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第六回釣行 2010年04月13日(火)
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これまでの釣行記(へら鮒釣り) 2009年〔三島湖〕

水温11度 満水 澄み。
三島湖 魚屋下。
三島湖 ともゑ釣舟店。

観念しました。オレの技術では、もうココの魚を釣るのは無理です。の巻。

あれは戸面原ダムに釣行した翌日だった。
職場の娘たち三人とカラオケに出掛けた。
若い娘さんたちに、オジさんが混じって行くのには抵抗が有ったが、これも浮世の.しがらみだから仕方がない。蛮勇を奮って同行したものの、矢張り辛い時間だった。
彼女達は順にワイワイと歌って喜んでいるのだが、オレの番に成るとシーン……。
いつもの浮子の動かない、オレのへら鮒釣りみたい。
そもそも「網走番外地」なんかを歌ったのが、大きな間違え。映像に刑務所が出てきちゃったりして……まぁ、根がヤクザだから仕方がないけど……。
それでも、果てしなく続く彼女たちの歌に、早く終らないかなー、帰りたいなー、と思いながらも、そんな事はおくびにも出さず……ジッと我慢。終始作り笑顔で頑張った。
なにせ彼女等に働いてもらって、釣りに行かせてもらっているのだから……。

午前四時。
今週も、職場のお嬢さんたちのお陰で釣りに行かせてもらう。行き先は、暫定的だが三島湖ともゑ釣舟店。
本来、今回の予定は戸面原ダムだったのだが、昨日は生憎の雨。そして今日と明日には例会予定が組み込まれていたので、急遽月末予定の三島湖と入れ換えた次第。と言っても、特に入釣希望の場所もないので、混雑していれば豊英に逃げればいいや……程度の軽い思い入れ。だから、何処に落ち着くかは現地で決める。
そんな浮ついた気持ちで、一服すべく立寄った麓の雑貨屋さんで、バスが三島湖に向ったとの情報を得る。自分の経験則では、バスとなれば.ともゑ釣舟店が本命だから進路を豊英湖に変えて峠道を登る。
現地到着。これは計算外。結構な人が事務所に居るし、坂下のリフト付近にはマイクロバス迄停車している。ザッと数えると30名程といったところか。
これならヤメよう……同じ混雑なら三島湖の方がいい。
これで決まった。今日は.ともゑ釣舟店に草蛙を脱ぐ。

午前五時二〇分。
三島湖ともゑ釣舟店到着。
バスは居なかったが駐車場はほぼ満車。それでも隅っこに一台分の空きスペースが有ったので何とか駐車させてもらい入店。若旦那に料金を払いながら、盛況ですね。とひと言.言ってみると、蘇我の名人の所属する会が例会開催との事。オッ、これは幸運。後で挨拶させてもらおう。
出漁した漁師の数は二〇名位と聞いて、三十分後.桟橋に下りてみると、豚小屋は概ね一杯の様子。
舟に荷を積載しようと思ったら、昨夜から溜まった雨水を既に掻き出していてくれた……ありがとうございます。
自分はこのような事を、当たり前とは思わない。釣舟店のご好意だと思う。キッと早く起きて清掃をしてくれていたのだ。後で.お礼を言っておこう。

午前六時。
豚小屋に居並ぶ方たちは十二名。残りの八名の着舟場所は係留している舟の数からして下流方面、取分け、三ツ沢と段々畑辺りに散会しているような気がする。とすれば最果てのダムサイドを目指すのが賢明か。取りあえずの目標をポンプロープ最下流の大オダの脇にして出航。
目的地が決まり縄を桟橋から離す。
豚小屋に居並ぶ釣り人の中から名人を見つけられれば、お声がけをしたかったのだが、自分の視力ではどうにもならない。残念だが、心の中でエールだけをおくり、背後を黙々と通過する……頑張って下さい。
咽っ首を過ぎて三ツ沢が視界に入ってきた。意外な事に三ツ沢も段々畑も無人。人影は鳥小屋方面にひとり見えるだけ。三ツ沢でぽつねんと糸を垂れるのは魅力だが、あの時のラジオの音がトラウマになっているのでヤメ。
鳥小屋を過ぎ、一人旅に成った。そして目的地に到着したが、残念でした。満水でオダが隠れて場所がわからない。枝の先っぽでも露出しているかと思ったが、何も無い。仕方がない……それでは中央ロープに、と思った瞬間、今度は風。而も向かい風だ。そこで再度.思案して向ったのは魚屋下。今度こそ、これで決まりだ。
本日は、魚屋下に舟を留め、へら鮒釣りを行う。
己に宣言して着舟。どうやら自分が今日の三島湖での最下流の漁師……だと思ったら違った。背後に、この道六十年とでも思いたくなる様な無愛想な方がやって来て、何やら言っている。
「モジリがネェなぁ。でも脇っちょでやってみっか」
「例会ですか?」 挨拶代わりに聞いてみたら、
ひと言「明日の試釣」と言って中央ロープに舟を留めた。

午前六時四十分。
竿掛けを取付けた。然し、竿の長さが分からない。出舟時に余計な話ばかりをして肝心な事を聞いてこなかった。思い切って若旦那に電話をして聞いてみる。
「魚屋に舟を留めたのですが、竿がわかりません」
「短い方が良いみたいですよ」
「14尺 くらいですか ?」
「もっと短いです」
…………。
「オレは十匹釣れればよいですから……」謙遜して言うと
「……」ちょっと間が有って
「それだけ釣れれば、結構な目方ですよ」だって……。
いつもなら「そんな事はないでしょ。もっと釣れますよ」と言ってくれるのに……。
うーん……。今日も悲惨な事に成るではないか。さっきの年配の方も半信半疑だったし……。

釣行記写真
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一年ぶりに入釣した魚屋下。
竿尻の背後から撮った光景。
あの凹みに向って打ちます。

午前六時五十分。
最終的に若旦那の助言通りにすべく、取りあえずは
・目標釣果/二十枚。
・竿、仕掛/16尺、鉤素.300粍+600粍。
・納竿予定/大凡15:00。
 で始動。
目標釣果が十枚ではあまりにも夢がない。折角、前回杉林で頑張って平均釣果を 3 も上げたのだから……。
午前八時。
ヤッパし……浮子は動かない。
中央ロープの方は、早くも鳥小屋のお仲間の所へ移動。
毎度毎度、間一髪でオデコだけは逃れているが、今日は最大の窮地に陥りそうだ。
不動の浮子を眺めているのにも飽きてきたので、周囲の状況を窺うと、鳥小屋には三名+さっきの方、ポンプロープは無人、魚屋にオレ、中央ロープ、梅の木ロープ、宮下は無人。多分、もう誰も来ないだろうから、本日は自分が最下流と言う事に成る。
広い下流域にたった五名だけの豪華版だ。

そんな時、すぐ傍の桟橋で清掃( ? )が始まった。なんだか働いている人が女性に見えるのは錯覚だろうか……。
三島湖は、湖上の往来自由、縄張り無し。と確認済みだが、先方は庭先で「と」の字とペイントされた舟から糸を垂らしている姿を、どの様に見ているだろうか。キッと、日常の見慣れた光景だから、免疫が出来ているとは思う。然し、オレの方は、妙な後ろめたさを感じてきた。目を合わさないように、太った体を取水塔の方へ向けて、ジッと清掃が終るのを待つ……なんだか犯罪者の気分だ。
以前.釣行記に、釣舟屋の選択に不文律を課している。と記したが、そろそろ解除してもよいのではないか。こんな思いをするし、今のままでは鯨島や宿原にも行けやしない。来月からは猫内橋より上流の未踏の地へ旅する予定もしていたのだが……。

午前八時半。
ドキっ ! 。突然、浮子に動き。ドンピシャリ、最高の合わせをしたつもりだったが、僅か数秒で針が外れた。
所謂、バラしと言うヤツ。千載一遇の好機を逃した。
更に十五分後。チキショー ! 。又もバラした。
更に更に十五分後。二度有る事は三度有る。意気消沈。
更に更に更に十五分後。漫画みたいな展開……。
いくら自分が鈍感でも四度も連続でバラすと、一考くらいはする。浅知恵かもしれないが針(アスカの四号)が小さくてデカ魚の唇を貫通しないのかもしれない。
然らば、と大きくして臨んでみる。
統計学的に、ココの魚は十五分の時を刻んでやってくるから次回の魚信は九時半の予定。緊張して浮子を凝視する事、数分。時計の長い針が真下を指す瞬間。心臓の鼓動が最高に高まったが……アレ ! 。何も無い。何だか拍子抜けと言うよりも、裏切られた感じ。
ヤレヤレとションボリしていたら……幸福は遅れた頃にやって来た。遂に捉えたぞっ ! 。大きな魚を釣上げた。
検寸をしたかったが、間が開くと魚が居なく成るので、記念撮影の後、充分.御礼を申し上げ、魚さんには大海へと御戻りいただいた。

釣行記写真
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第一号は大きな魚。推定尺弐寸。

大きな魚も好きだけど、頻繁に浮子を動かしてくれる魚はもっと好き。思った通り、デカ魚を一尾釣ったので後続が続かない。十五分の法則も何処へやら、魚信は完全に消え失せ、二進も三進もいかなく成った。
そして、開始.僅か三時間強にして、この日の釣りは事実上終ってしまった。

残念な事だが、この時間から納竿迄、特記事項が無いので、残りの時系列はメモを見ながらザッと箇条書きに纏めさせてもらう。

十時半。
デカ魚を釣上げてから、バラし、が一回有っただけで何も無し。辛抱堪らず14尺に交換。
交換した一投目に、又してもバラす。本日六回目。
十一時半。
釣果は変わる事なく、午前の部終了のチャイムを聞く。
ココで再度の竿替えを決意。繰り出したのは前回.杉林で活躍した18尺。結局14尺では前述の一度きりの魚信しか得られなかった。
十二時半。
竿替えの効果無し。
竿を替える度に、心が暗く成るのは何故だ。
十二時五〇分。
久しぶりにバラした。本日七回目。
更に二十分後、本日八回目のバラし。
針には掛かるが、暫く魚の顔は見ていない。
そして、其れが当たり前に成ってきた。
十三時四十分。
魚信ナシで、釣れた。本日の二枚目。
今度もデカ魚だったが、魚信を確認していないマグレの釣果では喜べない。
十四時。
これ以上は……無駄な抵抗だろう。
もうヤメた……空しく、そして寂しく納竿。
今、撤収すると蘇我の名人に会えないから、12尺の仕掛けを作って時間を潰す。

仕掛けを作りながら思う。
観念した。オレの技量ではココの魚を釣るのは無理。
悲しいが、今の三島湖は、自分の様な底辺の技量しか持ち合わせてないモノには釣果を得る事は出来ない。
ココで釣果を得る為には、もっと技量を上げるか、朝の上級者の様に、反応が悪ければサッと移動する位の貪欲さがなければ駄目だ。混雑を避けたくてマイナーなポイントに入釣しても、浮子を動かすのが精一杯、で終ってしまう。
公式にしてみると、
技量下級者+マイナーポイント=貧果。と成る。
今、上記で表現した「貧果」の意味合いにも、微妙な変化が表れている。昨年迄の貧果は二十枚程度だったが、今は五枚以下に成ってしまっている。
年明けからのココでの合計釣果は、四回の施行で十八だ。
これでは.いくら、
「自分はいつも釣れないので、釣れないのは慣れているから平気です」と言ったって……堪えてしまう。
自分に技量が無い事は、百も承知だ。
然し、昨年迄は技量の無さを魚の協力で凌いげてきた。それが、今年は協力を得られない。だから、自力で踏ん張るしかないのだ。
あの浮子を沢山動かしてくれた、心優しき魚たちは何処に行ってしまったのだろう……。

今日という今日は、ハッキリと自覚した。
今年釣れないのは、魚の機嫌が悪い日に来て運が無かったのではない。これが当たり前なのだ。
自分は、このココの人と景色が好きだ。だから釣れないからと言って、釣れる所へと場所を替える事はしないし、出来やしない。
あとは現状を甘受出来るか、技術向上の努力をするかだ。
どちらにしても難しい話だが、こればかりは仕方がない。
……………………………………………………………………
綿々と悲嘆に暮れていたら時間がきた。
桟橋へと帰る。

桟橋でお待ちしていると……待ち人来る。
立ち漕ぎをしている蘇我の名人が自分を見つけて満面の笑顔で、帰舟して来た。
片手を拡げておられたから、釣果はそう言う事らしい。
また、仲間の方たちも桶を見せ合って、一日の釣り自慢をされている。その光景をみて、自分もおこぼれで楽しい気分に成って来た。
仲良き事は美しき哉。
階段を上がり、若旦那に魚の大きさと針の関係を質問。
すると意に反して
「針の大きさは餌の沈下速度の調整に用いる時に交換するもので、小さな角麩用の針でも大きな魚は釣れます。今日.針にかからなかったのは食いが浅かったのではないですか」と笑顔で説明してくれた。
アハハ。なんだ魚の口の大きさと唇の厚さは関係ないんだだ。こうして、皆さんの笑顔に触れていると、仕掛けを作りながら悲嘆にくれていた気持ちも大分和らいできた。
次回ココに来る時は、根性を入れ直して頑張る。

お仕舞い。


16尺天々バラケ+グルテン 1枚(06:50〜10:00)
14尺天々バラケ+グルテン 零枚(10:40〜11:40)
18尺天々バラケ+グルテン 1枚(11:50〜14:00)

釣果合計 二枚。
一尺弐寸。

◯2010年データ。
  ・釣行回数/6回。
  ・釣果/43枚。平均/7.17枚。
  ・次回は4月26日からの週に戸面原ダム.前宇藤木。

  2010年4月16日(金)
吉右衛門  


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