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第十六回釣行 2010年08月30日(月)
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これまでの釣行記(へら鮒釣り) 2009年〔三島湖〕

快晴.真夏日。午前中凪、午後風。
気温32度、水温28度、減水4.1m 澄み。
塚山.立木。
戸面原ボートセンター。

何とも華のない展開。
魚は沢山釣れたけど、何故だかちょっと空しかった。の巻。

民主党が揺れている。
ちょうど一年前の今頃に行われた、衆議院議員総選挙で国民の多くから期待を寄せられて政権交代したものの、その運営たるや厳しい限り……。
来月中頃の代表選には、小沢一郎さんが立候補して菅首相との一騎打ちになるのだが、果たして結果は如何に……。
…………。
1.970年の日米安全保障条約更新の時、自分は高校二年生だった。あの頃は友人に誘われて、デモにもよく参加した。宮下公園から明治公園。代々木公園から日比谷公園。ろくにイデオロギーも持ち合わせていなかったのに、青いが故の反骨精神が旺盛だったので就職した後も直ぐに、組合の委員に成ったりしたものだ。
それが、どこでどうなったのか、今は零細のオヤジに収まった。当時は労働基準法を盾にモノを言っていたが、今は逆。基準法の遵守に四苦八苦している始末。
いやはや、人生なんてわからない。
今迄は、高度成長と好景気のおコボレを頂戴して生きてこれたが、これからはそうはいかない。それにエレクトロニクスが当たり前の時代となって、その壁がいよいよ歩みを難解にさせる。
さてさて、アナログ人間の行く末も如何に……。

今日は八月三十日。
猛暑とか何とか言っても八月も明日で終わり、この業界も明後日からは出舟時間が遅くなる。
今朝もいつもと同様に戸面原ダムに向かうべく、午前四時に家を出てきたが館山道ではルームミラーで朝焼けを見る事は出来なかった。そして、やっと朝日が山の向こうに確認出来たのは湊川に差し掛かってからの、五時十分前。
大好きな夏も終わって秋か!。今年も三分の二が終わった。などと季節の移り変わりを思い乍ら現地に到着すると、ドキッ!。
車が一台しか停まっていない。今日は空いてる。と言う事は上郷地区の寮下が確保出来るって事だ。過去に一度だけ施行した事があるのだが彼処の竹柵は昼頃までは日陰だ。ほくそ笑みながら、心の中でVサインを出して入店。いつも通りの事を済ませ、本日呉越同舟させていただく方たちと雑談していると、入釣場所を告白されてしまった。お一人は石田島の立木、そしてもうひと方は、あろう事か寮下。うーん、オレと一緒か……寮下であってもカーブの向こう側の底釣り枠であればいいのだが……。

午前五時二十分。
ご主人に見送られ出舟。
ますます減水した風景に見蕩れ乍ら、写真を撮りつつ現場に着いてみると、残念でした!……微かな願いは消えていました。
然も、上郷橋側の竹柵のど真ん中に着舟している。出舟前ご主人から、竹柵手前の立木で大釣りがあった、との情報ももらっていたが、今回はヤメとこ。こんなに広いスペースが空いているのに、男同士が肩を寄せ合うのは、冬の豚小屋看板前だけにしておきたい。
…………。
では、何処に行こうか?。竹柵の奥側に行って底釣りにでも挑戦してみるか……。こんな事もあろうかと、密かに底釣り用の浮子も持参してきているが、駄目だ、駄目だ。オレのヤクザな携帯電話はココでは通話が不能。依って武重店長にヘルプ・ミーが出来ない。
うーん。櫓を休めて周囲を見渡してみると、塚山の前に、まさにココに留めろ!、とでも言わんばかりに立木が左右にズラッと並んでいるではないか!。障害物無しの湖上の立木だから、お天道様はマトモに受ける事に成るが、今日はお化けみたいにデカイ傘を積んできたので、へっちゃら、とまでは言わないが、真夏日のお天道さま対策はしてきている。
決めた!。そうしよう、そうしよう。
早速、舟を寄せてみたものの、オレはどっちを向くんだ?。
分からないときは聞くに限る。振り返って
「すみませーん。オレはどっちを向けばいいんですかぁー!」
と叫んでみると、直ぐに答えが、
「滅多に来ねぇからわかんねぇよ。悪いねぇ」、だって。
そうか、分からないのか……途方に暮れようとしていると、ふと思い出した。二週間前に大名人とお会い出来た時、名人が試釣と本番で舟を留めたのはココではないのか。そう、そう、ブログに載っていた写真までも思い出してきた。然し、マサか自分が竿を出すとは思わなかったので、しっかりとは覚えていない。記憶はあやふやだが、多分塚山を背にされていたのだと思う。
駄目だねぇ。折角、記事にしてくれていたのに……。
(太字をクリックして頂くと大名人のブログにワープします)

ちょうどロケーションもいいし、こっち向きに決めた。
着舟は至って簡単、左右の立木に縄を三時四十五分の角度に結べばいいだけだから、労せずして完成。

釣行記写真
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本日の入釣場所、塚山立木。
正面の陸の右端が人気ポイントの、梅の木。
右上の赤い橋が上郷橋。

ここもなかなか、いいじゃないか。と、周囲の景色を眺め、空を見上げるとギラギラ光る真夏の青に、白い雲がひとつふたつ……今日も暑くなりそうだ。
今回は、竿を出す前にやる事がある。
日陰を確保出来なかったので、自分で作る事だ。
それには積んできたお化け傘の固定作業をしなければならない。何せ、よく考えもせずに、大きいのがいいだろう、と直径が
2.400粍もある一番大きいのを購入してしまったのが間違えの素。キチンと使いこなせる方には問題ないのだろうが、オレが使おうとすると、甚だ安定に欠ける。
舟の縁には、万力(螺子が二個も付いている)で盤石に固定出来るのだが、如何せん本体と万力との接続部が脆弱。一筋の突風であっさりと大空を舞ってしまいそう。二年前の豚小屋で見事に飛ばしてしまった前科もある。以来それがトラウマとなって桟橋以外では用いていなかったのだが、今回に限っては、お天道様を遮断する為だから仕方がない。予備の小傘も積んで来ている事だし、処方箋の遵守、とまでは言わないが、性懲りも無く湖上に舟を浮かべる以上は、日陰の確保にも、気を遣わねばなるまい。

釣行記写真
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本日の入釣場所、其の弐。
いつもと同じく竿尻から。

◯本日のデータと予定。
・目標/三十枚。
    団子.十五枚、角麩.十五枚。
・竿 /嵐馬 10尺 。
・浮子/忠相グラスムクトップ9番。
・鉤素/450粍+600粍。
・餌 /オールマイティ2+ミッド1+グルダンゴ1+水1。
・予定/団子と角麩のミックス作戦。
    07:10〜団子。
    12:00〜角麩。
    15:00、納竿。

七時十分。
天気は晴朗、風は凪。
塚山を背に第16回目の釣りが始まる。
数投打っても無反応。それに、さっきからモジリも無ければ泡も浮いてこない。
大丈夫かなあ、不安が口をついて出たが、竹柵の方は先ほどから結構、竿が動いている。
いいなぁ。羨んでいたら、オレの浮子も動きだした。
然し、この偏差値の低いと言うか馬鹿っぽい動きは何だ!。
フワフワしながらも、時々軽々しく水中に没する、これはブルーギルに違いない!。思った直後にも鈍く大きく動いたので、
「喰らえっ!、ブル公」と、強く竿を上げたら、鮒だった。
これは失礼しました。網の中の魚に謝り乍ら放流。これは七時四十分の出来事。
…………。
以外と魚が小さい。何と言うか春に中島岬で釣った奴らが数cm成長したっ、て感じの大凡八寸強。

午前九時。
八時半頃に最後の魚を釣って以来、魚籠の中で泳ぐ魚の数は増えない。本日ただ今の釣果は、六。
原因は浮子の馴染み具合が悪化して、ほとんど馴染まなくなった事。対応策としてエサに粉をパッパッパと振り掛けると幅の確保は出来るのだが、後に浮子が動かない。
これは察するに、魚の遊泳層が上昇したのかもしれない?。と成ると、釣り針の位置を連中の棲み家まで上げれば、何とかなるのか?。ちょっと安易な気がしないでもないが……。
…………。
いっちょう、小さな浮子でも使ってみるか!。
去年買った四本セット。今年はこの連中に日の目を見せていない。前回も滅多に登場させない15尺の角麩用の浮子も使った事だし、いつも竹筒の中では可哀想だ。
決めたぞ!。今日も、滅多に使わない浮子シーリズの開催だ!。
と言う事で、仕掛けを小浮子用に結び直したが、棚が分からない。しょうがないなあ。再び、迷惑を承知で、竹柵に向い、
「すみませーっん!、棚はどのへんでやってるのですかぁっ!」
木霊のように答えが帰って来た。
「十三尺で、にほーん!」
「ありがとうございましたぁーっ!」。

午前九時半。
竿はそのまま。二本で再開。
結果は良好。替えて良かった。
鋭い魚信の殆どに針がかかる様になって、二時間で十三枚の釣果。これで文句でも言おうもんなら罰が当たる。
ホクホク気分でいたら、竹柵の方が話かけてきてくれた。
「今日は試釣なの?」
「いや、オレはひとり者ですから……」
「会に入らないと上手くなれないよ。オレも最初の十年くらいはひとりでやってたのよ。でも会に入いったら競争スっからさ、上手くなるのよ。それとね、ともゑのアンちゃんにエサを聞いてからさっ、釣れるようになって、宙釣りには結構自信あんのよ。まっ、それと何より良かったのは友達が出来た事だね。今は、ホントにコレをやってて良かったと思ってるよ」
「随分釣ってたみたいですけど、何枚くらい釣ったのですか?」
カウンターを覗くような仕草をして、
「三十八枚!」、更に、
「オレさぁ、石田島の友達ンとこに移動スっから、ココに来てやれば!」だって……。
「いろいろ、ありがとうございましたっ!、また後ほどーっ」。

若旦那の事をこんなところで聞こうとは思わなかった。
もうかれこれ一月半も三島湖には行っていない。
ふーっ、溜め息が出て来た。来週あたり行ってみるか。減水具合も見てみたいし……。
それにしても三十八枚かあ。オレのちょうど倍だ。相も変わらず、世間サマの半分しか釣れない……。さっき迄のホクホク気分は何処へやら、俄に、気持ちが暗くなってきた……。
昼迄、残り数分。あと一匹釣って、二十枚にしようと思ったが……駄目。暗い気持ちに拍車がかかった。

正午。
十二時ピッタシに流れる教会の鐘の音を合図に、午後の部開始。
午後はいつもの様に角麩。竿は替えるのが面倒で10尺のまま。
魚が沢山居るからハズレは無い、と確信していたのだが、ガッカリするほど浮子が動かない。そして、最初のが浮子を沈めたのは十五分後、更に次ぎも十五分後、更に更に次ぎのも十五分後。これは偶然か?、意外に釣れない十五分おきペース。この冴えない展開に一抹な不安を感じ始めた頃に風。お化け傘が幟の様にハタメキだしたので小傘に交換。
この風が魚を刺激したのか釣況が一変。突如として、嘘のように釣れだして、穂先迄水中に引っ張り込まれた事も有った。そして、十四時迄の一時間での釣果は十三枚。釣っておいて何だがちょっと釣れ過ぎ。然も、ハリス切れに手間取らなければ、もっと釣れていたと思う。さてさて、そんな贅沢を言っていたら、釣れなくなった。あと五枚釣って、四十枚にしてヤメるつもりが、結局釣れたのは、納竿寸前の十五時五分前。
これには、ちょっと興醒めをしてしまった。
納竿後に思う。
釣果は大台ならずも中台だったが、何と言うか華の無い展開だった。それと、この得体の知れない空しさは何だ。

桟橋に戻って、朝の名人に挨拶。
「いろいろとありがとうございました」
「いえいえ、どうだったの?」
「四十枚釣りました」
「凄いじゃない」
「いやいや、団子では釣れません。角麩です」
「なあんだ。団子で釣らなきゃ駄目だよ!」と、言い乍ら、わざわざ荷を解いて浮子を見せてくれた。最後に、
「あのお、明後日例会との事ですが、お名前を聞かせてもらっていいですか」
「いいよ。○☆◎△」
「ありがとうございます。覚えさせていただきました」。

その後、いつもの様にご主人と奥さんに釣況を報告。
そして、奥さんに地場の西瓜をご馳走になり、一件落着。
塩が効いていて格別に旨かった。

最後に、イーグルへら鮒会にも所属されている宙釣りの名人へ、
「明後日は頑張ってください」と心の中でエールを送り、
入釣場所の記念写真を撮る為、秋田屋ワンド経由で、富津中央へと赴く。

お仕舞い。


釣行記写真
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入釣場所を陸から撮った写真。
印の立木に舳先を結んだ。

釣行記写真
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更に遠景から撮った。

釣果10尺天々・両団子 6枚(07:10〜09:00)
10尺二本・両団子 13枚(09:30〜11:45)
10尺天々・角麩  21枚(12:00〜15:00)

合計四十枚。
七寸五分〜壱尺零寸零分。

釣行記写真
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この日の釣果。
竿頭は宙釣り名人の御連れさん。
大きいのを三十枚くらい釣ったそうだ。
(スポーツ新聞の記事より抜粋)

記事掲載のPDFデータはこちら > > >

◯2010年データ。
  ・釣行回数/16回。
  ・釣果/365枚。平均/22.81枚。
  ・次回は九月十三日 戸面原ダムの何処か。

  2010年9月3日(金)
吉右衛門  


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