晴天。
水温26° 減水3.9m 澄み。
三島湖 三ツ沢岩盤。
三島湖 ともゑ釣舟店。
夏の釣りの終り。羽田の名人と楽しく過ごす。の巻。
今回が八月最後に釣りに成りそうだ。
今月、何回目の釣りに成るのだろう。六回目だ、先月の終りに戦線復帰してからは五週間で八回目に成る。まさに五日に一度の魚釣り、我意気軒昂也。
館山道を南下する車中の亊。戦線復帰した一ヶ月前にはルームミラーに映し出されていた朝焼けも今は無い。来月からは出舟時間も五時半に成り、そして六時、六時半と繰り下がる。季節も秋を過ぎ晩秋から暮れへと向う。こうして考えてみると、年末だってもう直ぐだ。
釣りを初めて僅か三年目の自分が記すと怒られるかもしれないが、晩秋には新たな魚が放され、竿は長く成り餌もグルテンが主体と成って厳冬期を迎える。今は只ゝ、この毎年繰り返されていく流れに、健康で参加出来る亊が一番の安心と云うか幸福なのだと心底思っている。
三島湖ともゑ釣舟店到着は四時五十五分。
店内に入ると出舟の合図が聞こえたのでべランダに出てみると、下流に向ったのは幸運にも一人。
やった!、遂に待ちに待った日がやって来た。今日は三ツ沢に入れそうだ。ルンルン気分で荷を取りに行く時に、若旦那に入釣場所を聞かれた。答えたくてもヘボのオレが偉そうに◯◯に行きます、なんて生意気な事は云えない。その辺で遊ばせて貰います。とだけ云って桟橋へと降りる。
先発者が三ツ沢の揺れ止めに居ない事を念じつつ、櫓を持つ手に力が入る。咽っ首を通過すると三ツ沢方面の光景が拓けて来た。先発者の入釣場所は中央ロープ。大願成就、希望の場所に無事入釣出来た。
嬉しい、嬉しくてたまらない。いつもいつも、この場所に入りたくても意地らしい程我慢をしてきた可哀想な自分が居る。それが今日はココを独占出来た。頑張るぞ!。と思っていると、駐車場で会ったオジさんがやって来た。何処に行くのかと見守っていると揺れ止めの向う側に無言で舟を留めだした。そして更に、遠く離れた方に立ち漕ぎをした舟が見える。視力の悪い自分は番頭さんがロクロウ沢の外れで舟を留めているのかと思いきや、ドンドンこちらにやって来る。そして「吉右衛門さーん(仮称)」「???」誰だオレの名前を呼んでいるのは・・・。
あっ、あれはまさしく羽田の名人だ!。「いやー、豚小屋に居るって聞いて来たもんだから、探しちゃった」だって・・・。そして今日も丈五に間隔で舟を留めている。
なんたる亊だ。折角、今日はひとりで独占する筈だったのに・・・・。
何が哀しくて、この広くて誰も居ない下流域の片隅に男三人が肩を寄せ合う様に並ばなければならないのだ。今回も運命だと、これを甘受しなければならないのか。我が身の不幸を思うと泣けてくる。
然し、考えてみれば羽田の名人は、自分を探して来てくれたのだ。自分の様に釣りに来ているのか景色を眺めに来ているのかがわからない様なヤツと並んでくれるのだから感謝しなくてはならない。それに左隣の方だって滅多に来れない三島湖の釣りを楽しもうとしている。ここは切り替えて楽しい呉越同舟にしよう。と自分に言ってきかせる。
今日は新しい浮子を試用する。だから仕掛けを作成するのに手間取った。餌落ちの位置を、針を結ばない状態でボディとトップの接合部に調整する。その状態で針を結んでみたらトップが目盛りの中間迄沈んでしまった。これで良いのかな???。後で若旦那に聞いてみよう。
午前六時半、11尺の仕掛けが出来た。
三人で一番最後に成ったが、是を以て魚釣りを始める。
先ずは左隣の方が角麩で釣り上げた。名人も10尺竿でのカッツケ釣りで続く。
七時十分、自分にも待望の釣果。以後、小漁ではあるがボツボツと釣れ続いて十時半頃迄は、互いに十枚程度の釣果に成る。
十時半、ここで新たな仕掛けを作るべく、竿を17尺に替えたのが凶と出た。大きく水をあけられてしまった。マラソンで云うと20キロポイントで先攻集団に置いて行かれた感じだ。
モトイ間違え「水をあけられた」は誤った表現。元々技量に大きな差が有るのだから、「よくココ迄健闘した」とするべきだろう。
正午、名人は七井戸の堰用とかの7尺竿を出した途端に更にペースが上がった。ご本人の話では「餌が合った」との亊だが、恰も「へら鮒はこうやって餌を合わせて釣るんだ」とでも云わんばかりの釣れ様。
自分はと云うと、浮子は惰性で眺めているだけで、名人との話に没頭してしまった。
佐原向地.横利根川の思い出。トーナメントの事や浮き作りの事。三島湖での事。肝心な両団子の基餌から餌合わせ迄、何でも教えてくれる。こんな亊なら舟の間も丈五と云わず九尺位にして作り方から教えてもらえば良かった。
それから川鵜が遠くの方で顔を出した時、なんとパチンコを取出して一発二発と打ち噛まし、これを追い払ったのには驚いた。
十四時半、左側の方が納竿撤収。ご丁寧に挨拶を戴いたので、釣果を伺った処「二十五枚」との亊。
時々、この釣行記に喧しいヤツが居るとか、ホザイている自分だが、今日に限っては名人との話に盛り上がったオレが一番煩かったと思う。ごめんなさい。
さて、本日此れ迄釣った魚は十九枚。
毎度お馴染みの二〇枚での攻防戦。残り三十分で一匹釣って納竿にしようと思ったが、時間を過ぎても成就出来ない。そこで十九枚では数が悪いので二〇枚にすべく時間を延長したが駄目。無情にも十六時迄、魚を針に掛ける事無く終了のゴングとなった。
荷を撤収していると可愛いモノが漂流して来たので思わず玉網で掬う。数時間ぶりに網をぬらせた。
一息ついて、近くに居た番頭さんに桟橋迄曵いてもらって陸に上がる。そこで改めて羽田の名人に楽しかった一日の謝礼をして一件落着。
夏の釣りが終わった。
お仕舞い。
後記
翌日のスポーツ新聞の釣り欄によると、この日の竿頭は七十八枚。これは無論.羽田の名人。殆どの人は不調で昼上がりだったらしい。
今回は名人の話に魅了されて釣りが疎かに成った亊は否めない。今迄、諸先輩方から教えていただいた事を忘却して雑に成ってしまった。
餌の事。
昨秋、今のメーカーの餌に切り替えた時、先生に浮気をせずに黙って一年間は使ってみて下さい。と云われた。その一年が経過しようとしている。大分格好はついてきた気がするが、今日の様に名人からご教授いただく際に、使用者が少数派の餌故の不便を感じる。この亊はズッと思ってきた亊だが、取りあえずは先送りして、また次の機会に再度思案する亊にしよう。
11尺天々 10枚(06:30〜10:30)
17尺天々 9枚(11:00〜16:00)
合計 十九枚。
八寸〜尺弐寸分。
次回は九月四日、戸面原ダム。
|