釣り人 吉右衛門のへら鮒釣り“釣行記”三島湖写真集へら鮒釣りの広場
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第三三回釣行 2008年12月01日(月)
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これまでの釣行記(へら鮒釣り) 2008年

曇天。
水温18度 水位 満水 澄み。
三島湖 ともゑ桟橋 岸向き。
ともゑ釣舟店。

※2008年最終回、納竿。
 ~歳の数だけ魚が釣れた。~


何故ゆえに1ヶ月も間隔が空いたのだろう。先ずは仕事が勝負どころの決算にあたった亊。これは生きる糧だから仕方が無い。それよりも大きな弊害が有った。それは多分10月の惨敗が因で厭戦気分が芽生えてしまった亊だ。スポーツ新聞の情報でタナが深く成り、竿が長く成るにつれて、腰が引けてきてしまった。
────寒中、出かけて行って、釣果零となると、釣れないのは毎度の亊で平気だが、それに寒さと長竿の重さが加わると堪えるぞ。やはり、釣りをするからには、景色が良いだの、気分転換だのと云っても、魚が釣れなければ面白く無いし、駄目だ。もう館山道を泣き乍ら帰るのは嫌だ。それでは、あの10月の放流へら釣りが今年の最後に成っても良いのか。いや、それも駄目だ。人サマに迷惑をかけるわけでも、約束を破るわけでもないが、それではケジメがつかない。何よりも、今迄頑張って来た自分自身に申し訳けない。────今回は、そんな亊を悶々と考えた末に、やっと腰を上げての釣行と相成った。

千葉の自宅を出発したのは四時四十分。今年最後の釣行。通い慣れた館山道をヒタヒタと南下して、麓の雑貨屋さん経由で、ともゑさん到着。
店内に入ると先着者は25名くらい。予想外の混雑に驚く。そうだ、昨日、放流が有ったのだ。しまった!。忘れていた。どーしていつもツメが甘いのだろう。参った参った。しかし、いきなり帰る分けにも行かず、この計算外の事態への対応を考えなければならない。
────本日の一番人気は間違えなく豚小屋だろう。では下流に行くか?。いや、さっき試釣の方数人が三ツ沢に行くと云っていたし、高島屋さんの駐車場にも何台か車が停まっていたぞ。困った困った。この様な時に、人の間に入って竿を出せば、オレの様なヘボは定位置である逆竿頭に成る亊は必定だ。逆竿頭は甘受出来ても釣果が零とか5枚では辛い。そうだ。では、人気薄の桟橋はどうだ。前回と同じ場所だ。一年の最後の釣りが桟橋と云うのも寂しい気もするが、贅沢は云ってられないだろう。────
そう思うや否や、下見をすべく桟橋へ。しかし、残念でした。モジリは申し訳程度の数回のみ。しかも、波紋の大きさから推測するとブルーギルかもしれない。さて、ここで混雑の豚小屋で貧果の釣りをするか、桟橋でオデコ覚悟の一発に賭けるか。究極の選択を迫られる。
答えは簡単に出た。劣者弱者の法則から桟橋に賭ける事。豚小屋に入釣すれば周囲に押されて逆竿頭に成るのがオチだが、誰も居ない桟橋にはラックの種が落ちているかもしれない。それに前回の放流の時も、何とか釣れた。そんなことを拠り所として、本日の入釣場所は、桟橋に決めた。

荷を担いで桟橋へ降り、釣り座を確保。先ずは、出舟鈴を待つ顔なじみの富里と千葉の両名人へ表敬訪問。挨拶と大漁祈願を行ってから釣り座に戻る。
生き物の気配の無い静かな湖面を見乍ら準備にかかる。出した竿は17尺。作った餌はバラケとグルテン。

午前七時、第一投。当然無反応。第二投も無反応。それからもズッと、ズッと無反応。早くもギブアップの様相。最初の決断は午前八時迄無反応の時は、竿を替えるか、舟に乗って何処かに移動するかのどちらか二択。そして、あっさり八時を迎える。ここでの選択は竿を替えて、この場所で続行をする事。
出した竿は22尺。予報は晴天だが、どーも雲が多い。それと、時々顔を出す、お天道様も正面の薮が邪魔で自分に陽光をくれない。吐く息も白く、寒い寒い。12月を舐めたわけではないが、ブルゾンにサンダルと襟巻きだけでは、寒さに太刀打ち出来ない。それに、釣りの方も変化無し。ここで新たな決断をする。午前九時迄無反応の時は、竿を替えるか、舟に乗るか、そして帰宅するかの何れか。選択肢が三つに増えた。そして、この時点でラックの種の存在が脳裏から消え失せた。
しかし、天は我を見捨てず。ここで初めて浮子に変化が現れた。俄然、緊張が走る。期待しての次投は、折角のツンを、緊張の為か反応出来ずに失敗。そして勝負の次次投、今度こそはと、竿を丁寧に振込み、生唾をゴクリと飲んで浮子を見つめる亊数秒。?っと動いたので、ピシっと合わせると、ゴツンと手応え。釣ったぞー!。涙を堪えて、ひとり桟橋でひと言。「良かったぁ」。
とりあえず記念撮影。心無しか、ちょっと黄色味がかかっている感じの尺ちょっと越え。時刻は八時二十分。それにしても、この魚は何処に居たのだろう。最初から此処に居たのか、何処からともなく回遊して来たのか。どちらでも良い。兎に角、今回の放流ものだ。前回のより大分大きい。さっき迄は、放流の翌日に来た事を後悔していたが、今はただただ放流に感謝感謝。良い日に来た。
なんだか、闘う勇気が湧いて来た。そして、今が絶対の頑張り所とばかリに猛然と餌を打ち続けると、突如として魚が発狂したかの如く、一気に波が押し寄せて来た。なんとなんと十時迄、釣りも釣ったりの24枚。ほとんど間断なく釣れ続けた。これは、前回の新べら名人に魚信の取り方を教えてもらった御蔭。まだ食上げの対処に難が有るが、ちょっと上手く成った気がしてきた。ありがとうございます。

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本日の第一号。ちょっと黄味がかった新べら。
約尺一寸。

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一荷でも釣れた。

何だか魚が心変わりしたようだ。さっぱり浮子が反応しなく成ってしまった。毎度毎度の大失速。魚が釣れないと寒さが堪える。朝の夜露が白く成ったところも溶けていないし、吐く息も白い。十時半迄の三十分、釣果零。
魚の居場所に変化が起きたのか?。ここで再度17尺を引っ張り出す。居場所が上と判断した為だ。しかし、そう思ったのが凶と出た。十一時半迄の五十分、釣果2枚。
どーしよう。舟の人達は何尺くらいで釣っているのだろう。とりあえず小休止して、弁当を頬張り乍ら、豚小屋方面を見学に行くと、端から端迄満員御礼。そして竿は案外長い。よし!、決めた。かくなる上は、二匹目のドジョウを釣る為に、午後からは、取って置きと云うよりも、出来れば使いたく無かった25尺を出そう。

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豚小屋下風景。
端から端迄ズイッと間断なく着舟している。

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前回同様の入釣場所にした、ともゑ桟橋岸向き。

午後の部の開始は正午丁度。竿は25尺。鉤素は600ミリ+750ミリ。餌はバラケとグルテン。集魚反応が有ったら両グルテンの予定で再始動。
居た居た。居場所を見つけたぞ!。いきなり浮子が動いて釣り上げた。そして二連荘、三連荘。しかも魚が大きい。尺の玉網から尾ヒレがはみ出している。ちょっと大きめの奴を計測したら尺三寸三分。大きな魚を長い竿でヘボが取込むと大変だ。左手で助力したり、体を後方に傾けたり、立上がったりしてなんとか取込む。
十四時。玉の柄が彎曲した重いのが釣れた。記念写真を撮っていると番頭さんが桟橋に上がって来たので、見てもらうと、「良かったねぇ」と、満面の笑顔で喜んでくれた。
カウンターをみると「55」を指している。と云う事は正午からの二時間で29枚釣った事に成る。二匹目のドジョウを釣り上げた。してやったり。最後のひとはなを咲かす亊が出来た。
さて、納竿は何時にしようか。本日の釣果を入れて通算1,105枚なので覚え易い様に、あと6枚釣って1,111枚にするか。万一釣れなくても十五時には竿を仕舞おう。

納竿時間を意識し、一年を回顧していたら、何やら得体の知れない感情に包まれて来た。仕事は、処理したそばから忘れて行くが、こちらの方は、舟を着けた場所から釣果迄、或は魚信の瞬間迄もが鮮やかに蘇って来る。それだけ、今年はこれに傾注していたのかもしれない。
千葉の名人が、富里の名人が帰り際に談笑しに寄ってくれた。みなココで知り合えた方々だ。ありがたいことです。
さて、時間だ。追加釣果はゼロだった。十四時に釣った太った魚が今年の大トリとなった。そこで、本日の釣果をお浚いすると、55枚。最終回の釣果が、自分の歳の数と符合したのは何かの巡り合わせだろうか。

寂寞を感じ乍ら、道具を片付け、呼吸と整えて桟橋で番頭さんに、陸に上がってからは奥さんに納竿の挨拶をし、来年のカレンダーを頂戴して一件落着。麓にくだる九十九道では不覚にも感傷的になってしまった。
今年一年を楽しく達者で過ごせたのは、三島湖へ通って来たからだ。
2008年の釣りが終わった。お仕舞い。

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午後の大漁時に釣れた本日一番の大型。

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本年大トリで釣れた魚。


釣果17尺 0枚(07:00-07:50)。
22尺 24枚(08:00-10:30)。
17尺 2枚(10:35-11:30)。
25尺 29枚(12:00-15:00)。

合計 55枚。
8分〜尺三寸三分。


後 記

ちょっと、カミングアウト。
昔、循環器が梗塞してしまい、九死に一生を得て生還した事が有る。その時の処方箋が「のんびりと海でも眺めて暮らす事」。その他、日常生活についての様々な注意事項の中に「日常生活以外では寒い時期は出歩かない事」が有る。当然、釣りは日常生活外だから、駄目に成る。今年は禁を破って一月から釣行したが、有事には家族と世間サマに迷惑をかけるので今冬は自粛を決めた次第だ。これでいくと、初釣りは、気候にもよるが桜の開花前の三月中旬頃に成るのだろか。

さて、本日の釣行。結果として桟橋を選択したのが釣果につながったのだと思う。但し、技術で釣ったのではなく、人気薄ポイントに入釣して魚を独占出来た事が大きい。マグレとは云わないが、魚が居なければ、早々と帰宅していたわけだから偉そうな亊は云えない。しかし、いろいろ有るが、大満足の釣りだった。終わりよければ全て良し。

最後に、
一年間、私の釣行記成る駄文をお読みくださった方々、本当にありがとうございました。感謝感謝、深謝深謝です。来年もどうぞ宜しくお願い致します。
みなさま、どうか良い歳をお迎えください。
みなさまの健釣を祈っております。
   2008年師走
吉右衛門   


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