していると、適当に釣れて、十一時半のチャイム迄に三枚を追加出来た。ココから納竿予定の十五時迄は三時間強有るから何とか二桁達成が視界に入ってきたと思ったが、ココで思わぬトラブル。道糸が浮子止め付近でコンガラガってしまった。何たる事だ、と思っても仕方がない。気を鎮め、序でに、昨年末に壊した22尺の仕掛けも舟上で作り直す。
十二時五〇分。
竿は修復した22尺を選択して再開。
名人に「何枚釣ったの ? 」と聞かれたので
「七枚です。今日は石にかじりついても十枚釣ります 」と答えると「オレが今.十三枚だから、三枚あげる」だって……。
……矢張りそうか、いつもの事だが上級者と並ぶと概ねダブルスコアに成る。ブツブツ言い乍ら再開してみると、流れが出ていた。そして舟も揺れだして不安が募ったが、時々.浮子が明確に動いて十枚目は十三時五五分に達成。
十四時。
名人にアクシデント。仕掛けが壊れた、との事で急に納竿されてしまった。お別れに今日の釣況を聞いてみると
「この時期に十六枚も釣れたからよかったんじゃないの。今年三回目にしてやっと二桁釣ったよ」
「それからね。オレがヤメたら釣れるよ。いつもみんなから、そう言われるんだ」だって……。
……朝も、オレみたいなのを隣に入れてくれて、更に上流から来た人も反対側に入れて、狭間の釣りに成っても愚痴を言うどころか、絶えず笑顔で話しかけてもらった。そして釣果についても、この達観したコメント……。
それに引き換え、ヘボの分際で、釣れた.釣れないと、のたうち廻っているオレはなんだ ! 。恥ずかしいぞ ! 。
閑話休題。
蘇我の名人に一日の御礼を言って続行していると、予言通り、二枚も釣れた。
魚も釣れたし、ともゑ組で最後に成ってしまうから、もうヤメよう。十四時半に納竿。
お隣の方に挨拶をして陸に上がる。
そして番頭さんに釣況を報告して一件落着。
姉崎袖ヶ浦経由で帰路に赴く。
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帰宅してからも、貧果で終った事にションボリしていると、女房に珍しく釣果を聞かれ、12匹と答えると、
「あら良かったじゃない、それだけ釣れれば。仕事に行くより楽しかったのでしょ」だって……。
ハイそうです。その通りでした。
お仕舞い。
25尺天々バラケ+グルテン
7枚(06:50〜11:50)
22尺天々バラケ+グルテン
5枚(12:50〜14:30)
合計 十二枚。
七寸〜尺一寸半。
次回は03月22日からの週のどこかで再度豊英湖。
2010年3月19日(金)
吉右衛門
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