快晴夏日。
笹濁り。
横利根川 べロ平勝釣舟店前。
平勝釣舟店より出舟。
※故 麦舟会長を偲んで。
今回の釣行場所は横利根川。
横利根川は、明治に利根川が瀬替される前は利根の本流だった川。ここの上流部の利根川との閘門付近にあるべロで糸を垂れるつもりだ。
以前の釣行記でも記したが、昔、埼玉の狭山、入間、所沢に居住していた亊が有り、その頃一番お世話に成ったのが、当時属していた釣り会の会長で有った故
麦舟会長だ。
当時、釣りが下手で生活も窮乏していた自分に何かと気を遣ってもらった。偶に大きな魚を釣ると表彰時に皆の前で誉めてもらい、幾度の転居もトラックでかけつけて来てもらった。自分が釣りをやめ、更に千葉に流れて来てからは年賀状だけのお付合いに成ってしまったが、体調を崩されていたのは知っていて胸を痛めていた頃に、黒い縁取りの報せが来た時は絶句してしまった。ご焼香にお邪魔した際に何気に玄関に置いて有った浮子を「是非に」と、頂戴して来た。その浮子を見る度に、会長の穏やかな笑顔が浮かんで来る。お世話に成っていた自分も既に55才。今、ご存命であれば、ご自宅迄お迎えに行き何処かの桟橋ででも糸を垂れたかった。それが残念でならないし、何のご恩返しも出来ない事が大きな禍根となっている。
その会長と並んで釣りをした亊が二回有る。一度は新八間川、そして今一度が、今回のべロに有る松の木前だ。昨春も、再開するにあたり戸面原、円良田に続いて三度目は会長を偲んで此処に来た。今年は盆休みに来る予定だったが混雑が予想されたので今回迄延ばした次第。ここへの釣行は自分が釣りを続ける間は、毎年敢行したい。
出舟時間をが05:00と聞いていたのだが、その時間は未だ暗いので遅刻を前提に、自宅でエンジンをかけたのが03:50。走行距離は53km。途中の雑貨屋で食料を買い込んで、簡易的に朝食も済まして釣舟屋の平勝さん到着は05:10。先ずは日の出前の景色をカシッと撮影。
奥さんに料金を支払ってから、ちょっと質問。「頑張れば10枚くらい釣れますか???」と聞くと「う〜ん。」だって。「10枚と云わず30は出ますよ。」位云って欲しかった。先週三島で会った横利根によく行く人も固定繋留舟は1日やって、いい人で10枚位と聞いていたので数字が見事に一致。直感的に今日は「ヤバい」と感じる。「繋留舟は何れが一番良いですか???」「一番こっち。」「底迄何れくらいですか???」「15尺。」これで質問完了。一番手前の舟に乗る。
固定繋留舟は側面に万力が装着出来る。自分の様な肥満は大きく場所がとれてとても楽だ。
さて今日の竿と仕掛け。底釣りが出来ない自分は無論宙釣り。よって10尺で天々。浮子は本体95ミリ+PCムクトップ202ミリの全長385ミリ。鉤素は450ミリ+600ミリ。餌は天々150+ガッテン150+夏50+水100+マッハ50。
05:47。周囲に誰も居ない横利根川での第一投。期待より先ほどの会話で不安が一杯。案の定、暫く浮子は不動。そんな中、餌打30分で行き也浮子が凄い勢いで水没。合わせるとアッと云う間に浮子下で道糸が切れた。仕方ないので仕掛けの作り直しに25分のロスタイム。
此処で背後に来客登場。「今日は昨夜の雨で水が多いね。水が替わったから釣れれば良いけど・・・。」と、意味深にひとり言を呟いて立ち去る。今の方は誰だろう。釣舟屋の主人なのか近所の釣り好きのご老人か???。何れにせよ増々不安が募る。
気をとり直して、再開すると今度は浮子が微動。竿を上げるとブルーギル。続けてブルーギル。ここで背後に又も来客。振り向くとネコ君。どーも採餌に来た様だ。「ちょっと待っててね。今、おじさんがブルーギルを釣ってやるから。」と、ネコに格好つけたは良いが釣れず。「ごめんね釣れないや。」と云って振り向くとネコは既に居なかった。端から期待されていなかった様だ。
07:00。全く不動。「もしかしたら零も有るかな。」と良からぬ予感。然し、07:45待望の横利根1号。玉網より小さいが嬉しいので尺寸物差を出して検寸すると9寸半。いつも嬉しい釣果零との決別。続けての魚信もガツンと針掛かりしてモコッモコッと重い乍らも鈍い動き。尺三寸を夢見て水面に引き上げるも体高は低く口には髭。鯉だ。何で宙で鯉が釣れたのだろう。今迄、「鯉は底」と強い概念を持っていたが概念は崩れた。然し、折角釣れたのだしと、こいつも尺寸物差で計測すると尺四寸三分。
08:00。取りあえず魚も釣れたし、これから浮子も活発に動くと思いきや全くの不動。黙ってなじんで黙ってなじんでの沈黙の90分。辛抱溜まらず、前日の雨水を汲み出している奥さんの処へ行ったり松の木前に行ったりの気分転換。座に戻り、会長と松の木前で釣りをしたのは何時だろうと追憶に耽る。
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松の木前。以前の松はバイ菌が入り真っ赤に成ってしまったので切り倒したそうです。 |
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10:00。浮子は全く動かないし、生憎の猛暑だしと、早々と帰宅も思案したが、女房と幼子たちに佐原の鰻を土産に買って帰る約束を思いだした。暑さは気力で克服出来るが、釣りは技量が無いから克服出来ない。ブツブツ呟き乍ら途方に暮れていると、隣接するの和船の持ち主の常連さんが現れる。穏やかに挨拶してくれて釣り方等を教えてくれた。ほぼ毎日竿を振っているとの亊で、竿は9尺が良く、ボラとブルーギルをかわせれば釣れるそうだ。良い時は20枚。悪い時でも零は無いと心強い言葉をもらったが、10尺で駄目なのが9尺で好転するとも思えない。竿の長さの問題では無く、技量の問題だろうと、どーせ竿を替えるならと角麩の仕掛けに変更。
10:40。9尺の角麩で再開。この変更が功を奏し、20分の餌打で釣れ始めた。然し、11:30迄4枚釣ると、ボラの子のイナの猛襲にあう。水面を見ると着水時に角麩は取られているみたいだ。バラケは巨大化すれば水面で襲われても棚迄保つが角麩は取られたら終りだ。果て、どーしよう。無い知恵を絞って考案したのが、イナに襲われないところに落とす事。どーせ天々だしと打ち始めるが、餌の影を追って行くのか効果は期待程無し。挙句に一尺くらい飛び跳ねてる奴も出て来るて「バーカ」と云われる始末。ここからは仕方ないので、イナが居なく成るのを待って釣りを再開すると云う極めて偏差値の低い釣りで凌ぐ。もっと良い知恵は浮かばないのだろうか。和船の常連さんも「今日は釣れないので、お昼寝します。」の言葉を最後に寝てしまった。それでも60分で4枚釣上げ目標の10枚は産みの苦しみで13:55に成ってしまったが何とか10枚を釣り上げたので納竿。固定舟なので撤収も用意に終了。奥さんに「どーでした?」と、聞かれ「10枚でした。」と、答えると「それは沢山釣れたね。」だって。最後迄、腑に落ちない釣りだった。帰路に佐原の鰻屋さんに寄ってから帰路に着く。お仕舞い。
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横利根閘門公園から見た本日の入釣場所。
大きな和船の右側の舟。 |
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昨年来た時は再開三度目で浦島太郎の状態。それでも30枚釣れたし、時々、夕涼みに来て見学する対岸の釣台の方達も交代で絞っているのを見かける。何でこんなに釣れなかったのだろう。果たして、本当に釣果10枚の釣り場なのか。自分は、見かけからして下手糞に見えるので気を遣ってくれたのではないかと思う。
今回、横利根川に行けた事で、後は三島湖にしか行かないと思う。西湖に行けなかったのが心残りだが体力的に不安が一杯だから仕方ない。
それと、松の木前で釣った年月。全く思い出せなかったが、帰宅しての入浴時に思いだした。釣行前日にマッシュポテトの餌を作っていたら、生後11ヶ月の娘に食べられた事が有った。1979年の正月だ。胸のつかえがおりた。
10尺団子1枚(05:47-10:00)。
9尺角麩9枚(10:40-13:55)。
合計 10枚。
9寸〜寸五分。平均9寸半。
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