曇天。
水温20° 満水 澄み。
三島湖 三ツ沢岩盤ロープ。
三島湖ともゑ釣舟店。
台風一過、ひとりぼっちの三ツ沢で・・・・。の巻。
昨日、台風一過の青空を見ていたら―――こんな青空の下、三ツ沢で糸を垂らしたい。―――と無性に釣りに行きたく成ってきた。思い立ったが吉日。居ても立っても居られない。こんな思いで、衝動的に三島湖へと出掛ける事に相成った。
暦は十月。今年も残りは八〇日前後。
年内にあと何回釣りに行けるのであろうか。
先ずは来週の連休明けに群馬の三名湖と丹生湖に泊まりで遠征する。それと今年数回お世話に成った戸面原ダムへ行き、石田島その二を敢行する予定。豊英湖のオバちゃんにも十一月の放流に誘ってもらった。放流はどうでもよいが、もう一度赤松の下で竿を出したい。他に三島湖へも毎月一度は行くので、残り釣行回数は七回前後といったところか。
昨年の今頃の釣行日誌を紐解いてみると通期1.000枚に挑戦していた。そうそう、何度も跳ね返されて辛い思いをした、あの頃だ。そこで今年の釣果はと云うと前回迄の二〇回で釣った魚は443枚。平均では22.2枚だ。数字だけ見ると酷い落込みようだが、内容は今年の方が僅かでは有るが上回っていると思う。また、そうでも思わないと惨めでやっていられない。何せ馬鹿面を下げて毎週の様に釣りをしているのだから・・・・。
今日こそ惨めなメにあわない様に、と念じつつも、希望に胸を膨らませて自宅を出立のが午前五時十五分。
以前にも台風一過に釣行をした事が有る。そう、あれは二年前の九月の第一土曜日だ。台風八号が小田原に上陸した翌日で、あの日は悲惨だった。隅から隅迄、端から端迄ズズ.ズイッと居並ぶ諸先輩方が皆.貧果だった。斯く言う自分も角麩でやっと二枚を釣ったのを覚えている。
今回もそう成らなければ良いが・・・・。と、ブツブツ云い乍ら運転していると三島湖ともゑ釣舟店到着。午前六時二〇分。
アッと驚く、本日の出漁者はオレひとり。
矢張りそうか、台風一過は一気に増水をするから魚が釣れないのか・・・・。若旦那にその辺を聞いてみると「魚が居れば大丈夫だと思いますよ。魚をバンバン寄せて、釣りまくって下さい」だって・・・・。この言葉を聞いた途端、条件反射的に本日の貧果を想う自分が居る。
まぁいいじゃないか。釣れないのはいつもの事だから・・・・。
己を慰め乍ら桟橋へと降りる
釣果は期待薄だが、なんだか幸せな気分。今日も三ツ沢岩盤ロープの揺れ止め脇に入釣出来る。ひとりぼっちの桟橋を笑顔で出舟。
ゆるりと漕いで咽っ首を過ぎると三ツ沢の方面の視界が拓けてきた。案の定、誰も居ない。オオクチバス捕獲のボートすら居ない。希望の位置に着舟し仕掛けを作成。そして準備が出来た。七時二〇分。
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無人の三ツ沢。
誰ひとり居ない鳥小屋下からポンロープを臨む。 |
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釣りを始める。
竿は16尺.仕掛けは天々.餌はベーシック系の両団子。いつもの定番メニュー。
第一投投入.無反応。第二投も無反応・・・・。ズッと無反応。魚は居ないのか・・・・。
不安は一杯だが、空は青が一杯の快晴。これで魚が少しでも遊んでくれれば最高なのだが・・・・。と思っていたら浮子が動き出し、散々空振りはしたが魚を釣り上げる事が出来た。八時半。
以後、何がどうなったのかは解らないが九時迄の三〇分で四枚も釣り上げてしまった。
毎度の事だから、どうせ.一時的な現象と危惧していたが矢張りそうだった。こんな当たらなくともよい事に限って的中する。魚信は有るが、小さく力感の無いモノか、明らかに魚体に針が接触しているかの様な大きなモノばかリ。
ココで早くもギブアップの様相。
前々回の豊英湖で頑張り過ぎたツケかもしれない。前回も二時間でヤメてしまったし、どうも緊張感と云うか姿勢が前を向かない。
もうヤメた。真剣に魚と向き合うのはこの辺でいいだろう。
ここからは、この贅沢な場所で時間をどの様に過ごそうか。
未だ入った事が無い三ツ沢の奥を探訪するか?、来週の丹生湖で進水式を行う予定の21尺の仕掛けを作成し振込みの練習をするか?。
両方やろう。先ずは21尺から。そう思って仕掛けを作り始めたら、失敗を重ね六〇分もかかってしまった。
十一時。やっと出来た仕掛けで再開。
ロスタイムが長かったので、双六で云う振出しに戻ってしまった、一からの出直し。
誰も居ない三ツ沢でひとりぼっちで糸を垂れる。
浮子は全く動かない。動かないから魚なんか釣れる筈も無い。所詮オレの釣りなんて、こんなもんだ。
ひとり舟の上で悲嘆にくれる。
こんな事でよいのだろうか。―――今週は月曜日も休んで桟橋で糸を垂れた。今日.金曜日も、ココでまったりとした時間を過ごしている。来週.月曜日は旗日だから明日から又も三連休。そして火曜日.水曜日は群馬へ遠征する。職場ではオレの指示でみんな一生懸命働いているのに、オレは一体何をしてるんだ。―――
急に感情が高ぶってきて、―――来週の遠征なんかヤメてしまえ!。―――自分を叱りつける。
―――十年前迄の人生は仕事だけだった。来る日も来る日も仕事ばかりしていた。それなのに・・・・。
オレはこの先どうなってしまうのか。釣りが好きでココに居るのか、ココに逃避をしにきているのか・・・・―――
何だか、忸怩たる思いが心を占めて息苦しく成ってきたので、もうやめよう。
正午、お待たせしました。やっと浮子が動き出した。そして動いたと同時に魚も釣れた。この竿は釣具屋さんが先調子と説明してくれたのに、なかなか網で掬えない。キッと取り込みが下手なんだと思う。今度はもっと泳がせて疲労をさせてから寄せてみよう。
釣況が一変した。好釣の波が来たのかもしれない。大した努力もしていないのに、六〇分で五枚も釣れてしまった。
これで朝釣ったヤツと合わせて十枚に成った。
十三時、禍福はあざなえる縄の如し。今度の六〇分は不釣の波が来てひとつも釣れず・・・・。
そう云えば、十三時半に今朝桟橋を出てから初めて人と出会った。オオクチバスハンターの好青年。隣に遊びにきてくれたので四方山話に花を咲かす。あちらの業界も今期の三島湖は不釣の様だ。
そして十四時、残り六〇分前。どうも深い所を意識して餌を硬くし過ぎたのかもしれない。今日の魚の集結状況からしても餌の沈下が終わる時点で、もう少し軟らかくても大丈夫なのかもしれない。
ここで餌を軟らかくしたのが吉と出た。またも魚が針に掛かる様に成って来た。そして十五時の納竿迄六枚を釣り上げた。
秘かに期待して台風一過にやって来たものの釣果は十六だった。然し、我に悔い無し。納竿と相成る。
荷を撤収し乍ら、沢の奥を探訪するのを思い出した。どうも、すっかり忘却してしまっていた様だ。然し、今日の出漁は自分一人だけだったから早く桟橋へ帰らないと迷惑をかける。そう思って入釣場所の写真を撮って桟橋へと舟を漕ぐ。
漕ぎ乍ら、一日が楽しかった事と来週の群馬行きの中止を思う。群馬だけではなく来週は釣りそのものを自粛しようと思う。最近の釣行ラッシュにやっと自粛の気持ちが芽生えた。
陸に上がり、若旦那に一日を報告。
報告.序でに、思わず「来週予約の入ってない日は有りますか」と聞いてしまった。「火曜日が有りませんね。放流三日目です」だって・・・・。これを聞いた途端、グラリと頭の中で自粛の文字が崩れる音がした。
お仕舞い。
6尺天々両団子 5枚(07:25〜10:00)
21尺天々両団子 11枚(11:00〜15:00)
合計 十六枚。
尺〜尺弐寸。
次回は十月十九日、三名湖。
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