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第八回釣行 2010年05月14日(金)
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これまでの釣行記(へら鮒釣り) 2009年〔三島湖〕

水温15度 減水1.6m 澄み。
三島湖 ポンプロープ。
ともゑ釣舟店。

浮子が波間に没した次の瞬間の糸鳴りは、強烈な快感だった。の巻。

不覚にも午前二時に目が覚めてしまった。
昨夜帰宅してから女房に
「明日、起きれたら仕事を休んで三島湖に行くから……」と伝えると、駄目だったら鎌ヶ谷のファイターズタウンに連れて行って欲しい、とせがまれてしまった。
夕べは、寝床に入ったのが二十三時だったので三時間しか寝ていない。このまま行くのは辛いから、頑張って二度寝を試みたのだが駄目。
仕方がないので、悶々と布団の中で今日と言う日の過ごし方を思案する。釣りに行くなら三島湖に行き、猫内橋より上流を旅する予定。野球の方は、いつも.せがんだりしないヤツが、行きたい、と言うのは余程の事だから出来れば連れて行ってやりたい。
三島湖と鎌ヶ谷、両者譲らずの攻防が頭の中で繰り広げられたが、決着がつき、ムクッと起き上がって身支度を始める。矢張り釣りが勝って、三島湖に行く事に決めた。
女房には後ろめたさを感じながらも、無言で家を出る。

定刻の午前四時.自宅を出発。
今回からの三島湖では、前述の様に川又から南東を水源とする川(名称は不詳)の、処女地(自分にとって)である五箇所を目的地にしようと思う。そして今回はロープの有る最上流の長倉台に向う予定。当初は別荘下から遡って行く事の方が景色に新鮮味が有って良いと判断したのだが、それだと上流に向う頃には湖が渇水期に成ってしまうので、やむなく上から下る事にした次第。
そんなワクワクする様な事を思い描いて、食料を調達すべく立寄った麓の雑貨屋さんで、思いもよらない情報を得る。明日.東レの大会が開催されるので多くの試釣者が既に向ったというのだ。そして.もう一つ、ハタと気づいた事が有る。それは今月から出舟が五時に繰り上がっていた事だ。
キチンと情報を仕入れてこないから、こういう事に成る。
のっけから暗雲が立ち籠めてきた。

出舟時間から遅れる事十五分、三島湖ともゑ釣舟店到着。
駐車場は結構な混雑ぶり。入店して若旦那に上流へ向う旨を話し長倉台について質疑をすると、ポイント図を見ながら教えてくれた。現在.好調で、揺れ止めロープの脇での底釣りが一番で、宙ならどこでも……と言う事。
然し、明日.石井さんで催されるスポニチ大会の試釣者が多いので、今からでは駄目なのではないか、と言われてしまった。
百聞は一見に如かず。
上流の釣舟店に斥候に出てみると、成る程の混雑ぶり。そして湖の方も川又一帯は売切れ状態だし、そこから覗ける赤い屋根の別荘の下も入釣者で埋まっている。この事を店に戻って若旦那に告げると、
「上流は型が小さいから、釣り的には大型が釣れる下流の方が面白いですよ」と言ってもらったが、
自分の技術では、大きな魚を釣りあげる自信は無い。

なんだか、酷い日に来ちゃったもんだ。
今日も、悲惨な一日に成るのではないか……。
ガッカリしながら荷を担いで、桟橋へと降りる階段をとぼとぼと下りて行く。気が乗らないから、桟橋で清掃をしていた番頭さんと雑談をしてから、やっと乗舟。
午前六時。
あてのない旅に出る。
取り敢えず、上流が混雑している事は身に滲みて判ったので下流へと向う。
豚小屋は十名。そこそこの混み具合だが、三ツ沢寄りなら入釣は可能。更に進んで咽っ首を過ぎると混雑を予想した三ツ沢には二名、そして島の対岸と云うか段々畑の向うに一名、更に更に進んで鳥小屋は二名。その先のポンプロープはガラ空き。
さて、どうしよう。ココから下流なら何処でも有り、の様相だが、どうせやるなら、知ってるポイントより知らないポイントの方に魅力を感じる。
そう成ると必然的に入釣場所は決まってくる。知らないわけではないが、ご無沙汰気味のポンプロープの高島桟橋寄りの大オダの脇に留めさせてもうおう。前回下流に来た時にも入釣を試みたのだが、オダの位置が判らずに敬遠してしまった所。
さて今回は如何に、と漕いで行ったが……またも駄目。この程度の減水ではオダの先は顔を出していない。
仕方が無い、ここは運否天賦。
昔、誰かが、着舟場所が判らない時は名所表記の看板の傍か、揺れ止めロープの脇が定石、と教えてくれたのを忠実に守って、二つのブイのド真ん中の揺れ止めロープの結び目に、オダの真上でない事祈り乍ら舟を留める。

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上流の鳥小屋方面と泣き出しそうな空。
予報は快晴だったのだが……。

午前七時十分。
・目標/十七枚。
     達成すると今年の通算釣果が百枚に成る。
・竿 /嵐馬10尺。
・鉤素/100粍+600粍。
・餌 /上、宙バラ+オールマイティ+ベーシック。
     下、新ベラグルテン+アルファ21。
・納竿/大凡14:30。
で始動。
泣き出しそうな空のもと、餌打開始。
黙々と餌を打つ予定が、早くも五投目に浮子が反応した。
この落ち着きの無い動きはブルーギルに違いない。たいして期待もせずに竿を上げてみたら、鮒だった。
意外な事に、簡単に釣れてしまった。釣れたのは尺の玉網から尾ヒレの先がハミ出すヤツで推定.壱尺壱寸。
三〇分経過。
さっき始めたばかりなのに、もう五枚。カツオの一本釣りみたいに大きなヤツがポンポンと釣れて絶好調。
こんな事は滅多に無いのに、ココで悪い癖が出た。
黙って続けていればいいものを、もしかしたら両団子でも釣れるのではないか……と夢をみてしまった。

午前七時五〇分。
・鉤素/450粍+600粍。
・餌 /オールマイティ+グルダンゴ。
矢張り、両団子の魅力は棄て難い。
大好きな両団子で再開。
魚が沢山居そうなので、集魚要素の少ない粉を混ぜたのだが、それが凶と出て、ガッカリするほど浮子は動かない。
そして二十分後、遂に空から雨が落ちてきた。
春雨じゃ濡れて行こう。
月形半平太、よろしく決めこんでいたら、
今度はあのラジオの雑音が頭の上から降ってきた。
雨にラジオ……さっき迄の至福な時間は何処へやら、
あの三ツ沢での恐怖(左の太字をクリックしていただくと該当頁にワープします)が蘇ってきた。

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雨が降ってきた。

参ったなー。傘はあるけど、耳栓は持っていない……。
前回は.あまりの喧しさに尻尾を巻いて逃げ帰ったが、今回は踏み留まる。その唯一の心の拠り所は浮子が多少也とも動く事。この動きを活発化させ、強い魚信を復活させるのだ。ココからはこれをテーマに頑張る。
先ずは、最初の餌を廃棄して餌の作り直しから始める。
さっきは魚の数から遠慮して大人しい配合で作ったが、今回は集魚要素を含むミッドを前述の配合に加えて挑む。
そして、何かが起きる事を期待したが……何も起きない。起きたのは、雨が本降りに成ってきた事だけ。
これじゃ月形半平太だって、傘を差す。
入れっ放しの小さな傘を差し、太った体を縮こませ、祈る様な気持ちで浮子を眺めるが、事態は好転せず……。
そんなこんなで悶え苦しんでいたら、天は更に弱者に試練を与える。弱り目に祟り目のオレに向って、今度は季節外れの木枯らしを吹かせてきた。
ヒューっ、上流から吹く、五月の木枯らしに、身も心も凍てつく。それでも何とか魚を釣るべく、更に餌と鉤素を替え乍ら悪条件に抗するも……効果無し。
だから、言わんこっちゃない。
結局、二時間費やして両団子はギブアップ。

午前十時。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ……。
始めた以上は、徹底抗戦するつもり。
ココからは、夢よもう一度で、朝の仕掛けに戻して再開。
すると魚信の頻度は増してきたが、いつもの空振りの連続で、釣果を得る迄には至らない。
二進も三進もいかなく成ってきた。
やむを得ない。もう自力での打開は困難なので、軍師にヘルプミー。
サンスイ釣具店の武重店長に電話で助けを乞う。

吉「 おはようございます。今、三島湖で釣りをしています」
サ「 今日は良いでしょう。スカッと晴れてて」
吉「 予報は快晴だったのですが、三島湖だけ雨なんです」
サ「 エっ!。雨降ってんの。ところで何処に入ってんの?」
吉「 ポンプロープの一番下の高島さんのちょっと上です。朝のうち、沢山釣れたので、欲が出て両団子に替えたら釣れなく成ってしまったんです」
サ「 餌は?」
吉「 今は、朝の仕掛けに戻して、下が新べら+アルファで、上はベーシックのバラケ。鉤素は100+600です」
サ「 じゃあ、単品のアルファだけにして、長い方を500粍にしてみて……。多分、話からしてデカイのが浅い所を回遊してるんだろうから、偏光で見て魚の影が見えてきたら一本半にして……それで駄目だったら、また電話下さい。アっ、それから魚がデカイようだから竿を持ってかれないようにね……では頑張って」。だって……。
地獄に仏……ホントにありがとうございます。
丁重に御礼を言って電話を切る。

午前十一時。
助言通りに鉤素を詰め、餌を新規で作成して再開。
魚信があっても釣れないのに、竿を持っていかれるわけは無い……と高をくって、お茶を飲み干していたら、ガタっと音がしてホントに竿を持っていかれるところだった。
他力本願だが、復活の狼煙があがった。
そして、強くて大きな魚信も復活して、又も三〇分で五枚の釣果。
釣れはしたものの、狐にでもつつまれたようだ。鉤素を100粍詰めて餌を作り替えただけでこうも違うのか?。
半信半疑でも、釣れたのは嬉しい。
更に、雨が止み、ラジオのスイッチも切られ、何もかもが好転して、ココからの百分間で更に四枚を釣ることが出来た。

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本日の入釣場所の正面図。

午前十三時。
本日天気晴朗ナレ共波高シ。
お天道様は背後の岩盤の向うに居るので恩恵は受けられていないが、空には青が広がり夏っぽい雲がぽっかりと浮かぶ。
本日只今迄の釣果は十四枚。
ココからは強風の為、前回の前宇藤木のように竿を長くして続行する。新手の竿は十六尺。

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待望の青空と夏っぽい雲。

それは突然だった。
ボッチャンボッチャンと揺れる波間に、
浮子が突然没した……史上最大の消し込みだ!。
合わせた途端にガツーッン!……と強烈な手応え。
糸鳴りともに満月にしなった竿を堪えていたら、水面に顔を出したのは、大きな頭と口。
特大を釣上げたぞっ!。
何と言うか、アッと言う間の出来事だったが、
ハアハアと息も荒く成って、あまりの喜びと快感に、不覚にも興奮してしまった。

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大きな口。

ひと息ついて舟上で計測してみたら、ちょっとオマケして400粍。
更に、これだけでは終らない。
またもや、コレに匹敵するようなのを釣上げた。
然し、今度のヤツは琉金の様な形をした妊婦で、写真を撮っていると胎児に悪影響が有る様な気がしたので、
元気な子供を産んで下さいと……即時放流。

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写真判定で400粍。

いやー、今年の三島湖での釣りは、艱難辛苦の連続だった。然し、耐え難きを耐え、やってきてよかった。

充実の感触を残しながら、今期通算百枚目を狙うが、
アレ?……魚信が無く成った。
まるで祭りが終わったかの様にだ。
十五時。
今日はよい事が有ったので、いつ納竿してもいいのだが、出来れば区切りの百枚目を釣上げて終りたい。
魚信の無くなった十六尺を諦めて舳先付近に転がしておいた十尺を再度持ち出して、最後の勝負。
魚信は沢山出てきたが、針には掛からず。
更に三十分後。
マグレの一発を狙って、一本半にしてみたが、小さな浮子の仕掛けでないので駄目。
そして十六時、納竿。
特大を釣上げてからは、興奮して釣りにならなかった。

陸に上がって、若旦那に釣況の報告と、健康上の理由で睡眠時間の確保が必要な事から釣行回数が減少する旨を伝えたら、
「これからは陽が長く成るので、ゆっくり来て楽しめばいいですよ」、なんて暖かい言葉をかけてもらった。
朝も番頭さんから
「遅く来ても、来月からは六時迄やれるよ」、と言ってもらったし……。
昼間の武重店長といい、この人達ともっと早く知り合えていればよかった。
ありがとうございます。

お仕舞い。


10尺天々バラケ+グルテン 14枚(07:10〜12:40)
16尺天々バラケ+グルテン 2枚(13:00〜14:55)
10尺天々バラケ+グルテン 零枚(15:00〜16:00)

釣果合計 十六枚。
壱尺五分〜壱尺三寸四分。

◯2010年データ。
  ・釣行回数/8回。
  ・釣果/99枚。平均/12.38枚。
  ・次回は5月28日or31日に戸面原ダム。


後記。
今回は大きいのを釣上げて不覚にも興奮してしまった。
400粍程度でと思うなかれ……。
文中でも書いたが、今年の三島湖での釣りを思うとホントに嬉しかった。
正直、自分も三島湖に通い始めて四年目なので、このサイズは過去にも数回釣上げた事は有る。
それが、何故今回.この様に興奮したのかは、今年に成ってと言うか昨秋からズッと我慢の釣りばかりだったのが原因だと思う。
苦労の分だけ喜びが大きいのは、仕事も釣りも一緒だ。

今回も長文に成ってしまいましたが、最後迄お付合い頂きまして、ありがとうございます。
次回からは、もっと短く纏めるように努力致します。
今後とも、ご贔屓に宜しくお願いします。

  2010年5月19日(水)
吉右衛門  


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