快晴.真夏日。午前中風、午後風。
気温32度、水温28度、減水4.2m、澄み。
本湖立木。
戸面原ボートセンター。
戸面原一番の絶景ポイントに入釣、
まったりと時の流れに身をまかす。の巻。
九月も中頃に成ろうかと言うのに、真夏日が続く。
春先に雪が降り寒春だった頃、異常気象に過剰反応してか、今年は冷夏を通り越して夏が来ない。と予測していた予報士が居たけれど、しっかりとハズレ。
矢張り夏に成れば暑くなるし、冬に成れば寒くなる。これって昔からズッとそうだった決まり事なのだから、滅多の事は言わない方がいい。
…………。
今夏の湖沼の減水具合は例年になく厳しい。
とりわけ、自分の愛する三島湖も随分と水が減っていて、減水値が遂に10mを超えたとか。もう彼此二ヶ月位行っていないので、詳細はインターネットに開示されている釣舟屋の情報で探るしかないのだが、どの様な案配なのだろう。
実は先週の月曜日(9月6日)に、物見遊山も兼ねて行くつもりだったのだが、直前にヤメてしまった。
中止した理由は、一言で言えば、ただ単純に桟橋へ通ずる階段の昇降に自信が無かった事。これに尽きる。正直、体力的には階段を数回昇降しても精々息が切れる程度だと思うが、竿袋や傘袋が足に絡んで転げ落ち、怪我でもして自力で登れなくなったら、この肥満体を誰が持ち上げるのか。そう考えたら腰が引けてしまった。万が一の場合は、当然救急隊の出番と成るのであろうが、デブが釣りに出掛けて階段から転落し、人サマに迷惑をかけるなんて、嫌だ!。尚かつ、入院でもしようものなら、恥ずかしくてこの先、生きていけない。それにさっき、物見遊山なんて書いてしまったが、来店者が減ってしまって困窮しているであろう、釣り舟屋さんの事を思うと、それはいかにも不謹慎だろう。
…………。
こうして、行きたくても行けない事態に遭遇してみると、春先に釣れないだのなんだのと愚痴ったりしていたが、その程度の事は、甘受しなければならなかったのだ。
今は、ただただ三島湖が、そして豚小屋が恋しい。
恋しい、気持ちは置いておいて、今回も向かうのは戸面原ダム。
最近は、概ね一週間置きの月曜日を釣行日と定めているので、これは予定の行動。今日の事は前回の帰りがけ、管理人さんに近々の例会予定を聞いた折りに告げておいた。
午前五時二十分、現地に到着するとワゴン車が二台。
早速入店して様子を窺うと、四名様ご一行が二組。
彼らを横目に朝食をいただいていると、嫌でも会話が耳に入ってくる。ここで聞いてしまった情報を整理すると、どうやら心密かに狙っていた光生園下の立木は売り切れそう。
然らばご主人に、補欠に予定していた候補地について
「馬ノ背は自殺行為ですか?」、と自虐的に聞いてみる。
彼処もなかなか釣れてますよ!、と答えてくれるのを期待したのだが、その反対。あっさりと「ハイ!」、だって。
いやはや参った。事前に頭の中で描いていた光景が露と消えた。
午前六時。
先発の八名の方が見えなく成った頃に桟橋に立つ。
優柔不断で行き先が未だ決まらない。前島に着舟は可能なのか?、ココから右手に見える立木にでも行こうか?。
愚図愚図悩んでいると、ご主人が教えてくれた。前島は着舟が難しい事。右手の立木に入る時は左右に広がる立木群を使って落合方向に向けて着ける事。そして、ココは景観が素晴らしい事。
ナニ!、景観が素晴らしい。このひと言に触発されてしまった。
決定!、今日はココで遊ばせてもらおう。
このウダウダと悩んだ末に、やっと決定した場所の名称は、
「本湖立木」と言うそうだ。
…………。
ご主人に見送られ出舟。
これから本湖立木に向かうわけだが、其の前に前島の写真を撮りに行く。この前島は満水に成るとニョキッと生えている1本の木を残して全島が水没してしまう。それが今、鳥、虫、そして風が種子を運んで来たのであろう。頂きには可成りの雑草が生い茂っている。それも、更に日が経てば裾野のあたり迄広がりそうだ。これって自然の逞しさなのだろう。
近頃は年をとったのか、こんな事に感動を覚えてしまう。
本湖立木に到着。
どうやって舟を着けるのだろう。中心の木に舳先を結ぶのであろうが、左右との間隔があまりにも短い。それと己の馬鹿さ加減を告白するのだが、ご主人の言った「落合方向に向ける」、の落合が何処だかを聞いてこなかった。いやはや、参った、参った。
今更、己のドジを嘆いても仕方が無い。
この際だから、何でもいいや、と適当に着舟。
…………。
準備をしていたら、前島に釣り人が現れた。
着舟風景を眺めていたら、左のロープを随分と長く後方に結んでいる。遠くでよくは見えないものの、これは参考に成った。
さてと、粗方の段取りも終わり、竿の選択にかかった時、又も失敗に気がついた。先発に予定していた、立木のエース、15尺が竿袋に入っていない。9尺から17尺の奇数竿を入れてきたつもりが、どうやら家に置いてきてしまったようだ。
どうしよう?。悩む迄もない。最初から最長の17尺を出すわけにはいかない。となると必然的に二番目に長いのが先発と成る。13尺か!。なんだか中途半端な感がしなくはないが、忘れてきたのだから、仕様がないだろう。
◯本日のデータと予定。
・目標/三十枚。
団子.十五枚、角麩.十五枚。
・竿 /朱門峰 凌13尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ10番。
・鉤素/450粍+600粍。
・餌 /ミッド2+オールマイティ1+グルダンゴ1+水1。
・予定/団子と角麩のミックス作戦。
07:10〜団子。
12:00〜角麩。
15:00、納竿。
七時十分。
処女地、本湖立木での第一投。
本来はこの瞬間からワクワク感でいっぱいになるのに、どうも気が乗らない。乗らない原因は、景色。
この景色は良さはなんだ!。
魚釣りより景色と、写真の撮影に精を出す。
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毎度馴染みの竿尻からの正面図。
釣り人が居る分だけ、写真に味が出た。 |
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着舟場所からの右面図。
石田島の向こう、光生園下の立木にも釣り人が居る。 |
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さて、釣りに戻る。
絶景に見蕩れながらも、浮子の方もチラチラみていると三十分も経過した頃だろうか変化が現れた。この一事を以て、物見遊山気分が緊張へと変わり、直ぐの大きな魚信に合わせてみると、
ゴツンッ!。オッと確かな手応え。
然し、やった!。と頬が緩んだその瞬間……残念でした。直ぐに仕掛けが宙を舞ってしまった。そう、所謂バラシと言う奴。
更に十分後、今度は確かに掛けたが嫌な予感。
やっぱり……釣れて来たのはブルーギル。
バラシ、空振り、ブルーギル。もしかしたら、今日は釣れないではないか……容易成らざる事態に不吉な予感がしてきた。
…………。
開始一時間半。どうやら予感は的中したようだ。
浮子の動きは活発化してきたが、一向に釣れやしない。
魚に嫌われて暇だから、本日の周囲の状況を書き留めておく。
とってもわかり易い。先ず時計の針で表現すると、零分の位置の前島にひとり(上の写真)。十五分の位置の光生園下立木にもひとり(同)。更に四十五分の位置の戸逆橋手前にもひとり。石田島の裏は見えないので不明だが、大人数が居るとは考え難い。
今日も可成り贅沢な位置関係。これで釣れなきゃ、罰が当たる。
然し、釣れない。あーあ、今日もダメなのか!。半分不貞腐れて竿を上げたら、何と針に魚が掛かっていて釣れた。それも壱尺弐寸級のデカイ奴。
今のは魚信が有ったのか?。自問自答しても自信が無い。それではマグレも同然だ。明確な魚信は全部空振りだから、何が何だかわからない。こんな風に、魚信が頻発して釣れない時は、どうするんだっけ?。最近の同様のサンプルは二回。一度はポンプロープ下流の大オダ、そしてもう一回はこの間の石田島の立木。
そうだ、二回とも魔法の粉を含ませた柔らかい餌で、難局を乗りきったのだ。ならば今日も、その手で三匹目の泥鰌を狙おうではないか。
そこで、エサ鞄に手を入れて魔法の粉を探したのだが見つからない。もしかしたら、こいつも忘れてきたのではないか?。呆然としながら再度探したが、無い!。そうだ、そうだった。先日、女房にエサ鞄の中に掃除機を入れさせたんだ。
何たる事だ!。15尺竿に続いて魔法の粉も忘れてきた。
自分は将棋は指さないが、将棋に例えるなら、金銀落ちではないか!。ハンデを貰わなくてはならない奴が、ハンデを背負ってどうするんだ!。
未だ九時半だと言うのに、事実上本日の釣りは終わったような窮地に陥った。
冷静に成って考える。
この様な時は何で代替すればいいんだ。兎に角、何かをしないと、沈没する事は必定。
出来の悪い頭で考えての結果は、竿を延長する事。
午前九時四十五分、十七尺登場。
早くも本日最長の竿を出すハメに成った。
…………。
再開。どうやら竿替えが図に当たったようだ。
エサを打ち出して、そろそろ浮子が動こうかと言う十時頃、期待通りに動き出した。そして、別にエサを替えたわけでもなのに釣れてしまった。然も、三十分で三枚の釣果。
俄然ひとり舟上で盛り上がる。
然し、上手く行かない。
この勢いで、昼迄の残り九十分、なんとか釣果を二桁にすべく頑張ろうと思った瞬間に、水を差すような風。
朝の予感が的中。風に依り舟を留めていたロープが緩みだした。矢張り、留木迄の距離が短過ぎるのが原因で安定しない。
然し、他に代替出来そうな立木も見当たらないので、力任せにロープを締め直す。これで安定は得たものの、眼前の景色が変わってしまった。困ったが元に戻せば、また、緩みだすに違いない。それならば、この位置で仕切り直すしか無いだろう。
そこで、今度はエサ打ち目標地点を前島の一本木にして打ち始めると、ホッ。直ぐに魚信が戻っていい感じ。そして、ゴツン!。
確かな感触を得た、と思った瞬間、ん?……どうしたんだ、何故か竿が止まった。なんだ根掛かりでもしたのか!、半疑で道糸を手繰ってハリスを切ろうとしたら再度動き出して、釣れた。
?……なんで止まったのだ。よくわからないが結果オーライと言う事にして再開。
再開してみて真相が分かる。矢張り根が有る。針が根に掛かりだした。と言う事は、先ほどの出来事は、針を掛けた魚が根に逃げ込んで、道糸を引っ張った拍子にハズレて釣れたと言う事か。
どうしよう。
如何せん、針が根に掛かる現状での継続は無理。とすれば舟の向きを変えて回避しなければならないのだが、オレにはそんな高等技術の持ち合わせは無い。
午前十一時。
折角、良い展開に向かったのに竿を戻すハメになった。
根が延びていない事を願って、再び13尺で試行すると、これが正解。針の沈下点に根は無い。これならば!、と再開したが、元の木阿弥。魚信は復活したが、朝と同じ展開で空振りの連続。なんだか、双六の振り出しに戻った感じ。
…………。
もう駄目。
あとは惰性で合わせるだけ。こんな捨て鉢な心境が魚にバレて昼前迄の追加釣果は一枚。散々な結果で午前の部、終了。
正午。
本日ただ今迄の釣果は、六。
午後からは角麩の時間。
普段なら、さあ、角麩で帳尻相会わせ!。と成るのだが、なんだか既に厭戦気分。今日のこの状況下では、角麩だなんだの言ったて釣れないだろう。
然し、ココで帰る気にも成らないので、9尺の竿に蛹爆弾と角麩をブラ下げて、再開。
この様な姿勢が、魚に伝染したのだと思う。やっぱりと言うか案の定と言うか、釣れない。
偶に、余所見をしていて魚に引っ張ってもらう向こう合せや、浮子の所在を見失っての釣果はあるものの、結果は空しい。これを魚のせいにしてはいけない。根本の原因は、ヤル気の無さ。
針に角麩を付けているから竿は握っているが、大体からして浮子を見ていない。そしてそのうち竿も放り出して、上郷方面から吹いてくる心地良い風にあたっていると、厭戦気分は最高潮。
もう釣りなんかどうだっていいや。
まったりと時の流れに身をまかす。
いやはや、これって途轍もない贅沢な時間だ。
そんな時間を極楽気分で味わっていたら十五時。もっとココでこうしていたいが、本日の桟橋帰舟規定は十六時。オレは愚図だから、そろそろ撤収を始めないと間に合わない。
後ろ髪を引かれながら納竿。そしてロープを解いて桟橋へと戻り一件落着。
そうそう、角麩の釣果も午前と同じ、六だった。
お仕舞い。
13尺天々・両団子 1枚(07:10〜09:00)
17尺天々・両団子 4枚(09:30〜10:30)
13尺天々・両団子 1枚(10:40〜11:50)
9尺天々・角麩 6枚(12:00〜14:45)
合計 十二枚。
壱尺壱寸五分〜壱尺弐寸五分。
◯2010年データ。
・釣行回数/17回。
・累計釣果/376枚。平均/22.12枚。
・次回は十月十八日 三島湖の何処か。
2010年10月11日(月)
吉右衛門
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