快晴.夏日。強風。
気温31度、水温25度、減水45cm 澄み。
前宇藤木。
戸面原ボートセンター。
久々の祝日に出かけた、「海の日」は
角麩が沈黙したり爆裂したりで愉快な一日だった。の巻。
先ずはお詫びからです。
先日、自宅で愛用していたパソコンのハードディスクが壊れてしまいました。それに依り、これ迄この釣行記をお読みいただいています.みな様から頂戴しました、貴重で愛情溢れるアドバイスメールの一切が消滅してしまいました。
まさに、痛恨の出来事で残念でなりません。
お便りを頂きました皆様、誠に申し訳けございませんでした。
心よりお詫び申し上げます。
六月の中旬頃からであっただろうか。パソコンのファンがけたたましく回るように成ったのは……。そこで修理をしていれば大事に至らずにすんだのだが、使用年数も考慮して買い替えを選択した。
自分は職業柄、デザインに強いMacintoshを愛用しているのだが、今度の機種はWindowsも同時に搭載出来るのが魅力だった。そこで取引先の販売店と仕事が疎に成る七月下旬頃の入替で契約をし、其れ迄は騙し騙し使うつもりであったのだが
……。
パソコンには公私含め百二十位のフォルダを作成してデータを管理してあった。そしてバックアップも必ず実行する習慣を身につけていたのだが、唯一、不具合の出た前日にバックアップを怠っていたのが、過去十年間くらいの間に撮影した写真データ。これの大半が消滅してしまった。昔と違い印画紙に焼き付ける事をせず、画面上で作ったアルバムにて管理をしていたのが仇と成った。特に、子供たちが子犬だった頃からの画像の殆どを消滅させたのだから、事故が起きてから二十日くらい経った今でも、思い出しただけで涙が出てくるような出来事だった。
今は、暫定的にハードディスクのみを取り替えて、新しいモノが来るのを待っている状態。
このエレクトロニクスの時代に、自分があまりにも.その方面に無知であった事が原因なのは間違えないのだが……いやはや、
今回の事はホントに参った。
さて、魚釣り。
パソコンが壊れたり、天気予報に傘マークが連発したりで.ひと月以上も間隔が空いてしまった。
先週末に、前回の釣行記(豊英湖の巻)も最初から書き直して更新したし、いつまでも感傷に浸ってはいられない。そこで渇望しながらも控え気味だった釣行を、やっと決意した次第だ。
さぁ、釣りに行くぞーっ!。
午前三時五十分。
今回の目的地である戸面原ダムへ向けて出発。
穴川インターから館山道に突入すると流石に「海の日」。海水浴と思われる車が沢山走行して混雑をしていたが、その大半の目的地が九十九里浜方面であった為か、千葉東ジャンクションを過ぎるとスイスイと流れ、午前五時には予定通り到着出来た。
着いてみると、相も変わらず結構な賑わい。既に集結してる漁師の数は大凡二十名(例会無し)ってところか。
店内に朝の挨拶をしながら入店すると、ご主人が、
「お待ちしてました」だって……。うれしいねぇ。お待ちしてました、なんて言ってもらえるのは……。ほかに.こんな嬉しいセリフでオレを迎えてくれるのは、寿司屋の親方と床屋の職人さんしかいないのだから……。
早速、朝食をいただいてから入釣希望である宇藤木橋周辺についての助言をもらう。大凡のポイントを筆記してもらい、又、溢れた場合の避難場所もご指導いただいたので、取り敢えず、行けば何とかなるだろう。
午前五時二十分。
桟橋集結。そして出舟。
本日の出舟は三十艘ってところか。
ご主人が忙しく漁師を送り出すなか、川筋方面へ六番手で漕ぎだす。頭を奪うには絶好の位置取りだが、勝っても空しさが残る事は前回で痛感したので、朝の景色でも楽しみながら……と思った途端にハタと思いだした。
そうそう、ロープの確認をしてこなかった。この期に及んで今更だが、念の為、鞄の中を探してみて、愕然とする。
無い!。何度探しても、無い!。
オレはいったい何をやっているんだ!。己を叱りつけながら、恥を忍んで、ご主人に購入を申し出ると、
売り物は無いけど、何でもよければ貸す事は出来る、との事
ハイ、何でも結構でございます。
危うく、朝飯を食っただけで帰るハメ、に成るところだった。
毎度毎度、お世話をおかけします。
やれやれ、
とんだ.どじを踏んだおかげで先発陣には大きく遅れてしまったが、その間、川筋方面に向かった漁師は一人も居なかったので六番手のまま再出発。ゆっくりと五名の先釣者を追尾して行くと、先ずは馬の背付近に一名、更に行くと前宇藤木に一名、そして、残り三名の人影は確認出来ないから、キっと宇藤木橋を越えて行ったのだろう。
残念でした。
希望していた宇藤木橋の向こうは売り切れた。
然らば、何処に舟を結ぼうか。
こちら方面にやって来たのは今回が二度目。既に売り切れている前宇藤木以外のすべてが処女地だ。何処も彼処も初々しくていいじゃないか。キョロキョロと見渡しながら目を付けたのが、南郷岬を宇藤木橋方向に行った直ぐの所にある小ワンド。ココの奥に留め甲斐のある幹の太い木がある。コイツに舳先を結ぼう。
出来た。
この喜びは何だ!。
こんもりと生い茂った樹木の奥にひっそりと舟を結んだ。
なんだか穴蔵に籠って釣りをするみたいだ。
ココから、コソっ、と静かに竿を出して水面に浮かぶ浮子を眺める……こんな光景に憬れていたのだ。
これから始まる.この憧憬の世界を夢見てほくそ笑む。
午前六時半。
10尺竿を出し、両方の針に団子をつけて釣りを初める。
今日は、こんな桃源郷で糸を垂らすのだから、釣果なんかどうだっていい。
夢心地で餌うちを始める。
|
|
|
|
入釣場所から下流方面を望む。
左側の生い茂った木の奥に舟を留めた。 |
|
餌うち数投目、夢の世界に衝撃が走る。
アッ!、と驚く根掛かり。
仕方がない。投入地点を左にズラしてみたが、ココも根掛かり。然らば、左が駄目なら上。今度は浮子下を短縮して難を逃れようとしたが、風に流されると、またも根掛かり。
チキショー!、水底に悪魔が潜んでいる。
………………。
折角素晴らしい世界に浸れる処だったのに……。
此処にも彼処にも悪魔が手を隠している。
根掛かりに四苦八苦する事、六十分。
いつまでも湖底の悪魔と格闘している場合でもあるまい。
決断の時が来た。
泣く泣く移動を決意して、穴から出てみると、
嗚呼!、天ハ我ヲ見捨テズ。
ドンピシャリのタイミングで前宇藤木の方が移動支度をしているではないか……我が目を疑う様な光景に頬をつねりたい。
移動する方にスレ違いザマ、後続で入りたい旨を告げ釣況聞くと、暗くて浮子が見辛いのと魚が小さい(四枚壱キロ)との事。
なんだそんな事か、今の自分には贅沢贅沢……喜んで後に入れてもらう。
八時半。
据え膳にありつけた事に喜んでいると、更に、棚からボタモチが落ちてきた。12尺竿に替え再開すると、オレの入釣を歓迎してくれるかのように二投目から連荘で釣れてきた。舟付けの時に結構バシャバシャやってしまったが、影響はなかったようだ。そして九時迄に五枚が追加出来る幸運に恵まれた。
午前九時半。
天気晴朗ナレ共波高シ。
最近.毎回用いているセリフを、早くも使う事に成った。
今日は休日だし、帰路の道路渋滞も考慮してさっさと勝負をつけて帰ろう。
短絡的に事を急いて仕掛けを角麩に替えた事が、凶と出た。
大漁一気を狙い意気揚々と始めたのだが、予想外の大失速。
施行する事六十分、何が気に入らないのか、魚信が皆無で釣果も零。
いつも思うのだが、この角麩というヤツは自分が施行する限りにおいては、爆裂か沈黙かで中間が無い。もっと精度を上げたいのだが、上げ方がさっぱりわからない。今日も浮子が沈黙している間は、ボケっ、と指をくわえて見ているだけだった。魚影が薄くないだけに、もっと.やりようがあるのだとは思うが……。
兎に角、前回の豊英湖に続き、角麩の負けを知る。
午前十一時。
頼みの角麩が不発だったので、ココからは再び団子で挑むしかない。そこで16尺を出そうとしたら、無い。何度探しても、無い。
どうやらコレも忘れてきたようだ。朝のロープといい、何をしているのだか……。
今日は釣行十二回目で偶数竿の日だから、16が無いとなると前後は14or18と成る。今迄が12尺だったので、当然18尺がベターと成るのだが、この風を考慮すると長竿の苦戦は必至。それでも14尺よりはマシだろう、と竿掛けも含めて交換したのだが、今度は万力がイカれていた。左からの強風を意識して左前方.五十五分の位置に投入しても万力が馬鹿に成っているから、竿掛けを支えられずにズズッと右前方.十分の位置迄、九十度も振られてしまう。
そんな悪戦苦闘でも、竿の長さは正解だったようで、三十分の間に三枚の釣果を得る事が出来た。
正午。
14尺登場。
これで本日持参した竿はすべて登場した事に成る。
正直、たいして期待をしていなかったのだが餌打ち二十分、浮子の動きが微弱から鋭い魚信に変わって、間もなく釣れ始めた。然し、十三枚目、十四枚目、と釣り上げ更に十五枚目を仕留める時に針がハズレて、仕掛けを頭上の枝に掛けてしまった。
立上がり、命の次に大事な浮子は回収出来たが、仕掛けは切断されて再起不能。残念無念。
午後十三時。
仕掛けも無く成ったし、ヤメて帰ればいいのに……帰らない。
大分前に宇藤木橋上流の方達も引揚げてきたので、この辺りで釣りをしているのはオレだけに成った……でも帰らない。
渋滞なんかどうだっていい。
兎に角、今一番したいのは魚釣り……だから帰らない。
…………。
斯く成る上は仕方が無い。
最後の足掻きをしようではないか。
本日只今の釣果は十四枚だから、再度団子でトライしても結果は最良で二十枚がマックスであろう。
然らば、角麩で一発大穴を狙うべきではないか。
今朝の敵討ち、性懲りも無く再び角麩で失地挽回を図る。
万馬券を握りしめて最後の攻撃。
必殺!、段バラマッハを爆弾状に大きく付けて打ち込んでいくと……ホッ!。
突如として浮子が波間に消えて反撃の狼煙があがる。十三時十五分の出来事。
以後は朝の鬱積を晴らすかのように、角麩爆弾が炸裂。大外から一気に捲って、十二枚を十四時迄に釣り上げた。
午後十四時。
釣果の合計が一気に二十七枚迄伸びた。これなら三十と言わず四十だって夢じゃない。
一気呵成に攻め込むつもりで.ニヤケていたら、沖の方から小さな潜望鏡のような物体がコチラの方を、じっと見つめている。
なんだ?。
度入りのサングラスをかけ直し、見つめ返してみると怪しいヤツの正体がわかった。あれは潜望鏡ではない、川鵜の子供だ!。
やっぱり……。
さっぱり魚信が無くなった。
まぁ、川鵜の出現が爆裂の後でよかったと思うべきだ。
それに釣れなく成った原因を川鵜にするのも如何なものか。なにせ午前中は魚信すらなかった前科が有るのだから……。
そんな事をブツブツ言い乍ら浮子を眺めていると、三十分経過して、やっと釣れた。そして連荘。これで納竿予定の十五時迄一気に行くか、と思たが……その反対。釣れたのは.はぐれべらの二枚だけ。駄目だったか。溜息をついたら情熱も無くなった。
宇藤木橋の向こう側も見学しておきたいし、もうヤメよう。
十四時四十五分。あっさりと納竿。
道具を撤収し、お借りしていたロープも丁寧に巻いて上流を見学して桟橋へ帰る。
ご主人にロープと貸し舟の礼を述べ、奥さんに釣況を報告して、一件落着。
入釣場所を陸から撮影して富津中央へと赴く。
朝の入釣から移動迄、いろいろあったけど愉快な一日だった。
お仕舞い。
|
|
|
|
次回に入釣したい宇藤木橋の向こう側。
此処の何れかに舟を留める。 |
|
|
|
|
|
陸から撮影した前宇藤木周辺。
甲地点より乙地点に移動した。 |
|
※南郷岬
前宇藤木側の小ワンド。
10尺天々・両団子 零枚(06:20〜07:45)
※前宇藤木へ移動。
12尺天々・両団子 7枚(08:20〜09:15)
12尺天々・角麩 零枚(09:30〜10:45)
18尺天々・両団子 3枚(11:00〜11:30)
14尺天々・両団子 4枚(11:45〜12:45)
12尺天々・角麩 15枚(13:00〜14:45)
合計 二十九枚。
七寸五分〜九寸五分。
◯2010年データ。
・釣行回数/12回。
・釣果/239枚。平均/19.92枚。
・次回は八月六日 三島湖 豚小屋下。
2010年7月22日(木)
吉右衛門
|