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第十回釣行 2010年06月04日(金)
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これまでの釣行記(へら鮒釣り) 2009年〔三島湖〕

晴れ。午後から強風。
気温23度 水温19度 減水2.3m 澄み。
三島湖 ポンプロープ 大オダ脇。
ともゑ釣舟店。 

いつも釣れない、このオレが竿頭に成れた。
いやはや、なんだか金星をあげたような気分。の巻。

鳩山首相が一昨日(二日)辞意を表明した。そして、今日.民主党の両院議員総会が開かれ新代表選出(菅直人さんが選出された)の運びと成る予定。折角の政権交代も、思惑通りには行かない様で苦しい展開。
自分の様な零細で生活している小市民は、早い景気の回復を渇望しているのに、何をやっているのだか……。
党利党略でしか政を行えないのであれば、いつか、一揆を起こしてやる。

政情不安をよそに、オレは今日も釣りに行く。
二週連続の釣行だ。
行き先は、いつもの定番、三島湖ともゑ釣舟店。
いつもと同様.自宅を出立したのは午前四時。
医師から睡眠時間の確保を言われているのにも関わらず、遠足前の小学生みたいなもの……興奮して眠れやしない。
折角、前日.宿へ問合せて八時頃に到着した場合の対処方法を聞いておいたのにだ。

舟宿に到着したのは、出舟二十分後の五時二十分。
「オッ!意外と空いている」。これなら、念願の上流域進出も叶いそうだ。然し、念には念を入れるべく、隣の宿に斥候に出てみると、残念でした……悠然とバスが停車していました。
これじゃ諦めるしかない。
それでは、前回(2010年第08回.以下同)同様.下流域迄行き、
「二匹目の泥鰌を釣るか」、と料金を支払い桟橋へと降りてみると、なんと豚小屋が無人。
三島湖の誇る圧倒的メジャーポイントである豚小屋が無人なんて事は滅多に無い。こんな素敵な幸運に遭遇したからには、
「据え膳食わぬは男の恥」、だろう。

午前五時四〇分。
豚小屋.看板下に向かい、いざ出陣。
看板を仰角に見上げられる位置に舟を結び一服していたら、隣の宿からギッタンバッコンとオジさんが現れた。
「おはようございます」、と型通りの挨拶をしたら、いきなり
「オレは例会だから、ソコに入る!」。
威高げに言われてしまった。
「……」。
嫌な感じ。だから.なんなんだよ……。
例会だか何だか知らないが、威張られたって、困る。
即断。己の器量の狭さが露呈して恥ずかしいのだが、
呉越同舟は御免被る。
ひと事、ふた事会話を交わしてから、直ぐに撤収。
据え膳を食い損ねた。

あーあ、道草を食っちまった。
五十面をさげていて……このザマ。
冷静さが戻ってくればくるほど、自己嫌悪に陥る。
なんでオレは寛大な対応が出来ないのだろう。以前、蘇我の名人に気持ち良く入れてもらった時(2010年第3回)は、とても温かな気持ちで一日が過ごせたのに……。
今朝のオジさんだって、例会に参加する為、夜中から仲間とバスに揺られてきて、気が大きくなっていただけだと思うし、人生の先輩でもあるのだから、もっと大目にみないと……。

忸怩たる思いを胸に、下流域に向け再出発。
ゆるゆると舟を漕ぎだすと、六郎沢に竿が出ている。今年もココの季節がやってきた。更に下った三ツ沢岩盤ロープでは四名が肩を並べている。仲良き事は美しき哉。
オレの行き先は未だ先。ダムサイドの手前迄.舟を漕がなくてはならない。鳥小屋ロープの先きにポンプが有り、コレを境に名称がポンプロープと代わる。そして、西南側にそびえ立つ絶壁の終点付近が、今回の目的地だ。

釣行記写真
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拡大写真
朝の下流域。無風好天で湖面が鏡の様だ。
写真中央の取水塔(白く建物)の手前が目的地。

目的地に着くと、オッ!、オダが水面から顔を出している。前回の減水は1.6mだったから、あれからも減水は進んでいたのだろう。そして前回とピッタシ同じ場所に、陣を構える。
朝からいろいろあったが、やっと目的地に辿り着けた。
ひと息ついて、頭陀袋から眼鏡をとり出そうとすると、眼鏡が無い。何度探しても無い。これはしまった、しくじった。どうやら家に置いてきてしまったようだ。
参ったなー。オレの腐れ目では4m先の浮子は見えない。よって、今日.使用する竿の限界は12尺と成ってしまった。

◯本日のデータと予定。
・目標/二十枚。
    (前回は十六枚)
・竿 /嵐馬12尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ10番。
・鉤素/450粍+600粍。
・餌 /オールマイティ2+グルダンゴ1.5+ミッド1+水1。
・予定/団子と角麩のミックス作戦。
    06:30〜団子。
    12:00〜角麩。
    大凡15:00、納竿。

午前六時三十分。
準備が出来て始動。
ワクワク感いっぱいで浮子を凝視していると……ドキっ!。
早くも二投目で浮子が動いた。
先週の中島岬と同じ展開。あの時は、空かさずグルテンを付けて仕留める事が出来たが、今回は難易度の高い両団子。そうは問屋が降ろしてくれないだろう。
案の定だ。初魚信から三十分、出現した有りと有らゆる魚信に手を出してみたが、全て空振り。
ココで最初の作戦タイム。餌の交換を敢行する。
昨日、渋谷の釣具屋サンスイさんで新発売の「爆釣A」を手に取っていたら、偶然、コレを買いに来ていた人から助言をいただいた。話に依ると、中身には既存の数種類の餌がブレンドされていて、既に「魔法の粉」も含有されている事。但し、経時変化で粘りが出過ぎるので、要注意との事。
自分は餌鞄の中に、団子用と角麩用の餌を夫々三種、計六袋も持参してきている。而も、迷惑な事に袋のデカい商品が数種類含まれているので、コイツが実用出来れば助かる。
閑話休題。
モノは試し。餌の試用はキズの浅いうちに限る。未だ、始めて三十分。失敗したって取り返す事が出来る。
袋の裏面の説明書きに沿って作成……出来た。何とも言えない感触。これは軟粘とでも言うのか?。
この感触を文字で説明したいのだが、自分の文章表現力の限界を超えているので、記す事は出来ない。
何はともあれ、最初の餌より軟らかく成ったので期待をしてみたが、敢無く、今度も全て空振り。魚の笑い声が聞こえて来た。
チキショー!。気を取り直して、再び、説明書きを読んでみると、(なじみ幅が出始めてから少しづつエサの方向性を探って行きまよう)だって……、それが出来ないから苦労するのだ。

二度目の作戦タイム。
さて、どうしよう。
そうだ、思いだした。
昨年の夏、桟橋で大名人から教わった、アレ。
アレとは、水に濡らした手を数回振って餌を付ける手法。
ベタベタして扱いが難しかったが、なんとか実行すると、これが図星と成って第一号を釣上げた。サイズは推定.壱尺壱寸。
ありがとうございます。成就出来ました。
オレは出来が悪いから、いろいろと教えてもらっても、直ぐに忘れる駄目なヤツですが、今日は覚えていました……。

ヤレヤレ、浮子が動いてから仕留める迄.壱時間もかかったが、苦労の分だけ楽しい時間だった。そして玉網に入れた魚の記念撮影の最中に、ガサっと音がして、向う合わせで二枚目。
危なく竿を持って行かれるところだった。
お陰さまで両目が開いたのだが、毎回.今の手法で継続するのは現実的ではないだろう。とすると本格的に餌の手直しに挑まなくては成らないのだが、ハッキリ言って、オレには出来ない。
では、お待たせ。
ココで先週の中島岬から、楽しみにしていた配合餌を、
「待ってました」、と一人芝居をしながら作成する。
期待に胸を膨らませてドキドキしながら臨んでみると、してやったり……と言うほどでもないが、ボツボツと針に魚がかかる。
然し、嗜好品が入っていないのでパワーが無い。魚が釣れる度に魚信が少なくなっていく。今、居る魚を釣ってしまったら、魚が枯渇するのは必定。またも頭を悩ませていたら、例によって、釣趣を削がれるように、「文化放送、吉田照美の……」、と頭上から雑音が降ってきた。「うるせえなー」、と思うもラジオ対策の耳栓替わりに、今回はi-Podを持参してきているので、大丈夫。雑音と共に鳥や蛙の奏でるBGMも遮断されるのは残念だが、仕方が無い。更に、陽が雲に隠れる度に水面がキラキラ光り、浮子が見難くなってきた。然し、これは偏光を忘れてきた報い。諦めるしかない。

午前九時。
本日只今、釣った魚は十枚。而も、どれもが中島岬で釣った魚の、お父さん、お母さんサイズ。嬉しさの二乗だ。
然し、前述のように浮子が静かに成ってきたので、今度は嗜好品を含ませつつ、更に軟らかい餌に挑んでみる。
実はコレから作成してみる餌が、今回のポイントなのだ。
そう、あれは壱年前の今頃、釣行記を見てくれていた、ハンドルネーム.あんこうさんから、アドバイスメールを頂戴した。
その一部を、原文のまま引用させてもらう。
(カラツン対策として餌を軟らかくする手段ですが、タナまで持たないと馴染みが出ないので、私の場合、粘力の助けをかりています。慣れるまで粉600ccに付属のスプーン1の目安で……振り込みのショックで餌がバレるほど軟らかくすることもあります)
このメールを頂いた頃は、団子餌の配合が判らず蔵に封じ込めておいたのだが、前回、封印を解いたので、頂いたメールをしっかりと見直してきた次第。
※内容は、あんこうさんに掲示板に掲載してもらいました。
閑話休題。
極限の軟らかさの餌(オールマイティ1+グルダンゴ1+ミッド1+魔法の粉1+水1)に挑む。
出来た事は出来たのだが水分過多で、針付けは無理。そこで隣に有った粉をパッパッパと振り掛けて完成。
相当に軟らかいのが出来た。このデンプンみたいな魔法の粉が無ければ、どうにもならない軟らかさだ。
早速、テスト。
丁寧に針付けをし、慎重に振込んでみた。すると健気にも針から離脱する事なく空中を飛んで行き、水中に没して行く。而も、何より素晴らしいのは、この軟度にしてナジミ幅を作れた事だ。

午前九時半。
テストを終え、実戦開始。
数投で浮子に反応が現れて、釣れだした。
これには、ちょっと感動。何と言うか、
今迄とは違った世界がチラッと覗けた……そんな気がした。
今迄は、この軟度だと着水する前に針から離脱するか、魚に数回つつかれて落とされたものだ。改めて、
あんこうさん、ありがとうございました。
其の後、竿を10尺に短縮したのも好効果だったようで、正午迄の二時間半で十五枚も釣れてしまった。

釣行記写真
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本日の入釣場所の直ぐ傍。オダが顔を出した。
同場所、減水3.0m 2008年07月25日
同場所、減水6.4m 2008年08月13日
※太字部分をクリックして貰いますと該当頁にワープします。

正午。
ココからは角麩の時間だが、団子が絶好調なので予定を変更して続行。然し、五分後に一枚釣り上げてから風が猛然と吹いてきた。波が桟橋を叩く音が響く。そして舟も上下に揺れだした。
いくらなんでも、これでは魚信の判別は出来ないだろう。
思うや否や、直ぐに角麩仕掛けに切替る。

午後零時半。
本日天気晴朗ナレ共波高シ。
団子で釣った魚の数は二十六。ゆえに、三十は釣れるとして、更なる目標を四十にしたいのだが、唯一の不安は、今日釣れてくる魚がデカい事。今迄の角麩釣りでは体験した事が無いサイズ。
果たして、このデカイ魚が角麩を吸ってくれるのか、又、オレの針と鉤素(アスカ0.4+3号)で堪えられるのか?。

浮子が波間に激しく没する事を秘かに期待して再開。
今日の魚は優しい。
三投目に浮子が忽然と、その姿を消す。
いきなり脳天を鎚で叩かれた。
鉤素に自信が無いので、慎重に取込むと本日一番のサイズ。空かさず検寸定規をあててみると、今季最高の壱尺参寸五分って処か。案ずるより産むが易し、だった。

釣行記写真
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今季最高、壱尺参寸五分。

凄いスリル。
浮子が波間に消える、快感。
竿を持っていかれる、恐怖。
それを、大波小波で上下に揺れる舟の上で味わう。
角麩釣りも絶好調。
鉤素をブチブチと切られながらも、十三時半迄の壱時間での釣果は七枚。更に、十四時半迄の壱時間でも八枚。
団子と合わせて四十一枚も釣れてしまった。
これでは、半束(五十)を目指さないわけにはいかないだろう。
中島岬ではココで失速したのだが、今回は次の壱時間でも八枚。王手がかかった。心配はひとつ。さっきの突風で角麩を飛ばしてしまったので、今.有る数粒で釣らないと、あとは無い。
大願成就を前に焦っていると、ホッ、十分後に釣れて、更に最後の一粒でもオマケが釣れて、〆て五十一枚。
イチローの背番号と相成った。
いや−、釣った、釣った、久々の大漁だ。
角麩も無く成った事だし、これにて納竿。十五時四十五分。

荷を撤収し桟橋に戻る途中、見蕩れた景色をカメラに収める。今更ながら、こんな素晴らしい所で、釣りが出来る幸福を想う。

釣行記写真
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拡大写真
帰路に撮った下流域の風景。

さてさて、桟橋はもう少し。
今日は胸を張って若旦那に釣況の報告が出来る。

お仕舞い。


釣果 12尺天々・両団子 16枚(06:30〜10:30)
10尺天々・両団子 10枚(10:45〜12:15)
10尺天々・角麩  25枚(12:30〜15:45)

合計 五十一枚。
壱尺五分〜壱尺三寸五分。

最新釣果

◯2010年データ。
  ・釣行回数/10回。
  ・釣果/191枚。平均/19.10枚。
  ・次回は梅雨の晴れ間に豊英湖。

  2010年6月11日(金)
吉右衛門  


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