快晴。
水温不明 減水1.5m 澄み。
戸面原ダム 杉林。
ボートセンターより出舟。
二周年記念日を戸面原ダムで愉しんだ。
〜誰も居ない湖上と雲ひとつない青空は
贅沢な空間と時間だった。〜
昨年最後の釣行記でも記したが10年前に大病を患った亊が有る。そして復帰してからは、人生の遣り残しを考える様に成った。
遣り残した事は何だ、仕事以外では二つ有った。
ひとつは日本ハムファイターズの優勝を見届ける事。そして、もうひとつは若い時に中断した、へら鮒釣りだった。
2006年、有り得ないと思っていたファイターズが44年ぶりに優勝した。この優勝を札幌で見届ける幸運に恵まれた夜から、もうひとつの亊、へら鮒釣りの再開について考え始める様に成った。
問題は道具を買い揃える亊や、浦島太郎の状態で魚が釣れない事よりも、鶏よりも早く起床して出掛ける事での体調への負担だ。然し、これについては解消の手立てが有る筈も無いので、散々悩んでから、元気で動けるウチに始めようと決意をした。
2007年、年が明けてからは釣具屋探しと釣場の見学を始めた。
釣具屋は数件訪問して、渋谷のサンスイさんに決めた。
問題は釣場、印旛水系、手賀水系、横利根川、そして三島湖、豊英湖、戸塚原ダムと巡ったが、印旛水系と手賀沼水系は、既に昔の面影がなく、人影も疎で諦めた。
そして、この時に選択したのが戸面原ダムだった。決め手は素晴らしい景観と留守居の奥さんの感じが良かったからだ。
2007年4月10日、期待と不安が交錯するなか出発。
そう、そうだった。ひどい靄の中、管理人に勧めたもらった杉林に向けて出舟。
然し、二十数年の空白は想像よりもずっと大きかった、櫓を操れない、舟上で立上がれない、ボート漕ぎすらまま成らなかった。そこで視界が無い中、やっとの思いで舟を着けた所が禁漁区域であった為、頭上から管理人に怒られて移動する羽目に成ってしまった。
そして彷徨の末に辿り着いたのが杉林前の立木だった。待ち望んだ釣りを開始した時は大緊張だったが、60分後位であろうか、最初の1枚目が釣れた時は大興奮した。
結果は、入釣ポイントが季節的にも良かった事と、ビギナーズラックにも恵まれて、40枚も釣れてしまった。この喜びが二年間で62回も釣行する亊に成った次第だ。
閑話休題。
数日前から、この日を楽しみにしていた。
大きな期待を持って自宅を出発したのが四時十五分。
最寄りのインターから一路館山道の富津中央へと向う。
慣れない道程を辿り、戸面原ボートセンターに到着したのは五時二五分。先ずは、初対面の管理人さん夫妻に挨拶して、二年前に入れなかった杉林へ入釣したい旨と着舟の仕方をレッスンしてもらい五時四五分出舟。
諸先輩方三名の後塵を拝し乍ら、杉林へと向う、先輩方は何処に行くのだろう。
すんなりと無人の杉林に到着、ここで悪戦苦闘して着舟するも、本当に苦戦した、先ずはロープの流さが実感出来ない亊と、舟の体制を竹に対して垂直に出来ない。常人は安易に出来るのであろうが、自分にとっては可成り難易度が大だった。
着舟してから準備に勤しむ。
出した竿は16尺、今日はコイツと12尺しか持参して来ていない。二年前、釣具屋さんが選択してくれて購入したした竿がこの二本だった。あの時、持たせてくれた餌は、パウダーバイトの緑色の袋とα21。因に自分はグルテン成るモノは知らなかった。
―――――思いだすなぁ、天々なんかも知らなかったし、
そうそう、舟を留めたのは彼処の立木だ。―――――
こんな亊をブツクサ云い乍ら六時五十分、準備完了。
七時丁度、深呼吸を三回してから第一投。
予定は前半の十時半迄が16尺、後半は12尺で納竿は十四時とし、目標釣果は、マックスが前回並みの40枚でミニマムは半分の20枚に設定。
今日は前回の魚屋下でのワカサギみたいな力感の無い魚信への対策もして来ている。餌がバラケ過ぎない様に心がけて最低でも四節以上ナジませる事。これは、埼玉へ出張した折りに、餌を教えてくれた釣具さんが助言してくれた。
ひとーつ、ふたーつ、みっつ、よっつとナジミ幅を数え乍ら浮子を見つめる。今更だが、この様な事を意識して餌付けをした亊がないので、やってみると意外と難しい。10投位であろうか、トップがナジム速度に加速度がついて水没したので、合わせると早くも釣れた、尺弐寸。
そう云えば、落込みで釣る時は、鉤素が伸びきった時の強い魚信が一番釣れるとの亊だった。
本当だ、七時半迄に七枚も釣れてしまった。
なんとなく、釣りが分って来た感じがして来たぞ。
なんだ、ちっとも分ってなかった。
先ずは餌に疑問が生じて来た。
針に餌を付ける際、簡単にバラケない様に圧を加えると竿を上げた時に餌がバラケずに付いて来てしまう。これじゃ駄目な亊はオレにも分る。そこで、餌の付け方を緩くするとナジミ幅四節が達成出来ない。
こんな亊で、もがいていたら釣れなく成った。
結局、浮子の動きが前回の魚屋と同じに成って対応が出来ない。釣れないと手返しが鈍く成り思考が釣りから離れて、仕事に流れる。
今年は不況で厳しい事ばかりだ。
暗澹たる気分に成って来た。
十時半、やっと10枚目達成と同時に前半戦終了。
握り飯を頬張り乍ら、周囲を見渡すと改めて誰も居ない空間を実感する。
空は青空、雲ひとつない、先ほどから鳶が一羽舞っているだけだ。
贅沢な空間と時間を実感する。
仕事がどうだとか、魚が釣れようと釣れまいと、どうでも良いではないか。
思わず井上陽水の少年時代を口ずさむ。
――――夏が過ぎ 風あざみ 誰のあこがれにさまよう
青空に残された 私の心は夏模様――――
いけない、いけない、涙がこぼれてきてしまった。
最近は、どうしたものか感傷的だ。
十一時丁度、段々、絶望的成って来た後半戦を再開、竿は予定通り12尺に変更。
餌の打ち始めは魚が薄いので、餌の付け方を緩くしてもナジミ幅は確保出来る。
魚が集まって来てからが問題、この難問に挑戦。
アレっ簡単に釣れた、また釣れた、水面に姿を現した頭が大きい、モコモコと云う感じで玉網に取込むと、柄がグニャっ曲がる様な大きな魚ばかりだ。
どうしたのだだろう、釣った自分の方が驚いている。
トップがナジみ鉤素が伸び切った処で一呼吸待つと夏場の角麩の様な魚信で釣れる。
正午迄に10枚も釣れてしまった。ミニマム目標達成。
舟上で俄然元気を取り戻したが、ここからがいけない、魚信が乏しく成り十三時迄2枚で逆戻り。
十三時、これ迄釣った魚は22枚、納竿時間を十五時迄に延長して目標を30枚に修正。
残り二時間で8枚に挑戦、12尺は魚信がショボク成って来たので16尺に交換。
この交換が凶と出た、十四時迄に1枚、16尺だと魚信に力感が無くなってしまう。
ここで究極の選択、偶に魚信って釣れる12尺と、魚信は頻繁に有るが釣れない16尺はどちらが良いか?
どちらも結果は同じ気がするが、取りあえず12尺を選択すると状況は更に悪化して十四時二十分迄魚信無し。
残り35分、竿を16尺にして最後の勝負に出る。
水の中で何かが起きた様だ、魚が釣れだした。
分けの分からない特需がやって来て十四時五五分迄に6枚追加出来た、合計29枚。
十四時五十八分、最後の一投を投入。
緊張して浮子を眺めると、トップに反応を感じ乍らナジンで行く、心の中で「消し込め、消し込め」と叫んでいると、ドォーンと消し込んで大願成就。
やったね、修正目標30枚達成は、ちょっと嬉しかった。
陸に上がってから、管理人さん夫妻に丁重な挨拶受ける。
当方も、二周年記念が良い日で有った事の謝礼を述べて、一件落着。滅多に味わえない贅沢な空間と時間をありがとうございました。
お仕舞い。
16尺 10枚(07:00-10:30)。
12尺 12枚(11:00-13:00)。
16尺 1枚(13:10-13:55)。
12尺 零枚(14:00-14:25)。
16尺 7枚(14:30-15:00)。
合計 30枚。
9寸〜尺弐寸五分。
後記
曲りなりにも、どうにか二年間釣りが出来た。
体調と不況を思案した時、何時迄出来るかは不詳だが
条件が許せる範囲で継続出来ればと思っている。
今回釣行した戸面原ダムは、舟付けが問題。
今日は運良く空いていたので人サマに迷惑を掛けずに済んだが呉越同舟の時は、どうにも成らない。
事前に混み具合の情報を入手してからでないと駄目だ。
それにしても感じの良いご夫婦だった。
影乍ら、発展を祈ります。
最後に、
寄せて釣るのがへら鮒釣りと云うが、
寄せたら釣れなく成る自分はどうすれば良いのか。
いやはやそれも含めて面白い。
月内に時間を作り、性懲りも成く再度頑張る。
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