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第十四回釣行 2009年08月13日(木)
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これまでの釣行記(へら鮒釣り) 2009年〔三島湖〕

晴天。
水温26° 減水0.5m 澄み。
豚小屋一番升。
ともゑ釣舟店。

岩盤から降りそそぐ蝉時雨が浴び乍らの角麩釣り、今年も健在、豚小屋の夏。の巻。

前日、浦和学院出の六年生.須永が先発するので、プロ初勝利を期待して東京ドームに野球観戦に出掛けた。酷い試合に成ってしまったが、最終回迄観戦してきたので、帰宅し消灯出来た頃には日付変更線は越えてしまっていた。

三時半、目覚ましがけたたましく鳴ったが、夢の中を彷徨っている様な状態。
今日は角麩釣りに行くのだ!、と起きてはみたものの意識がハッキリとしない。これではマズいと、取りあえずシャワーを浴び、士気を鼓舞して千葉を出立。
行きの車中で今回の釣りの事を思う。
今日は角麩釣りを施行する。最近は両団子の釣りばかりをやりたがるので、角麩系の浮子と仕掛けが泣いていた。前々回も道具迄、持参して来たのだが団子の誘惑に負けてしまった。
そこで今回と次々回の二回を「角麩釣りの日」としてこれに臨みたい。今回の入釣予定場所は豚小屋一番升or桟橋の岸向き。次々回はポンプロープの下流大オダと桟橋の中間に入釣する予定だ。こんな亊を思い乍ら、思考が餌に流れた時に???とする事に気づいた。
多分寝不足が原因と思われるのだが、バラケ餌の配合を忘れてしまった。――――困ったぞ、どうしても思い出せない。
所謂ど忘れと云うヤツ。そのウチに思い出すであろうと、楽感的に考えたが、このまま釣舟店到着迄思い出す事は出来なかった。

三島湖ともゑ到着は四時五〇分。
料金を支払い雑談をしていたら、出舟の合図が聞こえてきた。ベランダに出てみると概ね出漁者の数は二十五杯くらいか。殆どが下流に向う舟だが意外にも豚小屋は看板升も含めて不人気だ。それでは彼処でやらせてもらおうかと道具を取りに行った瞬間に心変わりがした。後続車が続々と到着するのだ。これでは豚小屋も混雑するであろうかと、救命胴衣を置いて椅子を手にして桟橋仕様で階段を下へと降りる。
今日の桟橋は傾斜が無い。満水模様だ。

荷を岸向きに置いて準備に掛かる。
これで五回連続で桟橋での釣りに成った。
時々、桟橋を軽視する方をお見受けするが、これがどうして、住めば都だ。左右に広々と場所を占有出来るし、雨が降っても容易に撤収出来る。それに咽が渇いたら自動販売機だって近い。
そうそう、それから、何故故いつもの様に本湖を向かずに岸を向くのか、答えは簡単。岸寄りには八寸前後の手頃な大きさの魚が多数生息しているから・・・。目方が欲しければ本湖を向き、数を釣りたければ岸を向くのがよいのだ。
さてさて、準備も佳境に入り餌を作ろうと思った矢先、桟橋に三人連れの釣り客が到来。本湖向きに荷を置き始めた。これは予想外の出来事、この不測の事態にどう対処するか???。この狭いスペースに四人と成っては人口密度が濃過ぎるから無人の猫内橋側に移動するか、それとも思い切って、最初に入釣を思案していた豚小屋の一番升が未だ空いているので、そちらに移動するか???。
この憂鬱な事態から避難するべくとった行動は、背後の舟に荷を放り込み、桟橋を大きく迂回して一番升に向かう事。

回り道をしたが、蝉時雨の降り注ぐ、豚小屋に到着。
粗方準備は出来ていたので餌の作成にかかろうとしたが、未だに配合を思い出せない。
遂にヤキが廻ってたか。いやいや、まだそんな年ではないだろう。
昔日なら女房を叩き起こして、配合表を読ませるのだが、今のオレにはその勇気は無い。――――仕方が無いから大凡の記憶で作るとするか。ハズレても近似値の餌が出来るだろう。
出来た。何とも真っ黒でボソ度120%の奇妙な餌。こんな餌だったか。約一年ぶりなのと、最近は他メーカーの粉をかき混ぜているので、困った事に感触は完全に忘却彼方だ。

六時三〇分、9尺の竿に鉤素を10cmと60cmに結び、この硬くて炭団みたいなバラケで始動。餌は面白いから炭団君と名付けてやろう。
それからもうひとつ、角麩ってこんなに小さかったか???。オレの老眼で、この小さな麩をタナゴを釣る様な針に付けられるのか???。疑問だらけで不安もいっぱいの始動と成ってしまった。

餌も三〇分打ったし、そろそろ角麩を付けて振込みをしてみたが、浮子の動きになんの変化も無い。暇だから周囲を見渡すと、結構な賑わい。豚小屋は十二名、ロクロウ沢五名、竹薮下一名、そして桟橋は三名。それにオレを加えて二十二名か。去年も下流に行って嫌な思いをしたから、お盆の休みに釣りなんかに来るもんじゃない。
ブツブツ云い乍ら打込みを続けても浮子は動かない。

昨年の角麩での施行回数は覚えている限りで六回。練習と混雑時、オフシーズンが各一回で残りは両団子との併用であったが大漁だった。ピークには時速十枚くらいで魚を捕獲出来た。だから己自身への釣果要求は高い。故に今日の目標は、時速十枚、を釣る様なイメージで釣りをする亊だ。
高いのは結構だが、今回は餌も忘れたし厳しそうだ。
七時五〇分、最初の餌を使い切ったので自宅に電話をして女房に配合を確認する。意外にも間違っていなかった。昨年はこの餌で釣っていたのか。益々不安が大きく成って来た。
八時二〇分、ショボくてとても角麩とは思えない様な魚信でやっと釣れた。開始後百十分の出来事。しかし、釣られてくれた魚には悪いが両団子と違って無感動。
八時三〇分、三連荘。オッ!、一気に行くか、と思ったが行かない。ここからは、時速十枚を実現すべく試行錯誤の連続。試行錯誤と云っても、鉤素の長さをマメに交換するだけだが・・・・。

十時、脳天が叩き割られる様な魚信が無い。然もガッカリするほど釣れない。時速十枚が聞いて呆れる。
これなら角麩でやる意味が無い。両団子でやろうか、といつもの誘惑に駆られる。
駆られそうに成ったが、心残りも有る。午後から使用する予定の15尺竿用の浮子を浸水させたい。昨年、釣具屋さんで角麩用の浮子を三本購入した際の一本だが、こいつだけ使用する期を逃してしまい、浮子入れの中で泣いていた。だから何とかコイツを水に漬けてやりたのだ。

今回はもう捨てゲームでいい。
浮子に義理立てしたいのと、脳天が叩き割られる魚信を見てみたい。
因って、竿だけ交換して角麩釣りは続行する。
現場で15尺の仕掛けを作り乍ら思う。本日の世間様の釣果は如何なモノか???。釣れてないのはオレだけか。
背後を見ると、運良く移動中の舟がやって来た。すると向うの御仁から釣果を聞かれたので、只今角麩で十枚と答えると、可成り上の方と云われてしまった。
この方は、ロクロウ沢から三ツ沢を経由してからの再移動との亊。三ツ沢は竿頭が十五枚程度で、殆どの方が二.三枚との亊だった。
これでは、鉤素を弄ったところで釣れない筈だ。
深い溜息と共に、時速十枚が真夏の夢、と消える。

十時四十五分、竿を15尺に替えて釣果枚数.十枚から再始動してみたが、何も無く昼を告げるチャイムを聞く。ひと休みの時間だ、十一時半。

魚には遊んでもらえないが、蝉時雨の降り注ぐ豚小屋で、今年も糸を垂れる事が出来ている幸福を想う。
ミンミン蝉にアブラ蝉、ツクツクホーシに時たまヒグラシも混ざる。これぞ豚小屋の夏だ。

釣行記写真
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今年も健在、豚小屋の夏空。

釣行記写真
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結構な賑わいで傘も満開、豚小屋下ロープ。

正午、再開。
たいして期待はしていなかったが、やる事だけはやっておこう、と0.3号の鉤素を結んで振り込むと、イキナリだ。これぞ脳天トンカチ、と云う魚信で脳天を叩き割られた。そして釣れだした。なんで釣れだしたのかは、さっぱりわからないが、兎に角、浮子が派手に動き出した。脳天トンカチ、ボディ迄倒れる様な食上げ、そしてナジム途中にカチカチ動くミエミエの魚信。
やっと角麩釣りらしく成って来た。時速十枚の釣りだ。
この夢の様な時間に釣った魚は二十八枚、時刻は十四時四十五分。
誰も桟橋に上がって来ない、清掃も始まらない。
それではと、もう三〇分だけやってみたが釣れたのは二枚だけ。何故か最後はショボかった。

釣行記写真
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この浮子が脳天を叩き割られる様に湖底に向って沈む。

陸に上げって若旦那に釣果報告をすると、激渋りの中で一等賞との事。半信半疑だったが、翌日のスポーツ新聞で確認すると、本当だ! 久方ぶりの竿頭だった。
お仕舞い。

釣果9尺角麩天々 10枚(06:30〜10:20)
15尺角麩天々 零枚(10:45〜11:30)
15尺角麩天々 30枚(12:00〜15:30)

合計 四〇枚。
七寸〜九寸。

次回は八月十七日、戸面原ダム石田島を予定。



最近、釣行ラッシュです。
暫くの間は釣行記が追いつく限り毎週(不定期曜日)更新します。


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