晴れたり曇ったり。風は凪ぎ。
水温19度 減水1.2m 澄み。
戸面原ダム 中島岬。
戸面原ボートーセンター。
五十年前、小学校で歌った
兎追いし彼の山 小鮒釣りし彼の川、
そう、あの彼の川で釣った魚たちに出会えた。の巻。
先日、五年前に嫁いだ娘と伊豆の伊東温泉に一泊旅行に出掛けてきた。愛車で移動した亊もあり、娘の幼い頃から今日までの想いで話に、花を咲かせる事が出来た。
「娘は人生の恋人」。と言われているが、まさにその通り。
ホントに楽しい時間を過ごさせてもらった。
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娘と……。
釣行記とは、関係がなく
親娘で馬鹿面を晒して恥ずかしいのですが
滅多に無い事なので、記念に掲載しました。 |
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当日は、インターネットで検索した無名の隠れ家みたいな宿に泊まったのだが、宿の主人が言うのには、こちらの不況も可成りの様子。老舗と言われていた旅館は次々に外資に取って代わられ、気遣い.もてなしの象徴だった仲居さんの姿も、今は無く、料理はバイキングに成り、宿が客を施設内に作られたスナックやラーメン屋に囲い込んでしまったので、商店街からは芸子さんの下駄の音は消えてしまったそうだ。
寂しい事だが、これも時代の流れか。
帰路に立寄った干物屋の女将の話ではないが、いつかまた、あの賑やいだ時代が復活すればよいのだが……。
さて、魚釣り。
今回は戸面原ダムに向かい、問題が無ければ事前の電話で御主人に推奨いただいた、中島岬に入釣する予定。
いつもの通り、鶏が朝を告げる前に出発。
何故か、三島湖に行く時は常習的に遅刻をするのだが、コチラの時は、未だヨソ者気分が抜けない為、四十分前に到着する様に出掛ける。そして思惑通り、四時五十分到着。
挨拶、支払い、朝食といつもの通りに事を済ませ、中島岬の着舟について御主人よりレッスンを受ける。
中島岬はコチラから行くと突端の向う側に立木が二本有り、其所に舳先を結ぶ事。水深は満水時でも底釣りが出来る19尺〜21尺。現在は1.2mの減水なので15尺でも底がとれる、との事。以前見たGoogleの航空写真にも釣り人の姿が写っていたので大凡の場所の見当はつくし、着舟にも大分慣れてきたので大丈夫だとは思うが、念の為に、補欠の場所に予定している寮下の竹柵についても窺っておいた。
毎度毎度の丁寧な御指導ありがとうございます。
午前五時二十分。
桟橋に勢揃いしたのは五名。
常連さんっぽい二人連れ、ヤル気が漲っているオジさん、以前にも.お見かけした事が有るような方、そしてオレ。
あとは事務所と駐車場に数名だから、出舟するのは概ね十名ってところだと思う。
さあ、出舟。本湖方面に向ったのは自分も含めて四名。
何と言うか、始めて目にする減水風景は何とも言えないムードが漂っている。石田島の手前には盛土みたいな所が露呈していて木が一本生えている(名称は前島と言うらしい)。
更に、島の岩盤側と光生園側には立木が林立していて、昨夏に始めて竿を出した時、常連の方に
「其所は立木が有るから駄目」、と指摘された因がハッキリと分かった。そして、この周辺は今が旬らしく、一緒に出舟した方達は、みな夫々の思惑通りに、舟を留めだした。
自分も次回来る時には、この岩盤側のオダ群の中に着舟したいと思うので、後で参考写真を撮っておこう。
ひとり旅になった。
上郷橋を遡って行くと、東側は昨夏に入釣した寮下竹柵、西側は秋田屋ワンドで突端の梅の木は名ポイントらしい。更に進むと東は塚山、西は民家下ワンド、このワンドの果てが、本日の目的地である中島岬だ。
岬だ、ワンドだ、と誰が名付けたのかは知る由もないが、なかなかのセンス……命名に開拓者のロマンが感じられる。
ココが中島岬か!。
いつも思う事だが、処女地はいい……初々しさがある。
舳先を結ぶ立木を選択するだけで、 ワクワクする。
立木は二本。ちょっと選択に迷ったが、どうせ宙釣りしか出来ないのだし、ワンドの入口側を選択して固定作業を始める。そして、いつものように苦労はしたが、両方のロープをピーンと張らす事が出来て、出来映えは過去最高だったと思う。
こんな事でも上達出来てきたのは嬉しい。
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入釣場所の正面図。
竿尻から浮子迄を一直線にして撮れた。 |
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今日は団子餌で頑張りたいのだが、最初からやると悲惨な結果になる恐れがある。そこで、主役の登場は、ある程度.魚籠に魚を入れてからにしたいと思う。
季節は既に五月の末、こんな時期迄グルテンはないだろう、と疑問にも思うが、オレが作る団子餌よりは遥かにマシだろう。
◯本日のデータと予定。
・目標/三十枚。
・竿 /朱門峰 凌11尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ9番。
・鉤素/100粍+600粍。
・餌 /上、宙バラ+オールマイティ+ベーシック。
下、新ベラグルテン+アルファ21。
・予定/06:30〜グルテンセット。
09:00〜団子。
12:00〜角麩。
大凡15:00、納竿。
午前六時三十分。
さあ開始。
「お初です、中島岬。お手柔らかにお願いします」。
ペコリと一礼してから、魚の所在を確かめるべく、リトマス試験紙のテストのように両針にバラケをつけて投入。
幸先良し。早くも二投目に反応を感じたので、空かさず下針にグルテンをつけてみると、
「ありがとう」、簡単に釣れてしまった。
釣れた第一号は、前回の三島湖で苦労の末に釣ることが出来なかった、今期百枚目。サイズはと言うと、
五十年前、小学校で歌った
「兎追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川」で釣った、あのサイズ。
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中島岬第一号は今期百枚目。
小鮒釣りし彼の川、で釣ったあのサイズ。 |
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まったくもって、ココの人と魚は温泉地では失われつつある、気遣いと.もてなしの心とを、わきまえてくれている。
ウキウキ気分に成って、山本コウタローの「岬めぐり」を歌いながら、ドドドっと釣れる事を夢見ていたら……あにはからんや、釣れない。一転、雲行きが怪しくなってきた。
「なんだ!、さっきのは冷やかしかい」、よろこんで損をした。
そして数分、気分が鬱に成りかけた頃に、やっと魚信。
浮子の動きに誘われて、「待ってました!」と合わせてみたものの、プルプルプル……なんだか嫌な予感。
やっぱり……お前か。釣れたのは予感的中でブルーギル。
憮然たる思い。而も、針を喉元奥迄呑まれてしまった。
正直に告白するが、自分は根性が無いので、この魚に触れる事が出来ない。グロテスクな模様と一撃必殺のヒレが恐いのだ。
然し、どんな魚でも針を外してリリースするのが、釣った人間の義務。蛮勇を奮い、針外しを片手に外科医のように挑んでみたが、奮闘.空しく、上手く行かない。そして、数分後にはエラから血を流させる始末。困った困った、止む無く針を喉元奥に残したまま、鉤素を切断するハメに……。そして、水にそっと戻してみたものの、水面に横たわっている。「申し訳ない」、オロオロしながら成り行きを見守っていると、ホッ、水中に戻って行った。
いつか、何かの書物で、魚はノドに刺さった針はエラから吐き出す、と有ったがホントか。だといいけれど……。
午前七時半。
開始六十分、二枚目が釣れた。
どうやら、魚が戻ってきてくれた様だ。
然し、続かない。数枚釣っては途切れてしまう。
仕方が無いので、団子を作成(オールマイティ2+グルダンゴ2+ミッド0.5+水1)して、鉤素も尺半+二尺に替えてみたが、これも釣れる事は釣れるが続かない。
いつも思う事だが、目先を替えると少しは釣れるが、持続出来ない。そこで、浅知恵ではあるがグルテンと団子の両方を用意して、途切れる度に目先を替えてみた。
すると、これが効果を発揮して一時間で十枚の釣果。
どうにか、魚籠の中の魚が、十一枚に成った。
午前八時半。
釣れたのは喜ばしいが、なんだか姑息だなあ……。
こんなのって、邪道ではないか!。
釣れれば.いいってもんでもないだろう。
自問自答の末、姑息な心を断ち切り、両団子での勝負に絞る。
再開して、経過を観察していると、浮子の動きが活発と言うか、落ち着かなく成ってきた。立ち上がり.直ぐにトンットンッ!、と激しく動き水没してしまう。この動きに合わせてみても、大半は空振り。そこで、餌から集魚要素のある餌(ミッド)を抜いてみたが、たいして効果無し。餌の大きさを変えたり、圧をかけたりしてみても、すべてが空しい結果で、去年迄とまったく同じ。いやいや去年どころか、釣りを始めた、三年前の春からズッと同じだ。
一向に上達しない己の釣技に、意気消沈。
正攻法で頑張った結果は、さっきの半分の二時間で十枚。
午前十時半。
毎度毎度、これじゃ仕様がない。
何かを替えよう。
思案ロッポ……コイツでも使ってみるか。
取出したのは添加剤の、「魔法の粉」。
コイツを混入して、軟らかい餌を作成してみる。
先ずは右記のレシピで作成、オールマイティ2+グルダンゴ1.5+ミッド0.5+魔法の粉1杯+水1。
結果は……残念でした.硬くて駄目。拠って即時廃棄。
次は、オールマイティ2+グルダンゴ2+魔法の粉1+水1。
上手く出来た……今迄経験した事がない様な餌が出来た。
軟度は、コレぞ……耳たぶって感じ。
問題は、食うのがオレでなく魚だと言う事だが、経過観察に値する事だけは間違えない。
自画自賛の餌を試す。
ちょっと興奮気味に慎重に投入。
ゴクリと生唾を呑み込みながら、観察してみる事、数投。
アレっ!、無反応……なんだ、不味いんだ……ガッカリ。
所謂.期待ハズレってヤツ。
折角の自信作も、魚サマの口には合わなかったようだ。
再び告白するが、自分は調理が出来ない。而も、炊飯器の操作から卵を割る事迄、何も出来ない。二十五年位前に女房が入院した時、スーパーのオバさんに作り方を聞いて作った食事が、あまりの不味さに子供達から轟々たる非難を浴びた。それがトラウマと成って、以来キッチンに立った事は無い。
よく考えてみると、子供の食事も作れないヤツに、異生物である魚の嗜好に合わせた味付けなど、出来るわけがないだろう。
閑話休題。
そうは、嘆いてみても、廃棄するのが惜しくてたまらない。
なんとか、コイツを生かす事は出来ないモノか……。
そうだ、レシピを代える前に鉤素を延長してみよう。
二尺+二尺半で再開。
先ほどのリプレー。また、生唾を呑み込みながら、観察してみると、ホッ、今度は落込みの強いツンで釣れた。それも間断無く三枚も釣れた。
業界では、コレを「軟ネバ」、と言うのだろうな。
上述の三匹目が釣れたのは十一時四十五分、午前の部終了の時間だ。
ホントはもっと継続してやりたいのだが、角麩をやりたい自分も存在している。去年は両団子ばかりで、角麩釣りが、置き去りに成った亊もあり、コレも頑張っていきたい。そんな事で、未練タップリではあるが、
この続きは次回.三島湖長倉台と言う事で……。
正午。
鉤素を100粍+600粍、
餌は蛹の塊+角麩(サイズは一発の極小)で再開。
さて如何。浮子を眺めていると、四投目にスッと三節入って一枚目。以後、脳天トンカチは不発ながらもトントン拍子で四枚釣れたので、天国モードへの突入の予感がしたが、そうは問屋が卸してくれない。
ココに鬼が潜んでいたのか、突然、浮子の動きがショボク成り、一転、アクビが出るような展開。そして、最初の六十分で釣れたのは、冒頭の四枚だけに終る。
十三時。
状況を好転させるのに、出来る事って何だ?。
取り敢えず、下の鉤素を500粍に短縮してみよう。鉤素を100粍短縮するって事は、角麩の浮遊範囲を200粍縮小させる事だから、魚が活発な時は.よいのだろうが、反応が少ない現状では如何なものか?。
吉と出るか凶と出るか、半信半疑ではあるが、何もしないよりはマシ、程度に考えていたら、これが……ズバリ的中。願望通りに好転させる事が出来た。
そして今度の六十分で釣れたのは、大漁の十枚。
十四時。
本日只今、魚籠の中の魚の数は、三十八枚。
直近.六十分の釣果が十枚だったので、半束(五十枚)だって夢ではない。
五月の桟橋帰舟の規定は十六時半。
管理人さんには申し訳ないが、螢の光が流れる三十分前の帰舟に成ってしまうが、何とかやらせてもうおう。
撤収時間も含めて納竿時間を十五時二十分に設定して、最後の足掻き。
なんでこうなるの。アクセルとブレーキを踏み間違えて、急に失速。そして、四十枚目が釣れたのは、なんと四十分後。こりゃ駄目だ……半束は諦めた。
ではせめて、本日不発の脳天トンカチを見てみたい。
打込む度に「消し込みめ!、消し込みめ!」、と呪文のように唱えていると……やった、遂にやった、本日最大の消し込み。
してやったり……ニコッと笑って合わせみたが、これがムカつくような、空振り。
そして、次の鈍い魚信でヒットしたものの、魚が.くわえてきたのは.なんと上の針……悄然たり。
これで一気に疲れが出て、即時撤収、納竿と相成る。
帰舟の途中、次回来訪時の入釣希望の場所の写真撮影をしてを桟橋へと帰る。
お仕舞い。
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本日入釣した場所の遠景図。
写真中央の出っ張りが中島岬。
手前二本の立木のワンド入口側に舳先を結んだ。 |
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11尺天々、両グルテン・両団子 24枚(06:.30〜11:45)
11尺天々バラケ+角麩 17枚(12:00〜15:00)
合計 四十一枚。
六寸五分〜八寸五分。
◯2010年データ。
・釣行回数/9回。
・釣果/140枚。平均/15.56枚。
・次回は6月11日頃に三島湖長倉台。
2010年6月3日(木)
吉右衛門
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